肘の痛み

肘を痛めているピッチャーは上腕三頭筋が弱い

2020年7月15日

 

野球ピッチャー

肘の靭帯の手術はピッチャーにとって大きな問題であり、手術を行えば復帰するまでに約1年という長い期間がかかってしまいます。

肘を痛めているピッチャーはもしかしたら筋肉の使い方が違っているかもしれません。

ポイント

  • 肘を痛めているピッチャーは上腕三頭筋の筋肉の活動量が低下している傾向にあるそうです
  • 肘を痛めているピッチャーは前腕の屈筋群の活動量が低下している傾向にあるそうです
  • 肘を痛めているピッチャーは前腕の伸筋群で代償している傾向にあるようです

 

肘の痛みとピッチャーの筋肉の使い方

とある研究で肘の靭帯を痛めた経験しているピッチャーとそうでないピッチャーの筋肉の活動量を調べたものがあります。

上腕三頭筋

  • 肘を痛めているピッチャーは、ストレートを投げる時に前腕の筋肉や上腕三頭筋の筋肉の活動量が低下している傾向にあるそうです
  • 上腕三頭筋はピッチング時の肘の負荷を軽減してくれる働きがあり、肘を痛めたピッチャーは上腕三頭筋の相対的な筋力が低下していたという研究結果もあります

このように上腕三頭筋をうまく使えていないことが肘の痛みに関係している可能性があります。

 

カーブボールにおける筋肉の使い方の違い

カーブボールを投げるときにも腕の筋肉がどのように活動しているのかを調べています。

  • 肘を痛めているピッチャーはカーブボールを投げる時には、上腕三頭筋の活動量が低下していたそうです
  • 一方でストレートとカーブともに前腕の伸筋群の活動量が増えている傾向にあるようです

なぜこのようなことが起きているのかについては諸説ありますが、他の筋肉の代償としてこのような結果になっているのかもしれません。

 

トレーニング

上腕三頭筋のトレーニング

上腕三頭筋のトレーニングには様々なものがありますが、上腕二頭筋に比べて上腕三頭筋は弱くなりやすいので忘れずにトレーニングをすることが重要になってきます。

 

前腕のトレーニング

前腕のトレーニングには様々なものがありますが、私がアメリカの野球チームで見たRice Bucketトレーニングというものをご紹介したいと思います。

これはバケツの中に米を入れて、前腕を様々な方向に動かすというものです。

普段意識できない前腕の筋肉に刺激が入ることと、トレーニングのバリエーションとして面白いものがあります。

 

まとめ

前腕の筋肉や上腕三頭筋の活動量の違いが肘の負担を生んでいる可能性があります。

前腕の筋肉もしっかりと鍛えることで、肘の痛みを予防することに役立ちます。

 

<参考文献>

  1. Glousman RE, Barron J, Jobe FW, Perry J, Pink M. An electromyographic analysis of the elbow in normal and injured pitchers with medial collateral ligament insufficiency. The American Journal of Sports Medicine. 1992;20(3):311-317.

  2. Buffi JH, Werner K, Kepple T, Murray WM. Computing muscle, ligament, and osseous contributions to the elbow varus moment during baseball pitching. Ann Biomed Eng. 2015;43(2):404-415

  3. Lin Y-C, Thompson A, Kung J-T, Chieh L-W, Chou S-W, Lin J-C. Functional isokinetic strength ratios in baseball players with injured elbows. J Sport Rehabil. 2010;19(1):21-29. doi:10.1123/jsr.19.1.21

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