足の痛み

ランナーの疲労骨折の原因と対策について

2024年2月20日

 

疲労骨折とは?

疲労骨折はランニングによる繰り返しの負荷でダメージが蓄積して引き起こされますが、痛みなどの症状が出始めた時には既に重症化していることが珍しくありません。

疲労骨折がある場合には休養することが大事ですが、回復までの期間が長くなりやすく、長期離脱を余儀なくされることが多々あります。

ランニング疲労骨折

ランナーの場合には足部の疲労骨折や脛骨の疲労骨折が多く、大腿骨の疲労骨折なども時折みられます。

疲労骨折の疑いがある場合には整形外科を受診することが大切です。

 

ランナーの疲労骨折の原因

過度な負荷

走行距離が増えてくると疲労骨折のリスクが高まり、過剰な運動量は疲労骨折へとつながります。

急激に走行距離を増やすことが疲労骨折のリスクが高まりやすく、普段よりも練習量が多くなってしまう場合に注意が必要です

特に身体が出来上がっていない選手や、新入部員など練習に慣れていない選手などは練習量が過剰にならないように気をつけることが大切です。

ランナーの走り込み

アスファルトなどの硬い路面を走っている場合や、クッション性の弱いランニングシューズを履いている場合には骨へのダメージが大きくなります。

合わないシューズや足部のアライメントの乱れなどもランニング時の負荷を高める要因になることがあります。

 

栄養不足

栄養が十分に確保されていないと疲労骨折につながるリスクがあり、やはりカルシウムやビタミンDなどのビタミン・ミネラルの摂取不足が疲労骨折に関係してます2・3

また体重が軽すぎることにも注意が必要で、カロリーが不足していると骨に十分な栄養が行き渡らず、疲労骨折が起こりやすいと言われています。

実際に疲労骨折を発症した人は炭水化物の摂取が少なく、カロリー摂取量も少ない傾向にあることが報告されています4〜6

ランニング

そして、思春期の女性アスリートは疲労骨折のリスクが高く、無月経も疲労骨折の発生率を高めることが報告されています7・8

思春期の多感な時期であること、無理なダイエット、低体重などが女性ホルモンに影響を及ぼし、疲労骨折を起こしやすいと考えられています。

 

睡眠不足

睡眠不足、心理的なストレスなどによるホルモンのバランスの乱れなども骨の生成に影響を及ぼし、疲労骨折につながると考えられています

日々の生活習慣が練習でダメージを負った骨の回復に影響しているため、生活習慣や思考をいい方向に変えていくことも疲労骨折の予防につながる可能性があるかと思います。

睡眠不足

 

疲労骨折の対処方法

休養

疲労骨折がある場合には十分な休養を確保することが重要であり、痛みがなくなったからとすぐにランニングを再開することは痛みが再発してしまうリスクがあります10

まずは完全に痛みがなくなるまで休養を取り、そこから数日経過してから徐々にランニングを再開していくことが大切です。

ランニングに復帰する場合にもいきなり長距離を走るのではなく、最初は1日に100m、200m、400mと少ない距離を走って痛みがないことを確認しながら徐々に距離を伸ばしていくことで痛みが悪化してしまうことを防ぎやすくなります。

 

ランニングシューズ

ランニングでの疲労骨折に対してインソールでシューズを調整することが役立つ可能性がありますし、足部の疲労骨折の場合にはクッションシューズでランニング時の衝撃を減らすことが役立ちます11

とはいえクッションが厚すぎると快適性が失われてしまうので、快適に走れる範囲でのクッションシューズを選ぶことが大切です。

ランニングシューズ

 

栄養の摂取

疲労骨折を防ぐためには十分な栄養を摂取することが大事ですが、まずは必要なカロリーを摂取することの優先度が高いと言えます。

長距離のランニングでは多くのカロリーを消費してしまうため、それを補うように十分なカロリーを摂取することが大事です。

長距離ランナーの場合には低体重のほうが記録向上に有利に働くという側面もあるので、減量をする場合には急激に体重を減らすのではなく1ヶ月に1kgなどゆっくりしたペースで体重を落とすことが疲労骨折などの障害を防ぐポイントです。

食事と栄養

そして、カルシウムやビタミンDなどを摂取することも重要ですが、長距離ランナーの場合にはランニングの量が多いため通常よりも多くのカルシウムが必要になってきます。

サプリメントだけでは簡単に補えない栄養が必要となる場合も珍しくないので、しっかりと牛乳を飲むということも必要になってくるかと思います。

 

足部のトレーニング

足部や足首のトレーニングで筋肉を鍛えることも疲労骨折を防ぐのに役立ちます12

骨も刺激に応じて強くなる性質があり、ウェイトトレーニングなどに取り組むことによって骨が強くなり、疲労骨折のリスクを下げることができます13

足首の筋肉

とはいえウェイトトレーニングは負荷が大きすぎるので、疲労骨折が完治した状態、疲労骨折がない状態で予防のためにウェイトトレーニングを取り入れることがポイントになります。

 

まとめ

疲労骨折は繰り返しのランニングで骨に微細な損傷が蓄積されて引き起こされ、走行距離が多すぎたり、筋力不足や栄養不足などが疲労骨折のリスクを高めます。

疲労骨折を防ぐためには適度な休養、シューズの調整や栄養補給、足部のトレーニングなどが役立ちます。

 

 

<参考文献>

  1. Warden SJ, Edwards WB, Willy RW. Preventing Bone Stress Injuries in Runners with Optimal Workload. Curr Osteoporos Rep. 2021 Jun;19(3):298-307. doi: 10.1007/s11914-021-00666-y. Epub 2021 Feb 26. PMID: 33635519; PMCID: PMC8316280.
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  10. Warden SJ, Edwards WB, Willy RW. Optimal Load for Managing Low-Risk Tibial and Metatarsal Bone Stress Injuries in Runners: The Science Behind the Clinical Reasoning. J Orthop Sports Phys Ther. 2021 Jul;51(7):322-330. doi: 10.2519/jospt.2021.9982. Epub 2021 May 7. PMID: 33962529.
  11. McCormick F, Nwachukwu BU, Provencher MT. Stress fractures in runners. Clin Sports Med. 2012 Apr;31(2):291-306. doi: 10.1016/j.csm.2011.09.012. PMID: 22341018.
  12. Warden SJ, Davis IS, Fredericson M. Management and prevention of bone stress injuries in long-distance runners. J Orthop Sports Phys Ther. 2014 Oct;44(10):749-65. doi: 10.2519/jospt.2014.5334. Epub 2014 Aug 7. PMID: 25103133.
  13. Rauh MJ, Macera CA, Trone DW, Shaffer RA, Brodine SK. Epidemiology of Stress Fracture and Lower-Extremity Overuse Injury in Female Recruits: Medicine & Science in Sports & Exercise. 2006;38(9):1571-1577.
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