一般的にクッション性の高いシューズは怪我を減らすと言われていますが、思うような効果を得られなかったという声も少なからずあります。
ここでクッションシューズが本当に怪我を減らす効果があるのか、そのメカニズムについて書かせて頂きたいと思います。
クッションシューズと怪我の発生率
一般的にクッション性の高いシューズはランニング時の着地衝撃を吸収するため、ランニング時の負荷を減らすことが出来ると考えられています。
実際にクッションシューズを履いている方がランニングの怪我が少ないという研究結果があります1。
しかし、クッションシューズであらゆる怪我を減らせるわけではなく、クッションシューズで減らせる怪我の種類があります。
クッションシューズで減らせる代表的なものは膝痛です。シューズのクッションによって膝の負荷を減らせる可能性があるわけです。
他にも足底筋膜炎や足部の疲労骨折などの足底部分の怪我もクッションシューズによって効果を得られます。
クッションシューズの効果のバラつき
ランニングフォームの影響
クッションシューズは怪我を減らす効果があるのですが、その効果はランニングフォームなどの影響を受けることがあります。
踵で着地をするランナーの方が膝の負荷を減らせる可能性があり、つま先で着地するランナーはクッションシューズを履いても膝の負荷はそんなに減らないことが報告されています3。
このようにクッションシューズが狙った効果を発揮できるかどうかはランニングフォームの影響を受けることがあります。
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シューズによる影響
クッションシューズは一般的に膝痛などを減らす効果があるのですが、クッションシューズによって痛みが増したという経験がもあるかと思います。
私自身も分厚いクッションがあるシューズを使い、むしろ痛みが増してしまったことがあります。
このためシューズのクッションが多いほど良いという単純な話ではなく、他にも考慮しなければいけないことがあり、シューズの選択が悪ければ狙った効果を得ることが出来ません。
例えば、分厚いクッションシューズで走っても衝撃吸収効果は変わらないという研究結果があります2。
この研究では次の図のような2種類のシューズで比較しているわけですが、シューズのミッドソールの形状などに違いがあり、クッションシューズの効果が変わってくる可能性があります。
シューズの選択が悪いと、クッションシューズを取り入れても狙った効果が得られないという例ではないかと思います。
(Aminaka et al 2018)
他にも分厚いクッション素材によって踵の高さが変わったり、足部が不安定になって痛みにつながるという事例もあります。
分厚いクッション素材を搭載することが、シューズの他の機能を損なうこともあるわけです。
このようにクッション素材の違いやシューズのデザインの違いによって、痛みや怪我を減らす効果に違いが生まれる可能性があります。
特に足元の安定性が弱い人は分厚いクッションとの相性が悪い傾向にある印象です。
クッションシューズが必要な人
普段からクッションシューズを履くことに反対する声もあり、普段から分厚いクッションのシューズで走ると足部の機能が鍛えられないという意見などもあります。
基本的には分厚いクッションシューズは不要であり、通常のシューズで問題がないのであればそちらを選択した方が良いかと思います。
普段の練習で怪我をしていない、キャパオーバーが生じていないのであれば、クッションがないほうが足部を鍛える効果があります。
私も若い頃はミニマリストシューズ(ほぼ裸足同然のシューズ)でランニングをしていて、それでハーフマラソンも完走しました。
しかし、通常のシューズを履き慣れてしまってからはミニマリストシューズでランニングすることは困難になってしまっています。
普段から刺激を入れていないと足部の機能が衰えてしまう可能性があるわけです。分厚いクッションシューズは必要最低限の利用に留められるならば、それが理想ではないかと思うわけです。
しかし、ランニングで膝痛を繰り返してしまう人などランナーはクッションシューズを試してみる価値があるかと思います。
怪我を繰り返してしまう現状があるのならば、それを止めるのが最優先になります。
クッションが厚いほど良いというわけではなくて、怪我をしやすい部分に過度な負担がかからないようにバランスを考えてシューズを選択することが大事ではないかと思います。
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まとめ
クッションシューズはランニング時の衝撃吸収効果があり、膝痛などのランニングの怪我を減らす可能性があります。
しかし、ランニングフォームやシューズのデザインの形状、足首や足の指の筋力不足などによって思うような効果を得られないことがあります。
<参考文献>
- Malisoux L, Delattre N, Urhausen A, Theisen D. Shoe Cushioning Influences the Running Injury Risk According to Body Mass: A Randomized Controlled Trial Involving 848 Recreational Runners. Am J Sports Med. 2020 Feb;48(2):473-480. doi: 10.1177/0363546519892578. Epub 2019 Dec 26. PMID: 31877062.
Aminaka N, Arthur K, Porcari JP, Foster C, Cress M, Hahn C. No Immediate Effects of Highly Cushioned Shoes on Basic Running Biomechanics. Kinesiology. 2018;50(1):124-130.
- Mai, P., Robertz, L., Robbin, J. et al. Towards functionally individualised designed footwear recommendation for overuse injury prevention: a scoping review. BMC Sports Sci Med Rehabil 15, 152 (2023). https://doi.org/10.1186/s13102-023-00760-x