肩腱板損傷とは?
肩腱板損傷は肩のインナーマッスルである腱板筋群(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)の損傷、場合によっては腱板が切れてしまうことなどで肩の痛みが起こります。
肩腱板損傷は野球やバレーなど肩を高く上げるスポーツ、建設業などの腕を高く上げるような仕事、50歳以上の人などに起こりやすいと言われています1。
重大な肩の損傷の疑いがある場合には整形外科を受診することが大切です。
肩腱板損傷の原因
肩の酷使
スポーツや日々の生活などで肩を使うことで微細な損傷が起こりますが、回復スピードを上回るほど肩を酷使してしまうと肩腱板損傷の原因になります。
肩を90°以上に挙げる動作は肩への負担が大きく、肩を酷使しやすいため肩腱板損傷が起こりやすいと言われています1。
こういったスポーツや仕事では十分な休息が与えられていないことも珍しくなく、肩を痛めてしまう人が後を立ちません。
柔軟性の低下
肩の柔軟性の低下は肩腱板損傷につながる可能性があることが報告されています2。
特に肩関節の動きの乱れや、肩甲骨の動きの悪さ、猫背などの不良姿勢といった身体のバランスの乱れを伴うことが多いと言われています。
筋力低下
肩の筋力低下は肩腱板損傷につながる可能性があり、特に肩のインナーマッスルの筋力不足がリスクがあると考えられています2。
肩のインナーマッスルなどの筋肉は普段鍛えることが少なく、筋力不足を招きやすい部分であると言えます。
肩腱板損傷の改善方法
マッサージ
肩の痛みに対してマッサージが行われることが多いのですが、実際に肩周りのマッサージを行うことで肩腱板損傷の痛みが改善することが報告されています3。
しかし、肩の機能改善効果に対する科学的根拠は弱く、マッサージだけでは肩腱板損傷に対する効果に限界があるかと思います。
マッサージでほぐすだけではなく、リハビリなどのエクササイズで肩周りの機能を高めていくことも大切になってきます。
インナーマッスルのトレーニング
肩腱板損傷の改善にはローテーターカフなどのインナーマッスルのトレーニングが役立ちます4。
インナーマッスルのトレーニングはじわーっと効かせるものが多くて地味に感じるかもしれませんが、肩の痛みの改善に対してとても重要なものです。
他にも肩甲骨周りの細かい筋肉などを鍛えていくことで、さらに大きな効果を見込むことができます。
まとめ
肩腱板損傷は肩を高く挙げるような動作、柔軟性の低下、肩や肩甲骨の動きの乱れ、インナーマッスルの筋力低下が原因になります。
肩のストレッチやマッサージなどで柔軟性を高めつつ、インナーマッスルや肩甲骨周りの筋力強化が肩腱板損傷の改善に役立ちます。
<参考文献>
- Leong HT, Fu SC, He X, Oh JH, Yamamoto N, Hang S. Risk factors for rotator cuff tendinopathy: A systematic review and meta-analysis. J Rehabil Med. 2019 Oct 4;51(9):627-637. doi: 10.2340/16501977-2598. PMID: 31489438.
- Seitz AL, McClure PW, Finucane S, Boardman ND 3rd, Michener LA. Mechanisms of rotator cuff tendinopathy: intrinsic, extrinsic, or both? Clin Biomech (Bristol, Avon). 2011 Jan;26(1):1-12. doi: 10.1016/j.clinbiomech.2010.08.001. Epub 2010 Sep 16. PMID: 20846766.
- Desjardins-Charbonneau A, Roy JS, Dionne CE, Frémont P, MacDermid JC, Desmeules F. The efficacy of manual therapy for rotator cuff tendinopathy: a systematic review and meta-analysis. J Orthop Sports Phys Ther. 2015 May;45(5):330-50. doi: 10.2519/jospt.2015.5455. Epub 2015 Mar 26. PMID: 25808530.
- Littlewood C, Ashton J, Chance-Larsen K, May S, Sturrock B. Exercise for rotator cuff tendinopathy: a systematic review. Physiotherapy. 2012 Jun;98(2):101-9. doi: 10.1016/j.physio.2011.08.002. Epub 2011 Oct 5. PMID: 22507359.
- 日本整形外科学会HP ”肩腱板断裂”