膝痛

オスグッドによる膝の痛みの原因と改善方法

2024年2月14日

 

オスグッドとは?

オスグッドは成長期のスポーツ選手が発症しやすい膝の痛みであり、繰り返しのランニングやジャンプの負荷によって膝の骨が引っ張られて炎症や痛みを引き起こします。

オスグッド病

オスグッドは簡単に治ると思われがちですが、適切な対処をしないと思ったよりも症状が長期化することも珍しくありません

重大な膝の損傷の疑いがある場合には整形外科を受診することが大切です。

 

オスグッドの原因

過剰な運動量

身体が出来上がっていない成長期に過剰な運動をしてしまうとオスグッドによる膝の痛みを発症する原因になり得ます。

特に普段慣れていないような運動量、急激な運動量の増加はオスグッドのリスクを高めることが報告されています2〜4

サッカーキック

様々なスポーツの中でもサッカー選手がオスグッドを最も発症しやすいことが報告されていて、繰り返しのキック動作がオスグッドに関係していると考えられます

他にもバスケットボールなどの方向転換やストップアンドゴーを繰り返すような競技もオスグッドにつながりやすいことが報告されています

 

筋肉のバランス

オスグッドには筋肉のバランスの乱れも関係していて、特定の筋肉ばかりが発達する一方で弱い筋肉があると膝の負荷が高まりやすくなります。

特に大腿四頭筋の過剰な発達はオスグッドのリスクを高めることが報告されていて、ジャンプやランニングなどの動作で大腿四頭筋が過剰に使われている可能性があります

オスグッド

 

柔軟性の低下

柔軟性の低下もオスグッドに関係していて、オスグッドを発症した人達は大腿四頭筋の筋肉が硬くなっていたことが報告されています

これは大腿四頭筋を酷使した結果として筋肉が硬くなっている可能性が考えられます。

サッカー

 

オスグッドの改善方法

ストレッチ

オスグッドの膝の痛みに対してストレッチで柔軟性を高めることが広く行われていますが、そこまで強い科学的根拠があるわけではない5

が、ストレッチをして大きな損があるわけではありませんし、オスグッドに限らず他の怪我を防ぐことができる可能性もあるのでストレッチに取り組むことは悪くないでしょう。

大腿四頭筋ストレッチ

 

運動量の調整

オスグッドは繰り返しの負荷で発症したオーバーユースの怪我であるため、十分な休養と運動量の調整が大切です6・7

痛みが治ってきたら徐々にスポーツに復帰することが大切であり、急に運動を再開するのは痛みを再発しやすく好ましくありません。

休養を取ることで痛みが徐々に緩和されていきますが、スポーツの再開によって痛みを繰り返してしまうことが珍しくないので慎重な判断が大切です。

バスケ

 

トレーニング

オスグッドによる痛みの改善にはリハビリで膝周りを鍛えることが役立ち、実際にリハビリに取り組むことで痛みが改善することが報告されています

オスグッドは大腿四頭筋を酷使して発症している側面があるため、それ以外の筋肉も忘れずに鍛えていくことが大事なポイントです。

 

まとめ

オスグッドは繰り返しのランニングやジャンプなどの負荷によって発症し、過剰な運動量、大腿四頭筋の過剰な発達、柔軟性の低下などがリスクを高める可能性があります。

オスグッドによる膝の痛みの改善には、十分な休養、運動量の調整、筋力強化が役立ちます。

 

<参考文献>

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  10. 日本整形外科学会HP 「オスグッド病

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