水泳選手の柔軟性について
柔軟性が泳ぎに直結する
水泳選手の肩周りの柔軟性というのは極めて重要であり、柔軟性の有無で泳ぎのフォームが大きく変わってきます。
より良い泳ぎ方をするためには高い柔軟性を獲得することが必要であり、泳ぎ方のフォームはスピードに直結するほどの大きなインパクトがあります。
エリート水泳選手は肩の可動域が高いという研究結果も報告されています1。
このため水泳は高い柔軟性が求められる競技であると言えますし、柔軟性不足に悩むスイマーは珍しくありません。
また、柔軟性が低下していると水泳での怪我のリスクが高まることが報告されており2、肩の柔軟性を高めることは重要であると言えます。
水泳肩(スイマーズショルダー)の原因と改善方法
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水泳選手のストレッチ
肩の内旋のストレッチ
クロスボディストレッチと呼ばれる方法で肩の内旋の可動域の向上に効果があり、この柔軟性が低下していると怪我をしやすいと言われています。
肩の内旋の可動域を改善するストレッチの中でも比較的肩の痛みや違和感が出にくいストレッチであると言えます。
広背筋のストレッチ
広背筋をストレッチすることで、腕をより高く伸ばしやすくなります。
より大きな可動域を得たい場合などには、バランスボールを使ってストレッチすることで効果が高まります。
多角的なストレッチ
水泳では複雑で色々な方向に肩を動かすことになるため、水泳選手がストレッチで柔軟性を高める時には様々な角度からストレッチをすることが大切です。
特定のものだけをやり続けるよりも、様々なものをバランス良く取り入れた方が効果が出やすくなります。
ストレッチの注意点
水泳選手のように肩の柔軟性を極限まで高めようとする際に問題となってくるのが、ストレッチが効かなくなってくることです。
水泳選手が肩のストレッチをしている時によくあることが、肩が変に引っかかって伸ばしたいところがストレッチで伸ばせないという現象です。
こういった問題を解消しながら肩のストレッチをすることが、高い柔軟性を獲得するために重要になってきます。
原因としては柔軟性が相対的に不足している箇所がある、関節が微妙にズレている、筋力不足など様々なものがあります。
何が原因でストレッチで肩が引っかかるのか?というのは専門家が診てみないとわからないことも珍しくありません。
水泳選手の肩甲骨のトレーニング
ただ肩をほぐすだけでは限界があり、肩甲骨周りに刺激を加えることで肩周りの柔軟性が向上しやすくなります。
肩甲骨のエクササイズには様々なものがありますが、次のものは水泳の泳ぎに近い形でできるのが大きなメリットであると思います。
まとめ
水泳選手は高い柔軟性を獲得することは泳ぎのパフォーマンスを向上させるためにとても大切です。
ストレッチを様々な角度で行うこと、そして肩周りの細かい筋肉も鍛えておくことが肩のコンディションを整えるのに役立ちます。
<参考文献>
- Holt K, Boettcher C, Halaki M, Ginn KA. Humeral torsion and shoulder rotation range of motion parameters in elite swimmers. J Sci Med Sport. 2017 May;20(5):469-474. doi: 10.1016/j.jsams.2016.10.002. Epub 2016 Oct 19. PMID: 27840035.
- Pozzi F, Plummer HA, Shanley E, Thigpen CA, Bauer C, Wilson ML, Michener LA. Preseason shoulder range of motion screening and in-season risk of shoulder and elbow injuries in overhead athletes: systematic review and meta-analysis. Br J Sports Med. 2020 Sep;54(17):1019-1027. doi: 10.1136/bjsports-2019-100698. Epub 2020 Jan 14. PMID: 31937577; PMCID: PMC7456673.