肩の痛み

水泳選手の肩の柔軟性を上げるストレッチとトレーニング

2024年1月29日

米国BOC-ATC アスレティックトレーナー 佐川博史

 

水泳選手の柔軟性について

柔軟性が泳ぎに直結する

水泳選手の肩周りの柔軟性というのは極めて重要であり、柔軟性の有無で泳ぎのフォームが大きく変わってきます。

より良い泳ぎ方をするためには高い柔軟性を獲得することが必要であり、泳ぎ方のフォームはスピードに直結するほどの大きなインパクトがあります。

エリート水泳選手は肩の可動域が高いという研究結果も報告されています

このため水泳は高い柔軟性が求められる競技であると言えますし、柔軟性不足に悩むスイマーは珍しくありません。

 

柔軟性と水泳肩(スイマーズショルダー)のリスク

水泳選手の肩の柔軟性の低下は肩の怪我のリスクを高める可能性があるという研究結果が報告されています

このため柔軟性を確保することは水泳肩(スイマーズショルダー)などの怪我を防ぐためにも大切になってきます。

スイマー

 

水泳選手のストレッチ

ストレッチの方法

水泳選手のストレッチ方法には様々なものがありますが、まずは肩を様々な角度にストレッチで伸ばしていくということが基本となります。

水泳には複雑な動きを伴うことが多いため、肩周りを色々な方向に動かせることが大切です。

 

 

ストレッチが届かない範囲のケア

 

肩のストレッチだけではほぐすことができない硬さというものがあるため、ストレッチだけではなく他の方法を取り入れることも役に立ちます。

例えばフォームローラーを使うことで肩周りを広範囲にほぐすことができますし、ストレッチとはまた違った部分を柔らかくすることができます。

フォームローラー

よりピンポイントで肩のコリをほぐすのならば、ボールを使ったマッサージが効果的です。

ストレッチだけでは届かないような肩甲骨の隙間などにボールを置くことで、肩甲骨を柔らかくすることができます。

ボールを使ったマッサージ

 

ストレッチの頻度

水泳の練習をした直後は肩の柔軟性が少し低下することが報告されています

特に大きな疲労を伴うような水泳の練習は肩の柔軟性の低下が大きいことが報告されています

このため水泳の練習を続ける限り、肩のストレッチなどのメンテナンスは欠かせないと言えるでしょう。

スイム

日々のストレッチをやらなくても柔軟性を極めることができる方法はないか?と水泳選手から質問がありましたが、ストレッチをやり続けることが基本であると思います。

使っていない機能はどんどん衰えていくのが人間の身体です。

練習しなくても水泳の世界大会に出場できる方法があるのならば、教えて欲しいくらいです。

 

求めるレベルに応じて頻度は違ってきますが、より高いレベルを目指すならばより多くの時間を費やすことになります。

競技レベルが高くなるにつれて整体などでの身体のケアに費やすコストも増えてくるかと思いますが、できるだけ自分でストレッチなどのケアをしておくことで費用を抑えることができます。

 

ストレッチがうまく入らないことへの対策

水泳選手のように肩の柔軟性を極限まで高めようとする際に問題となってくるのが、ストレッチが効かなくなってくることです。

水泳選手が肩のストレッチをしている時によくあることが、肩が変に引っかかって伸ばしたいところがストレッチで伸ばせないという現象です。

場合によっては肩のストレッチが痛くなってくるということも珍しくありません。

この問題を解消しながら肩のストレッチをすることが、高い柔軟性を獲得するために重要になってきます。

ストレッチで肩が引っかかるという問題の対処方法は、引っかかっている部分を修正して取り除くことになります。

原因としては柔軟性が相対的に不足している箇所がある、関節が微妙にズレている、筋力不足など様々なものがあります。

何が原因でストレッチで肩が引っかかるのか?というのは専門家が診てみないとわからないことが多々あり、自力で解決することが困難なことが珍しくありません。

 

必要に応じて整体などに行って専門家の施術を受けることも役に立ちますが・・・

こういった事態を防ぐために大切なことは、ストレッチを様々な方向に満遍なく行うこと、肩のインナーマッスルや肩甲骨周りの筋肉を鍛えておくことです。

 

水泳選手の肩甲骨のトレーニング

ただ肩をほぐすだけでは限界があり、肩甲骨周りを鍛えることで肩周りの柔軟性が向上しやすくなります。

肩甲骨周りの筋肉を鍛えるトレーニングには様々なものがありますが、次のトレーニングは水泳の泳ぎに近い形でできるのが大きなメリットであると思います。

 

まとめ

水泳選手は高い柔軟性を獲得することは泳ぎのパフォーマンスを向上させるためにとても大切です。

ストレッチを様々な角度で行うこと、そして肩周りの細かい筋肉も鍛えておくことが肩のコンディションを整えるのに役立ちます。

 

<参考文献>

  1. Holt K, Boettcher C, Halaki M, Ginn KA. Humeral torsion and shoulder rotation range of motion parameters in elite swimmers. J Sci Med Sport. 2017 May;20(5):469-474. doi: 10.1016/j.jsams.2016.10.002. Epub 2016 Oct 19. PMID: 27840035.
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