身体のケア

ソフトボールの球速アップのトレーニング

2024年6月23日

 

ソフトボールピッチャー

ソフトボールのウィンドミル投法で球速を上げたいけれど、どうすればいいかわからないという悩みもあるかもしれません。

この記事ではウィンドミル投法の各フェーズを解説し、球速アップに直結する効果的なトレーニング方法をご紹介していきます。

 

ウィンドミルの投球フォーム

ソフトボールの投球フォームに関して、各フェーズに分けて主なポイントを解説していきたいと思います。

ソフトボールの各投球フェーズ

(Friesen et al 2025)

 

蹴りだし

ウィンドミル投法では、まず踏み込んでから地面を強く蹴り出すことから始まります。この蹴り出しが強ければ強いほど、投球スピードが速くなる傾向があることが報告されています

しかし、ただ強く蹴り出せば良いわけではありません。強く蹴り出す際に、股関節や骨盤がブレてしまったり、膝が内側に入ってしまったりすると、力が逃げてしまい、ボールに力が伝わりにくくなってしまいます。

ウィンドミル投法の踏み込みウィンドミル投法の踏み込み

(Friesen et al 2025)

また、足首の柔軟性が低いとつま先が外側を向きやすくなり、踏み込みの力が効率的に伝わらなくなるため注意が必要です。

ふくらはぎのストレッチなどで足首の柔軟性を確保しておくことも大事になります。

 

腕の振り

ウィンドミル投法の腕の振り

(Friesen et al 2025)

踏み込みと同時に腕を振り始めますが、このときが肩甲骨の筋肉の働きが最も大きくなります

腕の力だけに頼るのではなく、肩甲骨がうまく機能していることが腕の振りを速くするポイントになります。

 

ウィンドミル投法の身体の軸

(Friesen et al 2025)

腕を振る際は、身体の近くでコンパクトに行うことが重要です。

腕が身体から離れすぎると、せっかく生み出した力が効率よくボールに伝わりにくくなってしまいます。

 

接地

前の脚が地面に接地することで、強く蹴り出した勢いを受け止め、その力を骨盤、体幹、そして腕へと効率的に伝えていきます。

最初の蹴り出しで生み出したパワーをしっかりと受け止める力が必要です。この時も、膝が内側に入ってしまったり、体幹の軸がブレてしまったりすると、せっかくの力が逃げてしまい、ボールに伝わりにくくなってしまいます。

ウィンドミル投法の接地ウィンドミル投法の接地

(Friesen et al 2025)

 

また、また、ストライド(踏み出す歩幅)が大きすぎると、接地で力が逃げてしまい、骨盤や体幹に力が伝わりにくくなることが報告されています。適切なストライド幅を見つけることが重要です。

ウィンドミル投法の接地

(Friesen et al 2025)

 

リリース

ボールのリリース時には、脚や骨盤、体幹など、全身で生み出した力が腕へと集約され、ボールに伝わります。

背筋や上腕などの全身の力を、この一瞬で爆発させるイメージで投げ切りましょう。

ウィンドミル投法のボールリリース

(Friesen et al 2025)

 

球速アップのトレーニング

脚力

ソフトボールのウィンドミル投球で下半身の脚力が球速を生み出すパワーになるため、脚力を鍛えることが重要になります。

スクワットは王道のトレーニングであり、脚力全般を鍛えるのに役立ちます。

スクワットのエクササイズ

また、ソフトボールの投球では片足でのパワー発揮が重要になるため、ランジなどの片足ずつ鍛えるようなエクササイズも役に立ちます。

ランジのエクササイズ

 

 

片足バランスの安定性

蹴り出しの脚でも、接地する脚でも、片足に大きな力がかかります。このため片足での安定性は投球フォームの軸のブレを防ぎ、効率よくパワーを伝える上で非常に重要なポイントになります。

片足スクワットが不安定だとソフトボールの投球フォームが乱れやすくなり、怪我のリスクにもなることが報告されています

まずは片足スクワットがぐらつかないように安定してできるようにすることが大切です。

片足での安定性をもたらすにはパワーだけでなく、細かい筋肉を鍛えることも重要になります。

太ももの内側にある内転筋を鍛えることで、蹴り出しや接地時の膝のブレを防ぎ、安定性が向上します。

内転筋エクササイズ

また、中殿筋と呼ばれるお尻の筋肉も片足での安定性に重要な役割があります。

中殿筋エクササイズ

四つん這いで足を横方向にあげるエクササイズなども中殿筋に効かせることができます。

中臀筋のトレーニング

 

体幹

ウィンドミル投法には体幹の筋肉が必要であり、腹筋を鍛えることが大事になります。

そして、ウィンドミル投法では体幹の回旋動作も入ってくるため、体幹の横にある腹斜筋を鍛えることも重要になります。

サイドプランク

メディシンボールのような重いボールを身体の横から投げるようなエクササイズも腹斜筋を鍛えるのに役立ちます。

メディシンボールトス

ただし、体幹を捻る動作に対して重りを使うと腰の負荷が大きくなり、腰痛のリスクがあるためやり過ぎに注意が必要です。

 

背筋

背筋は大きなパワーを生み出すことができる筋肉であり、投球スピードに大きく関わります。

懸垂のエクササイズは背筋を鍛えることができ、比較的手軽に取り組むことができます。

広背筋や脊柱起立筋といった背筋を幅広く鍛えることができるデッドリフトなどのエクササイズが役立ちます。

デッドリフト

デッドリフトのエクササイズは誤ったフォームでやると腰を痛めるリスクがあるため、適切なフォームを身に着けることが重要です。

 

腕力

投球時には腕の力も必要になってくるため、腕力を鍛えることも大切です。

腕立て伏せは胸筋だけでなく、肩回りや腕の筋肉など広範囲に鍛えることができます。

また、ソフトボールでは上腕二頭筋が酷使されるため、ダンベルカールなどで鍛えることが役立ちます。

ダンベルカールエクササイズ

そして、上腕三頭筋が相対的に弱くなりやすく、この筋肉が弱いと怪我につながりやすいため忘れずに鍛えておくことが大事になります。

野球ピッチャー
肘を痛めているピッチャーは上腕三頭筋が弱い

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肩甲骨

投球スピードを上げるためには肩甲骨の働きも重要であり、肩甲骨という土台が安定していると大きな力を出しやすくなります。

チューブを使ったエクササイズはウォームアップなどにも取り入れることができ、使い勝手がよい方法になります。

こういった肩甲骨のエクササイズは投球障害の予防にも役立ちます。

 

ストレッチ

股関節の柔軟性が高いことで、脚力を体幹や腕へと伝えやすくなり球速が高まります。

特に守備での送球、野球のようなオーバーハンドでの投球では股関節の内旋の柔軟性が球速との関連性が強いことが報告されています

股関節の前部分をストレッチでほぐすことで、股関節の内旋の柔軟性を改善することができ、投球スピードの向上につながります。

股関節のストレッチ

また、肩や体幹回りなどの柔軟性も投球動作に影響を与えるためストレッチやマッサージなどでほぐしておいたほうがいいでしょう。

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まとめ

ソフトボールのウィンドミル投球で球速を上げるには、下半身のパワーと安定性が最も重要なポイントです。それに加えて、体幹、背筋、そして上半身の筋肉をバランス良く鍛えることが球速アップに繋がります。

 

<参考文献>

  1. Friesen KB, Butler LS, Bordelon NM, Downs-Talmage JL, Fleisig GS, Ulman S, Oliver GD. Biomechanics of Fastpitch Softball Pitching: A Practitioner's Guide. Sports Health. 2025 Apr 3:19417381251323610. doi: 10.1177/19417381251323610. Epub ahead of print. PMID: 40178367; PMCID: PMC11969493.
  2. Takashi Wataya. Biomechanical analysis of the windmill pitching method
    as used by high school girl softball pitchers. コーチング学研究/31 巻 (2017) 2 号.
  3. Oliver GD, Plummer HA, Keeley DW. Muscle activation patterns of the upper and lower extremity during the windmill softball pitch. J Strength Cond Res. 2011 Jun;25(6):1653-8. doi: 10.1519/JSC.0b013e3181db9d4f. PMID: 21358429.
  4. Oliver GD, Friesen K, Barfield JW, Giordano K, Anz A, Dugas J, Andrews J. Association of Upper Extremity Pain With Softball Pitching Kinematics and Kinetics. Orthop J Sports Med. 2019 Aug 21;7(8):2325967119865171. doi: 10.1177/2325967119865171. PMID: 31467938; PMCID: PMC6704423.
  5. Friesen KB, Shaw RE, Shannon DM, Dugas JR, Andrews JR, Oliver GD. Single-Leg Squat Compensations Are Associated With Softball Pitching Pathomechanics in Adolescent Softball Pitchers. Orthop J Sports Med. 2021 Mar 23;9(3):2325967121990920. doi: 10.1177/2325967121990920. PMID: 34250163; PMCID: PMC8237211.
  6. Solomito MJ, Garibay EJ, Cohen A, Nissen CW. The Role of the Lead Hip in Collegiate Baseball Pitching: Implications for Ball Velocity and Upper-Extremity Joint Moments. J Appl Biomech. 2024 Aug 22;40(5):399-405. doi: 10.1123/jab.2023-0277. PMID: 39179223.

 

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