ソフトボールの投球動作の特徴
ソフトボール選手と野球選手が同じように扱われることが多々ありますが、ソフトボール選手のケアは野球選手と微妙に違ってくることがあります。
例えばソフトボール選手は野球選手のような肩の内旋の可動域低下がみられにくいことが報告されています1。このため最適なストレッチ方法が微妙に違うといわれることがあります。
ソフトボールのピッチャーはウィンドミル投法によって、投球時のような最大外旋位の負荷が弱いことが理由のひとつとして考えられます。
ソフトボールのピッチャーよりもポジションプレーヤーのほうが野球選手のような肩の可動域が変化をしやすいことが報告されています2。
ピッチャーの肩の最大外旋位と球速・怪我の関係
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ソフトボール選手のストレッチ
肩の柔軟性
肩を痛めているソフトボール選手は外旋の可動域が低下している傾向にあることが報告されています3。
このため肩の前部分のストレッチや胸の筋肉を伸ばすようなストレッチを行うことが役立ちます。
投球動作をしていると肩の後部分が硬くなってくることが多々あり、特にポジションプレーヤーはこの柔軟性が低下しやすい傾向にあります。
腕をクロスさせて肩の後ろ側を伸ばすようなストレッチを取り入れることが役立ちます。
股関節の柔軟性
ソフトボール選手は股関節の可動域が低下しやすく、肩を痛めているソフトボール選手は股関節の外旋の可動域が低下していることが報告されています2・4。
股関節の外旋の可動域を高めるには、お尻の筋肉を伸ばすようなストレッチを行うことが役立ちます。
投球動作では股関節の内旋の可動域が影響してくることも多々あり、ここが硬いとスムーズな投球動作がやりにくくなります。
股関節の内旋の可動域を高めるためには股関節の前部分、腸腰筋などを伸ばすようなストレッチが役立ちます。
体幹の柔軟性
肩を痛めているソフトボール選手は体幹の回旋の可動域が低下していることが報告されています5。
体幹の回旋の可動域を高めるためには、体幹の横部分を伸ばすようなストレッチが役立ちます。
ソフトボール選手の肩甲骨のトレーニング
肩の柔軟性を高めるためにはストレッチだけでなく、肩甲骨のトレーニングを行うことで効果が高まります。
チューブを使った肩甲骨のエクササイズは簡単に取り組むことができ、肩甲骨周りを効果的に強化することができます。
まとめ
ソフトボール選手のストレッチは野球選手とは微妙に違ってくる部分があり、肩の内旋の可動域低下がみられにくい傾向にあります。
ソフトボールでは肩だけでなく、股関節や体幹の柔軟性を高めるようなストレッチに取り組むことが大切です。
<参考文献>
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