足の痛み

ランナーのシンスプリントの原因と改善方法

2024年2月23日

 

シンスプリントとは?

シンスプリントは脛の内側の痛みであり、繰り返しのランニングによって微細な損傷が蓄積されて引き起こされます。

膝から足首の内側の下から3分の1に痛みが発生しやすく、運動中や運動後に骨の周りに痛みのなどの症状がみられます。

シンスプリント

シンスプリントは主に骨膜の炎症や筋肉系の障害の総称であり、シンスプリントに似たランニング障害として脛骨の疲労骨折があり、回復期間や対処方法が違ってくるので注意が必要です。

重大なランニング障害の疑いがある場合には整形外科を受診することが大切です。

 

シンスプリントの原因

過剰な負荷

シンスプリントは繰り返しの負荷によるオーバーユースの怪我であり、多すぎる負荷はシンスプリントを引き起こします。

急にランニングの量が増えたり、いつもより走る強度が高くなったりするとシンスプリントのリスクが高まることが報告されています

普段慣れていないような高い負荷のランニングに注意が必要です。

ランナーのシンスプリント

そして、アスファルトなどの硬い路面でのランニングも負荷が大きくなり、シンスプリントにつながる可能性が指摘されています

 

シューズ

ランニングシューズもシンスプリントに関係があり、身体に合っていないシューズを履くとシンスプリントになりやすいことが報告されています

違和感があるシューズは様々なランニング障害と関わっており、シンスプリントも例外ではありません。

シューズ

 

扁平足・アーチの低下

足のアーチの重要性を耳にしたことは一度はあると思いますが、扁平足や足のアーチが低いとシンスプリントの発生率が約2倍になるという研究結果も報告されています

メカニズムには諸説あり、足のアーチが落ちていると下腿の回旋運動がスムーズに行えない、衝撃をうまく吸収できない、筋肉の働きが悪くなるなど様々な説が考えられていますが明確なメカニズムは研究で明らかにはなっていません。

足のアーチの崩れ

 

筋力不足

シンスプリントには下腿の筋肉の働きが関係していて、筋力不足や筋肉の活動パターンなどによってシンスプリントのリスクが高まることが報告されています

シンスプリントを抱えている人は足部の外方向に対する筋力は強いけれど、内方向に対する筋力が相対的に弱い傾向にあることが報告されています4・5

下腿の筋肉

さらにはヒラメ筋の過剰な働きもシンスプリントのリスクであることが報告されており、バランスの良く筋力を獲得することが大事になってきます

 

シンスプリントの改善方法

運動量の調整

シンスプリントは過剰な負荷によって引き起こされている側面があるため、適度な休養を取ることが痛みを回復させるのに大事です。

そして、ランニングでは身体を慣らしながら徐々に負荷を増やしていくことが大事であり、急激にランニングの量やスピードを増やさないようにすることがシンスプリントの予防につながります

ランニング

ランニングの怪我の多くは不適切な練習メニューの組み立て方によって引き起こされるという意見も存在するくらい、キャパシティを見極めた上で運動量を調整することが大事です。

 

シューズ

身体に合ったシューズを履いてランニングをすることが重要であると言われていますが、シンスプリントにおいてもシューズの調整やインソールなどは効果があることが報告されています

スポーツ用品店などでインソールを購入すると身体に合っていないものを選んでしまうことが多く、インソールを使う場合には専門家に処方されたものがより高い効果を発揮します。

シューズ

 

ストレッチ

シンスプリントに対してストレッチなどで柔軟性を高めるという対応が広く行われていますが、シンスプリントに対するストレッチの効果は科学的根拠は弱いと言われています

そもそも足部の可動域の低下がシンスプリントのリスク要因ではないことが研究で明らかになっています

ストレッチ

とはいえ足部の微妙なバランスのズレ、関節の微妙な歪みなどがシンスプリントに関わっているケースも少なからずあり、ストレッチやマッサージ、整体など専門家の施術が役に立つこともあると思います。

 

トレーニング

シンスプリントの改善や予防には足部や下腿の筋肉を鍛えることが大事であり、足部には普段あまり鍛えないような細かい筋肉がたくさん存在しています。

痛みがある場合などには徐々に負荷を増やすことが大事であり、トレーニングで過剰な負荷をかけないように注意することが大切です。

下腿の筋肉

 

まとめ

シンスプリントは繰り返しのランニングによって引き起こされ、急激な練習量の増加や扁平足、合わないシューズや筋力不足などがシンスプリントのリスクを高めます。

シンスプリントの改善には適度な休養、シューズや運動量の調整、足部のトレーニングなどが役立ちます。

 

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