身体のケア

テニスサーブのスピードを上げるストレッチとトレーニング

2024年2月5日

 

テニスサーブ

テニスサーブのスピード

テニスサーブの球速は試合の流れを大きく左右する要素であり、速いサーブは得点のチャンスが増え、相手にプレッシャーをかけることができます。

そして、速いサーブを持っているだけで戦略の幅が広がり、相手を混乱させてリズムを崩し、有利に試合を展開することができます。

テニスサーブ

テニスサーブの球速は身長などの遺伝的要素も関係していることが報告されていますが、サーブのテクニックや身体作りといった後天的要素も大きく影響します。

闇雲にサーブを数多く練習するよりも、サーブの球速を上げるための身体作りにも取り組んだ方がより大きな効果を得ることができます。

 

ストレッチ

股関節の柔軟性

テニスサーブの球速を高めるために重要なのが股関節の柔軟性であり、特に股関節の内外旋の可動域がテニスサーブのスピードに大きく関係していることが報告されています

股関節の柔軟性というと開脚などのイメージがあるかもしれませんが、そういったストレッチよりも股関節の内外旋の柔軟性を高めることが大事になってきます。

股関節の内旋の可動域の測定

股関節の外旋の可動域

外旋の可動域を改善するにはお尻の筋肉など股関節の後ろ部分のストレッチを行い、内旋の可動域を改善するには股関節の前をストレッチすることが基本になります。

ストレッチに加えてマッサージやフォームローラーで股関節周りの筋肉をほぐすと、股関節の柔軟性がアップしやすくなります。

股関節のストレッチ

 

肩の柔軟性

ストレッチなどで肩の柔軟性を高めればサーブの急速が上がっていくイメージがあるかもしれません。

しかし、意外にも肩の可動域はサーブのスピードとの関連性が弱いことが報告されており1・2、肩のストレッチなどにサーブのスピードアップはそこまで期待できないかと思います。

テニスサーブ

しかし、肩の柔軟性はテニスサーブに重要なものであり、柔軟性が低いと肩の痛みや怪我のリスクが高まりますし、筋肉がカチカチで無駄な力が入っているとコントロールが乱れやすくなることもあります。

このためストレッチなどで肩の柔軟性を高めることはテニス選手にとって重要であると思います。

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トレーニング

下半身の脚力

サーブの球速アップのためには下半身のパワーが重要であり、ジャンプ力が高いほどサーブの球速が速いことが報告されています

このためスクワットなどで脚力を鍛えていくことがサーブのスピードアップに役立ちます。

スクワット

また、デッドリフトなどのエクササイズもサーブとの関連性が強いことが報告されており、こういった種目も取り入れることが役立つかと思います。

デッドリフト

慣れていない選手がこういった負荷の高い下半身のトレーニングに取り組むと、膝の痛みや腰痛を引き起こすことがあるため注意が必要です。

まずはインナーマッスルなどを鍛えるところから始めて、ゆっくりと徐々に高負荷トレーニングへと進むことが怪我を防ぐポイントになります。

 

上半身のパワー

上半身のパワーもサーブに重要であり、肩の筋力全般がテニスサーブのスピードに影響していることが報告されています

ベンチプレスや懸垂、ショルダープレスなど肩の筋肉をバランスよく鍛えることがサーブの球速アップに役立ちます。

さらに、重いボールや砲丸投げの飛距離も関係していることが報告されていて、上半身の爆発的な筋力発揮という身体の使い方も大事になってきます5・6

メディシンボール

こういった重い重量を扱うようなトレーニングは想像以上に負担がかかり、肩を痛めるリスクもあるため少しずつ慎重に取り入れることが重要になります。

テニスサーブ
テニスサーブの肩の痛みの原因と改善方法

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体幹

サーブの球速アップには体幹の筋力も重要であり、特に腹斜筋を重点的に鍛えることが球速アップのポイントになります。

まずはサイドプランクなどで体幹の横方向の筋力を鍛え、徐々に回旋動作のエクササイズを取り入れていくことが役立ちます。

サイドプランク

体幹の回旋動作を行いながら重いボール(メディシンボール)を投げるようなエクササイズを取り入れるテニス選手も珍しくありません。

こういったエクササイズは球速アップに役立つのですが、身体を大きく捻るような動作に重量をかけてしまうと想像以上に腰に負担がかかるため、腰痛のリスクが高いことに注意が必要です。

メディシンボールエクササイズ

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まとめ

サーブの球速アップのためには肩の柔軟性だけでなく、股関節の内外旋の可動域を高めることが重要になります。

そして、サーブのスピードには肩周りの筋力だけでなく、ジャンプ力など下半身のパワー、腹斜筋などの体幹のトレーニングも役立ちます。

 

<参考文献>

  1. Palmer K, Jones D, Morgan C, Zeppieri G Jr. Relationship Between Range of Motion, Strength, Motor Control, Power, and the Tennis Serve in Competitive-Level Tennis Players: A Pilot Study. Sports Health. 2018 Sep/Oct;10(5):462-467. doi: 10.1177/1941738118785348. Epub 2018 Jul 2. PMID: 29965792; PMCID: PMC6116097.
  2. Knudson DV, Noffal GJ, Bahamonde RE, Bauer JA, Blackwell JR. Stretching has no effect on tennis serve performance. J Strength Cond Res. 2004 Aug;18(3):654-6. doi: 10.1519/13553.1. PMID: 15320640.
  3. Hayes MJ, Spits DR, Watts DG, Kelly VG. Relationship Between Tennis Serve Velocity and Select Performance Measures. J Strength Cond Res. 2021 Jan 1;35(1):190-197. doi: 10.1519/JSC.0000000000002440. PMID: 29324575.
  4. Ölmez C, Hammami N, Apaydın N, Hattabi S, Şar H, Khezami MA, İnce A. Is isokinetic shoulder strength a determinant of serve ball velocity in tennis? Sports Biomech. 2024 Jan 8:1-14. doi: 10.1080/14763141.2023.2300315. Epub ahead of print. PMID: 38190246.
  5. Bilić Z, Martić P, Barbaros P, Sinković F, Novak D. Neuromuscular Fitness Is Associated with Serve Speed in Young Female Tennis Players. Sports (Basel). 2024 Mar 30;12(4):97. doi: 10.3390/sports12040097. PMID: 38668565; PMCID: PMC11054964.
  6. Sánchez-Pay A, Ramón-Llin J, Martínez-Gallego R, Sanz-Rivas D, Sánchez-Alcaraz BJ, Frutos S. Fitness testing in tennis: Influence of anthropometric characteristics, physical performance, and functional test on serve velocity in professional players. PLoS One. 2021 Nov 29;16(11):e0259497. doi: 10.1371/journal.pone.0259497. PMID: 34843515; PMCID: PMC8629317.

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