腰痛

水泳選手の腰痛の原因と改善方法

 

水泳選手の腰痛の傾向

一般的に水泳ではそこまで大きく腰を動かすことが少ないと言われることがありますが、競技として水泳を行っていると繰り返しの回旋動作や腰を曲げるような動作を伴うことが珍しくなく、

競技レベルが上がるほどに腰痛のリスクが高まると言われることがあります

腰痛

一口に腰痛といっても様々な種類があり、筋肉系の痛みや骨へのダメージの蓄積による疲労骨折、股関節の歪みからくる腰痛など色々な可能性が考えられます。

ある研究では水泳選手は椎間板の損傷などの腰痛が多い傾向にあることが報告されています

重大な損傷の疑いがある場合には整形外科を受診することが大切であり、腰痛の悪化を防ぐことにつながります。

 

水泳選手の腰痛の原因

泳ぎのフォーム

一般的に泳いでいるときに腰の動きが大きいと負担がかかりやすいと言われています

例えば腰痛を抱えている水泳選手はドルフィンキックの時に腰の動きが大きく、股関節の働きが小さいことが報告されています

つまり、股関節など身体全体がうまく使えていないような泳ぎ方だと腰に負担がかかりやすく、腰痛の原因となりうると考えられます。

水泳キック

 

筋力不足

体幹の筋力不足も水泳選手の腰痛の原因として考えられ、腰痛を抱えている選手は体幹が弱い傾向にあると言えます。

特に体幹のインナーマッスルや腹斜筋などは普段から意識的に鍛えることが少ないため、筋力不足が放置されてしまっていることが多々あります。

腹直筋によるシックスパックだけではなく、体幹全体をバランス良く鍛えられているかどうかが腰痛に関わってきます。

水泳体幹

 

過剰な運動量

過剰な水泳の練習は腰痛のリスクであり、適度な休養がないまま練習を続けてしまうと腰痛が発生しやすくなります。

アマチュアの水泳選手よりもトップレベルの選手の方が腰痛が多いという研究報告もあり、こういった選手は泳ぎのフォームが乱れていない傾向にあることが報告されています

つまり、トップレベルの水泳選手といえど過剰な運動量が続いてしまうと腰痛を引き起こしてしまう原因になり得ます。

水泳競争

 

水泳選手の腰痛の改善方法

休養

水泳選手の腰痛は慢性的なダメージの蓄積によって引き起こされていることが多く、十分な休養を与えることが必要なケースが多いかと思います。

特に椎間板や骨などに損傷がある場合などには、腰を回復させるためにより長い期間の休みが求められます。

痛みがなくなったからとすぐに激しい練習を再開してしまうと、腰痛を再発してしまう可能性があるので慎重な判断が大事になってきます。

 

マッサージ

腰痛に対してマッサージが広く行われていますが、マッサージの腰痛に対する効果は科学的根拠は弱いことが報告されています

あくまで統計上で効果が弱いことが多いという意味であり、マッサージが腰痛の改善に役立つ事例は少なからずあるかとは思います。

治療というよりもコンディションを整える、身体のバランスを整えるという目的でのマッサージは十分に価値があるのではないでしょうか。

腰マッサージ

 

体幹トレーニング

水泳選手の腰痛には体幹トレーニングが役立ち、実際に水泳選手に対する体幹トレーニングが腰痛の改善に役立つことが報告されています

弱くなりがちなインナーマッスルや腹斜筋などを含めてバランス良く鍛えることが効果を高めるポイントになってきます。

サイドプランク

そして、体幹トレーニングに加えて股関節などの筋肉を鍛えることで、泳ぎのフォームなどの改善につながり腰の負担を減らすことができます。

全身の連動性を意識しながら体幹トレーニングを行うことで、より大きな効果が見込めるかと思います。

 

まとめ

水泳選手は繰り返しの回旋運動や股関節の働きが弱いことなど泳ぎ方次第では腰に負担がかかりやすく、体幹の筋力不足や十分な休養がないことなども腰痛の原因になります。

腰痛の改善のためには適度な休養や体幹トレーニング、全身の連動性を高めることなどが役立ちます。

 

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