ランニング

体幹の強化による走力アップについて

2024年8月12日

 

体幹で走ること

体幹の筋肉をうまく使うことで、体の中心部である体幹を安定させ、そこから生み出される力を効率的に推進力に変えて走ることができます。

体幹が重要であるということを耳にする機会は増えていて、体幹トレーニングを取り入れるランナーも徐々に増えている印象です。

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しかし、まだまだ体幹をうまく使えていないランナーも多く、潜在能力を十分に使いきれていないことも珍しくありません。

特に中長距離走は体幹の働きを長く維持することが難しく、効率的な走りを実現する難易度が高いと言えます。

 

体幹で走るメリット

ランニングエコノミーの改善

体幹トレーニングによってランニングエコノミーの改善、ランニング時の心拍数が低くなるなどの効果が報告されています

体幹がしっかりと働くことで走っている時のブレが減り、脚力をうまく地面に伝えることができるようになります。

反対に体幹がうまく機能していないと身体がブレてしまい、脚の力が変な方向に逃げていくような効率の悪い走り方になってしまうことがあります。

ランニング
ランニングエコノミーを高める方法について

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パワー出力の向上

腹筋

体幹がうまく使えているとランニングの効率が良くなるだけでなく、より大きな脚力を発揮でき、パワーの向上につながります。

特にショートインターバルなど、短い距離のランニングほど体幹を使うことの恩恵が得られやすいです。

長距離においても体幹を使うことで楽に走れる、スピードアップにつながりますが、短距離に比べて長距離では体幹を長時間使い続けることが難しくなります。

 

怪我予防

体幹を強化することで身体のブレを抑えることができ、膝や股関節の負荷の軽減につながります。

体幹が弱いと膝に負担がかかりやすくなるという報告もあり、体幹トレーニングを行うことでランニングの怪我が減るという研究結果も報告されています3・4

特にランニング時の身体のブレが大きいランナー、ランニング時のニーインなどを抱えているランナーなどは体幹トレーニングによって軸を強化する効果が大きいと言えます。

ランニングニーイン
ランニング時のニーインの原因と改善方法について

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体幹で走るデメリット

効果が微妙

体幹が重要という言葉を耳にすることは多くても、体幹トレーニングで思うようにランニングのパフォーマンス向上につながらないこともあります。

体幹トレーニングはプラスに働くことが多いのですが、やり方次第ではランニングパフォーマンスの向上につながりにくい場合があります

体幹の筋肉を鍛えることがゴールではなく、走っている時に体幹が機能することが大事なポイントになります。

 

感覚を掴みにくい

体幹の筋肉を活性化させるために丹田を意識して走るとか、腹圧を高めるとか、背中を使って走るなど様々な表現があります。

このような感覚を掴むことは意外と難しく、どのように身体を使えばいいのかわからないという声も少なくありません。

体幹にスイッチを入れる感覚は人によって違いますし、スイッチが入りやすい方法も人それぞれ違ってきます。

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体幹を意識することに疲れる

体幹を使う感覚を掴んだとしても、走っている時にずっと体幹を意識しながら走ることは現実的ではありません。

走っている最中には色々なことが起こるため、他のことも意識が向いてしまうことはよくあるかと思います。

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体幹を使って走るという意識的に行っていたものを、いかに無意識下に持っていくかがポイントになります。

ここで問題になることが、そもそも体幹が使えているかどうかが分かりにくいことです。

 

体幹を使えているかの確認方法

走っている時に体幹をうまく使えているかどうか説明しようとすると、ランニング時に体幹がブレずに走れているか、しっかりとした軸があるか、全身をうまく連動させて走れているか、といった曖昧な表現になります。

体幹をうまく使えているかどうかは自分自身の走りを録画して確認すること、コーチからのフィードバックなどで確かめてみることが役立ちます。

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走っている時の体幹の使い方が分かりにくい場合には、ランニング動作ではなくシンプルなエクササイズの中で体幹の感覚を掴むことから始めるといいでしょう。

 

体幹トレーニングの方法

コアトレーニング

腹筋が綺麗に割れるようなシックスパックの筋肉だけでは思うようにランニングのパフォーマンスアップにつながらないことがあります。

腹筋を鍛えることは必要なのですが、腹筋だけでなく腹斜筋などの横方向の体幹の筋肉、背中の筋肉など全てのバランスよく鍛えることが走力アップの大事なポイントになります。

より重い重量で鍛えることよりも、まずは様々な種類の体幹のトレーニングを取り入れることが大事になります。

全ての筋肉をバランス良く鍛えることが大事であり、アウターもインナーの筋肉も両方鍛えることでより大きな効果を生み出しやすくなります

 

ランニングドリル

体幹の筋肉を鍛えることは役立ちますが、体幹トレーニングも徐々にランニング動作に近い動きにしていくことでより大きな効果が見込めます。

ランニング動作のエクササイズの中で体幹を意識して、ぶれない強い軸を保ちながら行うことが役立ちます。

 

まとめ

体幹をうまく使うことで効率的な走りに近づき、ランニングパフォーマンスの向上や怪我予防に役立ちます。

体幹を使う感覚を身につけることは意外と難しく、まずは簡単な体幹トレーニングから始めて体幹の筋肉を全てバランス良く鍛えることが大事であり、徐々に競技動作に近づけていくことが役立ちます。

 

<参考文献>

  1. Hung KC, Chung HW, Yu CC, Lai HC, Sun FH. Effects of 8-week core training on core endurance and running economy. PLoS One. 2019 Mar 8;14(3):e0213158. doi: 10.1371/journal.pone.0213158. PMID: 30849105; PMCID: PMC6407754.
  2. Chaudhari AMW, VAN Horn MR, Monfort SM, Pan X, Oñate JA, Best TM. Reducing Core Stability Influences Lower Extremity Biomechanics in Novice Runners. Med Sci Sports Exerc. 2020 Jun;52(6):1347-1353. doi: 10.1249/MSS.0000000000002254. PMID: 31851042; PMCID: PMC7239732.
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