バドミントンでは繰り返しのプレーによって腰痛を抱えることが珍しくなく、場合によっては腰痛が長期化してしまうことがあります。
ここでバドミントンにおける腰痛の原因とその対策についてご紹介していきたいと思います。
バドミントンの腰痛の原因
スイング
バドミントンのスイング時の腰や骨盤の動きが腰痛に関係していて、体幹部を大きく動かすような捻る動きのクセ、腰を大きく反ってしまうようなスイングなどが腰痛のリスクになります。
特に大きなパワーを必要とするスマッシュなどのスイングでは腰の反りなど、動きのクセや乱れが大きくなる傾向があります。

また、肘や肩の痛みを抱えているとスイング動作の乱れにつながることがあり、実際に肘や肩の痛みを抱えている選手は腰痛も多かったという研究結果が報告されています1。
柔軟性の低下
柔軟性低下もバドミントン選手の腰痛につながります。
特に股関節の内旋の可動域はスイング動作に大きく関わるものであり、この柔軟性が不足しているとスムーズで滑らかなに身体を捻ることが難しくなり、腰に負荷がかかりやすくなります。

また、頭上からスマッシュを打つ際にも肩の柔軟性が必要になります。肩の可動域が足りずに体幹部の側屈などによって可動域を補っていると腰の負荷がかかりやすいスイングになってしまいます。
体幹の筋力不足
一般的に体幹の筋肉が強いほど腰痛を防げるイメージがあるかもしれませんが、闇雲に筋力を強くするだけでは腰痛を防げないことは珍しくありません。
腰痛を減らすためには体幹の複数の筋肉を連動して効率的に使えることが大切であり、うまく働いていない弱い筋肉をしっかりと鍛えることが大切になります。

また、バドミントンにおいては長時間のプレーをすることから、一瞬の瞬発力だけでなく長時間のプレーでも体幹の筋肉が働き続ける持久力も重要になります。
姿勢
バドミントンではショットを拾うために深い前傾姿勢になることが多く、腰に負荷がかかりやすくなります。

前傾姿勢が深いほど腰に負荷がかかりやすくなりますし、勢いよく速いスピードで拾うほど腰の負担が大きくなります。
こういった深い姿勢を楽にキープできるような体幹の筋肉なども大事になります。
過剰な運動量
バドミントンは長時間プレーし続けることが珍しくないスポーツであり、練習量やプレー時間が痛みや故障に強く関係しているスポーツです。
特に運動量を増やした直後や練習の負荷が高まった時には腰痛が起こりやすくなります。
急激に練習メニューを変えるのではなく、少しずつ身体を慣らしていくことが腰痛防止のポイントになります。

バドミントンの腰痛の改善方法
休養
バドミントンの腰痛を改善するための基本は十分な休養を取ることです。
腰のダメージを回復させるには思っている以上に時間がかかることも珍しくなく、焦らずに余裕のある休養期間を設けることが大切になります。

ストレッチ
バドミントンにおける腰痛を改善するためにはストレッチが役立ちます。
特に股関節の内旋の柔軟性を高めることがポイントであり、股関節の前部分を伸ばすようなストレッチが効果的です。

また、股関節の外旋の柔軟性も大事であり、お尻を伸ばすようなストレッチを行うことがスムーズな股関節の動きを獲得するのに役立ちます。

さらに、肩回りの柔軟性を高めるようなストレッチもスイングのクセを解消するのに役立ちます。
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バドミントンで脱力スイングを実現するためのストレッチとトレーニング
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マッサージ
ストレッチだけで筋肉をほぐすには限界があり、マッサージも取り入れることで細かい筋肉をほぐしやすくなります。
股関節周りの筋肉の奥深くにコリを抱えていることが珍しくなく、マッサージがそういった筋肉の硬さの改善に役立ちます。

マッサージは柔軟性を高めたり、スイングのクセを解消するのに役立ちますが、マッサージに腰痛のダメージ回復自体を促進させる効果がないことには注意が必要です。
体幹トレーニング
バドミントンにおける腰痛を改善するために体幹トレーニングが役立ちます。
腰痛を抱えている場合には負荷の軽い体幹トレーニングから始めていくことで腰痛悪化のリスクを抑えることが大切になります。
特にインナーマッスルなどの細かい筋肉から鍛えていくことで、腰痛のリスクを抑えつつ効率的に体幹を鍛えることができます。

また、身体を動かさずに姿勢をキープするようなサイドプランクなどのエクササイズも腰の負荷が小さく、弱くなりやすい体幹の筋肉を鍛えることができ腰痛改善のトレーニングとして役立ちます。

腰痛が解消していくにつれて徐々に体幹の大きな筋肉も鍛えていき、バランスの良い体幹の筋肉を獲得することが大事になります。
特に深い前傾姿勢でのエクササイズはバドミントンで重要であり、綺麗な姿勢を維持しながらトレーニングを行うことが腰痛防止のポイントになります。

まとめ
スイング時の腰の動きや長時間のプレー、股関節の柔軟性、体幹の筋肉の使われ方のクセなどがバドミントン選手の腰痛につながります。
十分な休養を設けること、ストレッチやマッサージで柔軟性を高めことや、体幹トレーニングなどが腰痛の改善に役立ち、違和感があったら運動量を調整するといった対応が大切です。
<参考文献>
- Sekiguchi T, Hagiwara Y, Momma H, Tsuchiya M, Kuroki K, Kanazawa K, Yabe Y, Yoshida S, Koide M, Itaya N, Itoi E, Nagatomi R. Coexistence of Trunk or Lower Extremity Pain with Elbow and/or Shoulder Pain among Young Overhead Athletes: A Cross-Sectional Study. Tohoku J Exp Med. 2017 Nov;243(3):173-178. doi: 10.1620/tjem.243.173. PMID: 29162768.
- Noormohammadpour P, Rostami M, Mansournia MA, Farahbakhsh F, Pourgharib Shahi MH, Kordi R. Low back pain status of female university students in relation to different sport activities. Eur Spine J. 2016 Apr;25(4):1196-203. doi: 10.1007/s00586-015-4034-7. Epub 2015 May 31. PMID: 26026471.
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