膝痛

バドミントン選手の膝の痛みの原因と改善方法

2025年1月14日

 

バドミントンは意外と膝を酷使するスポーツであり、膝痛を発症してしまう選手が珍しくありません。

ここでバドミントン選手の膝の痛みの原因と改善方法について解説していきたいと思います。

 

バドミントンの膝の痛みの原因

ステップワーク

バドミントンのステップワークは想像以上に膝に負荷がかかることがあり、特に際どいショットを拾うような動作で膝の負荷が大きくなります。

競技レベルがあがるほど頻度や負荷が大きくなる傾向があり、国際大会にもなると際どいショットが多くなり、ステップワークで膝に大きな負担がかかります

バドミントンステップ

ステップワークの質も膝の負荷に関係していて、バランスを崩した状態でのステップワークは膝にねじれるような負荷がかかり、膝痛につながりやすくなります。

また、足首が外側を向いてしまうな不安定なステップワークでは膝の負荷が大きくなることも報告されています

 

ジャンプスマッシュ

ジャンプスマッシュの着地も膝に負荷がかかりやすく、特に片足での着地を繰り返していると膝に大きな負担がかかります

また、予期せぬ方向へのジャンプスマッシュは膝の負荷が大きくなりやすいことが報告されています

バドミントンジャンプスマッシュ

 

柔軟性

バドミントン選手は柔軟性も膝の痛みに関わってきます。

例えばバックハンドでのショットのほうが股関節の内旋の可動域が求められる傾向にありますし、足首の柔軟性が求められることもあります

バドミントンバックハンド

こういった柔軟性が不足していると思うようなステップワークができずに、バランスを崩して膝に負担がかかりやすくなることがあります。

実際にバドミントンのエリート選手のほうがステップ時に膝を柔らかく使うことができることが報告されています

ただし、こういった膝のクッションは柔軟性だけの問題ではなく、身体の使い方や筋力なども関係してきます。

 

筋力不足

筋力不足はステップワークの質の悪化につながり、膝の痛みの原因にもなります。

実際に怪我をしているバドミントン選手は大腿四頭筋やふくらはぎの筋肉が働きが悪いことも報告されています

膝の筋肉

大腿四頭筋の働きが悪いバドミントン選手はジャンプスマッシュ時の膝の衝撃吸収が弱いことが報告されています

また、ふくらはぎの筋肉の働きが悪いとステップワーク時に膝がブレやすく膝の負荷につながることが報告されています

このように膝の痛みや怪我には周辺の筋肉が大いに関係しているわけです。

 

過剰な運動

十分な休養を取らずに過剰な運動をしていると膝の痛みにつながります。

バドミントンは長時間の練習が珍しくなく、知らず知らずのうちに膝にダメージが蓄積されることがあります。

運動量が増えた時期や練習の強度が高まった時期に膝の痛みが起こりやすくなり、急激な練習内容の変化には注意が必要です。

バドミントンでは前十字靭帯断裂なども意外と多く、無理してプレーし続けると1年以上の長期離脱といった事態にもなりかねません。

バドミントン
バドミントン選手の前十字靭帯断裂について

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バドミントン選手の膝の痛みの改善方法

休養

バドミントンにおける膝の痛みの改善の基本は十分な休養を取ることです。

膝のダメージが慢性的に蓄積されて膝の痛みを引き起こしていることが多々あり、ダメージを回復させるには想像以上の休養期間が必要になることも珍しくありません。

焦らずに余裕を持ったスケジュールを組むことがポイントであり、急いで復帰してしまうと膝痛を再発してしまったり、さらなる怪我の悪化を引き起こすこともあります。

 

サポーター

バドミントンでの膝の痛みには膝のサポーターが役立ち、実際に膝のサポーターにバドミントンの膝の負荷を減らす効果があることが報告されています10

膝のサポーターは簡単に装着することができ、繰り返し使用しやすいことがメリットになります。

 

テーピング

バドミントンの膝の痛みにはテーピングも役立ちます。

膝のサポーターと違い、テーピングでは細かいところの調整がしやすく、最適なカスタマイズがしやすいというメリットがあります。

最適なテーピング方法はその人の状態によって違ってくるため、専門家に相談することが役立ちます。

 

ストレッチ

バドミントンの膝の痛みの改善にはストレッチで柔軟性を高めることが役立ちます。

バドミントンでは縦横無尽に動くことが多いのですが、特に膝はねじれの負荷に対して弱いため、回旋動作における柔軟性を高めておくことがポイントになります。

例えば股関節の前部分を伸ばすようなストレッチは股関節の内旋の柔軟性を高めるのに役立ちます。

股関節のストレッチ

また、お尻の筋肉を伸ばすようなストレッチは股関節の外旋の柔軟性を高めるのに役立ちます。

股関節のストレッチ

ふくらはぎのストレッチは足首の柔軟性を高めることができ、膝のねじれるようなステップワークでも膝が安定しやすくなります。

ふくらはぎのストレッチ

 

マッサージ

ストレッチだけでは届きにくい筋肉の硬さがあるため、マッサージを組み合わせて身体のケアをすることで柔軟性を高めやすくなります。

股関節周りは奥深いところに筋肉のコリがあることが珍しくありませんし、足首周りは細かいところがストレッチしにくいためマッサージのほうがピンポイントでほぐしやすくなります。

足首のマッサージ

 

トレーニング

トレーニングで筋肉をつけることもバドミントンにおける膝痛の改善に役立ちます。

痛みのない範囲でのエクササイズを行うことが大事であり、過剰な負荷は痛みを悪化させるリスクがあります。

体重をかけずに行う股関節周りのエクササイズは膝への負担が小さいため、早い段階でも取り入れやすいというメリットがあります。

クラムシェル

内転筋エクササイズ

痛みが改善してくるにつれて、徐々に膝周りのエクササイズも取り入れていきます。

大腿四頭筋やハムストリングスなど、膝周りの筋肉をバランスよく鍛えていくことが膝痛の再発防止に役立ちます。

 

まとめ

バドミントン選手の膝の痛みはステップワークやジャンプスマッシュ、柔軟性や筋力、過剰な練習などが原因になります。

膝の痛みの改善には十分な休養、ストレッチやマッサージ、トレーニングで筋力を鍛えることが役立ちます。

 

<参考文献>

  1. Kuntze G, Mansfield N, Sellers W. A biomechanical analysis of common lunge tasks in badminton. J Sports Sci. 2010 Jan;28(2):183-91. doi: 10.1080/02640410903428533. PMID: 20391092.
  2. Peng D, Mao Z, Zhang W, Yu J, Zhang S. In vivo knee biomechanics during badminton lunges at different distances and different foot positions by using the dual fluoroscopic imaging system. Front Bioeng Biotechnol. 2023 Dec 21;11:1320404. doi: 10.3389/fbioe.2023.1320404. PMID: 38188492; PMCID: PMC10768190.
  3. Noormohammadpour P, Rostami M, Mansournia MA, Farahbakhsh F, Pourgharib Shahi MH, Kordi R. Low back pain status of female university students in relation to different sport activities. Eur Spine J. 2016 Apr;25(4):1196-203. doi: 10.1007/s00586-015-4034-7. Epub 2015 May 31. PMID: 26026471.
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  6. Lam WK, Wong DW, Lee WC. Biomechanics of lower limb in badminton lunge: a systematic scoping review. PeerJ. 2020 Nov 4;8:e10300. doi: 10.7717/peerj.10300. PMID: 33194445; PMCID: PMC7648456.
  7. Tong J, Lu Z, Cen X, Chen C, Ugbolue UC, Gu Y. The effects of ankle dorsiflexor fatigue on lower limb biomechanics during badminton forward forehand and backhand lunge. Front Bioeng Biotechnol. 2023 Jan 30;11:1013100. doi: 10.3389/fbioe.2023.1013100. PMID: 36798592; PMCID: PMC9927012.
  8. Wen J, Xu D, Zhou H, Zhang Z, Xiang L, Munivrana G, Gu Y. Analysis of Quadriceps Fatigue Effects on Lower Extremity Injury Risks During Landing Phases in Badminton Scissor Jump. Sensors (Basel). 2025 Apr 17;25(8):2536. doi: 10.3390/s25082536. PMID: 40285222; PMCID: PMC12030846.
  9. Lin CF, Hua SH, Huang MT, Lee HH, Liao JC. Biomechanical analysis of knee and trunk in badminton players with and without knee pain during backhand diagonal lunges. J Sports Sci. 2015;33(14):1429-39. doi: 10.1080/02640414.2014.990492. Epub 2015 Jan 9. Erratum in: J Sports Sci. 2018 Apr;36(8):962. doi: 10.1080/02640414.2017.1351135. PMID: 25574707.
  10. Valldecabres R, de Benito AM, Littler G, Richards J. An exploration of the effect of proprioceptive knee bracing on biomechanics during a badminton lunge to the net, and the implications to injury mechanisms. PeerJ. 2018 Dec 20;6:e6033. doi: 10.7717/peerj.6033. PMID: 30595976; PMCID: PMC6304263.

 

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