足首が硬いとランニングやジャンプなどの動きが悪くなることがありますが、ストレッチをしても思うように足首の硬さが解消されないことが珍しくありません。
ここで足首の硬さを解消するためのポイントについて解説していきたいと思います。
ふくらはぎのストレッチの重要性
パフォーマンス

ふくらはぎの筋肉の硬さや足首の背屈の可動域はパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。
足首が硬いとスクワットで綺麗な姿勢が取りにくくなり、深いスクワットがやりにくくなるなどトレーニング効果が弱まる可能性があります。

また、足首が硬いと可動域が制限され、ふくらはぎの筋肉が伸びにくくなるためふくらはぎのトレーニングの効果が弱まる可能性があります。
足首の柔軟性があり、より大きい可動域でカーフレイズを行った方がふくらはぎの筋肉を強化しやすくなります。

怪我のリスク
ふくらはぎが硬かったり足首の柔軟性が低いことでアキレス腱炎や膝痛などにつながるリスクがあります1・2。
足首の可動域が制限されていると動きに悪影響を与えることがあり、つま先が外を向きやすくなるなど足関節の姿勢が悪くなることがあります。

また、足首が硬いと膝の動きにも悪影響があり、膝がブレやすくなる、膝のクッションが使いにくくなるなど負荷がかかりやすくなります3・4。
ふくらはぎのストレッチ方法
基本のストレッチ
足首の柔軟性を高めるには、ふくらはぎの筋肉を伸ばすストレッチが使われることが一般的です。
軽く前傾姿勢になって、かかとが地面から離れないようにしながら、後ろ脚のふくらはぎを伸ばすように体重をかけてストレッチを行います。

つま先を外に向けてしまうクセがある場合にはふくらはぎが伸ばされにくくなるため、しっかりとつま先をまっすぐに維持することもポイントになります。
傾斜
傾斜があるボードなどを使ったふくらはぎのストレッチは、より大きく筋肉を伸ばすことができます。
また、膝を軽く曲げた状態で傾斜があるボードでストレッチを行うことで、ふくらはぎの奥にあるヒラメ筋をストレッチしやすくなります。
傾斜がついたボードなどがない場合には、つま先を壁にひっかけてストレッチすることで代用することができます。

足首を回す
足首の柔軟性を高めるために足首を回して、足首をほぐすこともよく行われています。
足首を回すこと自体はいいことなのですが、なんとなく足首を回すだけでは楽な方向に逃げてしまい、硬い部分がほぐしにくくなります。
動きにくい部分を意識的に動かすことが大切であり、必要に応じて手を使って足首を回すことなどが役立ちます。
ふくらはぎのストレッチの限界
足首の柔軟性を高めるにはふくらはぎのストレッチが行われることが多いのですが、ストレッチには限界もあります。
実際にふくらはぎのストレッチに数週間取り組んでも可動域が約2~3°しか増えないという研究結果が多かったことが報告されています5。
というのも関節のかみ合わせが悪かったり、足関節の軸がズレていたりすると、ふくらはぎのストレッチの効き目が弱くなることが珍しくありません。
このためストレッチだけでなく、足部のマッサージ、モビライゼーションといった施術で足関節を整えることも必要になる場合があります。
また、足首やふくらはぎの筋肉をほぐすだけでなく、足首周りの筋肉を鍛えるといったことも大切です。
実際に足首の筋力があったほうが足首が柔らかい傾向にあることが報告されています6。
足首の筋力があることで足関節の軸が安定しやすくなり、適切な位置に収まることで余計な負担がかかりにくく、足部の柔軟性を出しやすくなります。

足首を鍛える際には多方向のエクササイズを行うことや、体重をかけた状態で足首の筋肉を使うようなエクササイズなども取り入れていくことも役立ちます。
とはいえ足部は多くの筋肉や関節が入り乱れているため想像以上に複雑な部位であり、セルフケアやトレーニングを行っても思うような効果を得られないことも珍しくありません。
足部を整えるには必要に応じて専門家の指導を受けることも役立ちます。
まとめ
足首が硬いとパフォーマンスの低下や怪我のリスクがあり、足首の柔軟性を確保することは大切です。
ストレッチなどで足首をほぐすことが一般的ですが、ストレッチで思うような効果が出ないことも珍しくありません。
そういった場合には足部のマッサージや施術、足部のトレーニングなど多様な方法を取り入れていくことが役立ちます。
<参考文献>
- Rabin A, Kozol Z, Finestone AS. Limited ankle dorsiflexion increases the risk for mid-portion Achilles tendinopathy in infantry recruits: a prospective cohort study. J Foot Ankle Res. 2014 Nov 18;7(1):48. doi: 10.1186/s13047-014-0048-3. PMID: 25426172; PMCID: PMC4243387.
- Sprague AL, Smith AH, Knox P, Pohlig RT, Grävare Silbernagel K. Modifiable risk factors for patellar tendinopathy in athletes: a systematic review and meta-analysis. Br J Sports Med. 2018 Dec;52(24):1575-1585. doi: 10.1136/bjsports-2017-099000. Epub 2018 Jul 27. PMID: 30054341; PMCID: PMC6269217.
- Kondo H. Changes in the Ground Reaction Force, Lower-Limb Muscle Activity, and Joint Angles in Athletes with Unilateral Ankle Dorsiflexion Restriction During A Rebound-Jump Task. J Funct Morphol Kinesiol. 2018 Oct 26;3(4):52. doi: 10.3390/jfmk3040052. PMID: 33466981; PMCID: PMC7739253.
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- Radford JA, Burns J, Buchbinder R, Landorf KB, Cook C. Does stretching increase ankle dorsiflexion range of motion? A systematic review. Br J Sports Med. 2006 Oct;40(10):870-5; discussion 875. doi: 10.1136/bjsm.2006.029348. Epub 2006 Aug 22. PMID: 16926259; PMCID: PMC2465055.
- Guillén-Rogel P, San Emeterio C, Marín PJ. Associations between ankle dorsiflexion range of motion and foot and ankle strength in young adults. J Phys Ther Sci. 2017 Aug;29(8):1363-1367. doi: 10.1589/jpts.29.1363. Epub 2017 Aug 10. PMID: 28878463; PMCID: PMC5574351.
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