足の痛み

ランニングのふくらはぎの痛みの原因と改善方法

2024年7月10日

 

ランニングとふくらはぎの筋肉

ふくらはぎ筋肉の役割

ふくらはぎの筋肉はかかとを上げる動作などで使われる筋肉であり、ランニングにおいては体重を支える役割、ストライド(歩幅)を広げる役割などがあります

ランニングふくらはぎ

ふくらはぎの筋肉はマラソンなどにおいて最も大きな力を生み出している筋肉になります

スプリント走など瞬発力が求められる状況ではお尻の筋肉などが使われる割合が多くなりますが、ランニングにおいてはふくらはぎの筋肉がとても重要です。

 

競技パフォーマンス

ふくらはぎの筋肉はマラソンのパフォーマンスとの関連性が強いことが報告されています

ふくらはぎの筋肉量が多く、筋力が強いとランニングエコノミーが良く、酸素消費量が少ない効率的な走りになります

陸上トラックレース

 

ランニングのふくらはぎの痛みの原因

シューズ

シューズの選択がランニング時のふくらはぎの負荷に影響し、かかとが低いシューズはふくらはぎの筋肉に負荷がかかりやすい傾向にあります。

例えば裸足感覚で走れるベアフットシューズなど、かかと部分が極端に低いデザインのシューズはふくらはぎの筋肉に大きな負荷がかかります。

一方でかかとが高いシューズの方がふくらはぎの筋肉の負荷を和らげることができます。

ランニングシューズ

シューズの安定性もふくらはぎの筋肉に影響を及ぼすことがあり、片足バランスが簡単にぐらついてしまうようなシューズはふくらはぎの負荷が大きくなることがあります。

片足バランスが安定するようなシューズを選ぶこともふくらはぎの筋肉の負荷を減らすのに役立ちます。

片足バランスのエクササイズ

ランニング
痛みや怪我を減らすランニングシューズの選び方

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足首の柔軟性

足首の柔軟性が低下しているとスムーズな足部の動きが阻害され、ふくらはぎの筋肉に負荷がかかりやすくなる可能性があります。

特に足先を上に向けるような背屈の動作の柔軟性が低下しているケースが多くあります。

足首の背屈底屈の可動域

 

ふくらはぎの筋力

ランニングではふくらはぎの筋肉が多く使われるため、ふくらはぎの筋力が弱いとンニングで痛みが出やすくなります。

十分に慣れていない距離やスピードで走るといった場合には注意が必要になります。

ランニングふくらはぎの筋肉

筋力の目安として片足ジャンプが連続でうまくできなかったりする場合には、ふくらはぎの筋肉が弱いと言えます。

 

ランニングフォーム

ランニングフォーム次第ではふくらはぎの筋肉に負荷がかかりやすくなることがあります。

特に足部のつま先付近から着地するフォアフット走法はふくらはぎの筋肉に負荷がかかります

慣れていない人が急にフォアフット着地で走るとふくらはぎの筋肉に痛みが出てしまうリスクがあります。

ランニングフォーム
フォアフット走法は怪我のリスクを高めるのか?

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ふくらはぎの痛みの改善方法

休養

ふくらはぎの痛みを改善するための基本は休養です。

痛みがなくなるまでランニングは控えて、十分に回復させることが大事になります。

 

テーピング

ふくらはぎのテーピングは歩行時やランニングの痛みを軽減するのに役立ちます。

テーピングには様々な種類がありますが、伸縮性のあるテーピングをふくらはぎに沿うような形で張る方法が一般的です。

テーピングは即効性がありますが、痛みが治っているわけではないので、無理に運動を続けると痛みが悪化する可能性があるため注意が必要です。

 

ストレッチ

ふくらはぎのストレッチは痛みを改善するのに役立ちます。

特に足首の柔軟性が低い人はストレッチに取り組み、十分な柔軟性を確保することが大事になります。

ふくらはぎのストレッチ

しかし、中にはふくらはぎのストレッチが効かない、伸びている感じがしないという人もいます。

この場合にはストレッチではなく、マッサージなどで筋肉をほぐしたほうがいいでしょう。

 

マッサージ

ふくらはぎの筋肉が硬い場合にはマッサージでほぐすことが役立ちます。

ふくらはぎのマッサージ

また、足首が硬い場合には足首の前部分もほぐすことも柔軟性の改善に役立ちます。ただし、ここは少しほぐしにくい部分であり、ちょっとしたコツが必要にはなります。

足首

 

トレーニング

ふくらはぎの筋力を強化することはランニングによるふくらはぎの痛みを改善・予防するのに役立ちます。

ふくらはぎに痛みがある時はふくらはぎ自体のトレーニングは痛みを悪化させる可能性があるため、足の指のトレーニングなど負荷が軽いものを行うことが賢明です。

足の親指の伸展エクササイズ足の指の伸展エクササイズ

足の指の筋肉の働きは重要であり、ふくらはぎの筋肉が使われるような場面、つま先立ちになる時には足の指が土台として支える役割があります。

足の指の筋肉が強いことで安定して地面を捉えることができ、ふくらはぎの筋肉の力が効率的に伝わりやすくなります。

走っているところ

ふくらはぎの痛みがなくなってきたら、カーフレイズなどふくらはぎの筋肉を鍛えるトレーニングを取り入れていきます。

カーフレイズ

最初は両足のカーフレイズから始めて、徐々に片足のカーフレイズなど負荷の高いトレーニングも取り入れることが役立ちます。

 

まとめ

ランニングではふくらはぎの筋肉が推進力に大きく関係しており、踵が低いシューズや不安定なシューズ、フォアフットでの着地などはランニング時のふくらはぎの筋肉の負荷が高まります。

ふくらはぎの痛みの改善にはテーピング、ストレッチやマッサージ、足部を強化するトレーニングなどが役立ちます。

 

<参考文献>

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