肩の痛み

槍投げ選手の肩の痛みの原因と改善方法

2024年7月16日

 

槍投げ

 

槍投げ選手の肩の痛みの原因

可動域の低下

肩の可動域の低下は肩の怪我のリスクが高くなり、柔軟性の低下が肩の痛みにつながります。

槍投げ選手は肩の内旋の可動域が10°ほど低下し、肩の外旋の可動域が増えていることが報告されています1・3・4

たくさん練習した後などに可動域が低下しやすいため、練習後の肩のケアが大事になります。

槍投げ可動域

 

肩甲骨の機能低下

肩甲骨の機能低下によって肩の負担がかかりやすくなり、怪我へとつながる可能性があります。

特に槍投げの選手は肩甲骨のポジションの左右差が大きいことが報告されています

利き腕次第で多少の肩甲骨の違いは起こりうるため問題ないのですが、肩甲骨の左右差が大きいほど怪我のリスクがあるため注意が必要です。

槍投げ肩甲骨

 

槍投げ動作の質

槍投げの動作の質が悪いと肩に大きな負担がかかり、怪我へとつながる可能性があります。

実際に槍投げ選手の動きを分析した研究では、肩で生み出した力を手先にうまく伝えることができると肩の負荷が減ることが報告されています

これは投てき動作のテクニックによるものだけでなく、身体のバランスや筋肉のつき方、柔軟性などのテクニック以外の部分が投てき動作に影響を及ぼすことがあります。

槍投げ

 

高重量トレーニング

槍投げ選手は記録向上のために様々な練習を行いますが、高重量トレーニングは肩を痛めるリスクが高くなります。

3kg以上の重さでの投てき練習している選手は関節損傷が多いことが報告されています

他にも過剰なウェイトトレーニングなど、肩に負担をかけ過ぎてしまうと怪我のリスクが高まります。

槍投げ

 

槍投げ選手の肩の痛みの改善方法

ストレッチ

槍投げでの肩の痛みには柔軟性の低下が関わっていることが多く、肩の痛みの改善にはストレッチが役立ちます。

特に肩の内旋の可動域の低下が怪我との関連性が強く、次の図のようなストレッチで肩の内旋の可動域を改善することができます。

肩のストレッチ

 

マッサージ

ストレッチだけでは改善できない肩の柔軟性があり、そういった部分にはマッサージなどの施術が役立ちます。

専門家の施術ほどの効果はありませんが、自分自身でケアをする場合にはマッサージガンや筋膜リリースの道具を使うことが役立ちます。

肩のマッサージ

 

トレーニング

槍投げでの肩の痛みの改善には肩のインナーマッスルや肩甲骨のトレーニングが役立ちます。

特にローテーターカフのトレーニングに取り組むことが肩の痛みの改善に重要であり、ここが疎かになっていることが珍しくありません。

槍投げ選手に対するこういったインナーマッスルのトレーニングは怪我を減らすだけでなく、可動域の向上、槍投げの飛距離アップにもつながることが報告されています

肩インナーマッスルトレーニング

 

まとめ

槍投げ選手の肩の痛みは肩の可動域の低下、肩甲骨の機能低下や槍投げ動作での力の伝え方、高重量トレーニングなどが原因になります。

肩の痛みの改善にはストレッチなどでの柔軟性の向上、インナーマッスルや肩甲骨のトレーニングが役立ちます。

 

<参考文献>

  1. Schmitt H, Hansmann HJ, Brocai DR, Loew M. Long term changes of the throwing arm of former elite javelin throwers. Int J Sports Med. 2001 May;22(4):275-9. doi: 10.1055/s-2001-13814. PMID: 11414670.
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