野球選手の柔軟性を高めるストレッチ
肩のストレッチ
肩関節屈曲
肩の柔軟性は野球選手に重要なものであり、手を真上に挙げること、つまり肩関節の屈曲の可動域の低下はピッチャーの肘の怪我のリスクが高まることが報告されています1。
(Camp et al 2017)
肩関節の屈曲の可動域を高めるためには広背筋のストレッチや大胸筋のストレッチなどが役立ちます。
肩の内旋の可動域
野球選手の肩の柔軟性でよく言われるものが肩の内旋の可動域であり、内旋の可動域の低下は肩の怪我のリスクを高めることが報告されています2。
(Camp et al 2017)
肩の内旋の可動域の低下は肩関節の後部の硬さが原因となることが多く、こういった部分をストレッチなどでほぐすことが役立ちます。
ストレッチだけではほぐしきれない部分があるため、フォームローラーやマッサージなども取り入れて肩の後部をほぐすことも大事です。
肩の外旋の可動域
肩の外旋の可動域も野球選手に重要な要素です。
肩の外旋の可動域の低下はピッチャーの肩の怪我のリスクを高めることが報告されていますし3、肩の外旋の可動域が高いピッチャーは球速が速い傾向にあることも報告されています4。
(Camp et al 2017)
肩の外旋の柔軟性の低下は肩の前部や胸筋の硬さが原因となることが多いため、こういったところをストレッチでほぐすことが役立ちます。
(Sakata et al 2019)
ピッチャーの肩の最大外旋位と球速・怪我の関係
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股関節のストレッチ
股関節の柔軟性は野球選手に重要なものであり、股関節が柔らかいことで下半身の力をうまく使い、連動性の高い効率的な動きに近づきます。
特に股関節の内旋・外旋の可動域はピッチング動作との関連性が強く、股関節の内旋・外旋の可動域が高いことで球速も速くなりやすいことが報告されています5・6。
また、股関節の外旋の可動域が低いと肘や肩を痛めるリスクが高まることも報告されています7。
こういったことから股関節の外旋や内旋の柔軟性を高めるようなストレッチに取り組むことが役立ちます。
股関節の外旋の可動域を高めるにはお尻部分のストレッチを行うことが効果的であり、股関節の内旋の可動域を高めるには股関節の前部分をストレッチでほぐすことが役立ちます。
大腿のストレッチ
ハムストリングスや大腿四頭筋が硬い野球選手は腰痛リスクが高まることが報告されています8・9。
こういった筋肉が硬いとスムーズなピッチングやバッティングの動きの妨げになる可能性があるため、ストレッチ等でほぐしておくと良いでしょう。
足首のストレッチ
意外に思うかもしれませんが、野球選手は足首の柔らかさも重要になってくることがあり、実際に足首の背屈の可動域が低い野球選手は肩や肘の怪我のリスクが高まることが報告されています10。
足首が硬いとピッチングやバッティング時の回旋動作の妨げになることがありますし、足首が硬いと適切なフォームでスクワットなどのトレーニングを行うことができません。
こういったことからふくらはぎのストレッチなどに取り組み、足首の柔軟性を高めておくことが役立ちます。
柔軟性を高めるトレーニング
肩甲骨
野球では肩甲骨の動きが重要であると言われることが多々あり、肩甲骨のトレーニングは柔軟性アップにも役立ちます。
そもそも肩甲骨を思うように動かせないという野球選手も意外と多く、まずは肩甲骨を色々な方向に動かすようなトレーニングを取り入れることが役立ちます。
野球選手の場合には肩甲骨周りのインナーマッスルが十分に発達していないことが多く、そういった筋肉を鍛えられるようなエクササイズを取り入れることで肩甲骨のスムーズな動きにつながります。
まとめ
野球選手の柔軟性はパフォーマンスや怪我予防に重要な要素であり、特にストレッチなどで肩関節の内外旋の可動域や股関節の内外旋の柔軟性を高めることが役立ちます。
<参考文献>
- Camp CL, Zajac JM, Pearson DB, Sinatro AM, Spiker AM, Werner BC, Altchek DW, Coleman SH, Dines JS. Decreased Shoulder External Rotation and Flexion Are Greater Predictors of Injury Than Internal Rotation Deficits: Analysis of 132 Pitcher-Seasons in Professional Baseball. Arthroscopy. 2017 Sep;33(9):1629-1636. doi: 10.1016/j.arthro.2017.03.025. PMID: 28865566.
- Keller RA, De Giacomo AF, Neumann JA, Limpisvasti O, Tibone JE. Glenohumeral Internal Rotation Deficit and Risk of Upper Extremity Injury in Overhead Athletes: A Meta-Analysis and Systematic Review. Sports Health. 2018
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