肘の痛み

テニスラケットのグリップの握り方と怪我のリスク

2024年7月31日

 

テニスで適切なグリップを選ぶことはプレーの質を高めることはもちろん、怪我のリスクなどにも関わってくる場合があります。

テニスではグリップの役割は重要なものなのですが、握り方だけでなくグリップに関わる筋肉がうまく機能していないことも珍しくありません。

 

グリップの種類

コンチネンタルグリップ

コンチネンタルグリップは包丁を握るようなイメージで、地面に対して垂直になったラケットを握ります。

コンチネンタルグリップはサーブやボレー、スマッシュやスライス、ドロップショットなどの場面に適していますが、フォアハンドには適しておらず、パワーが出しにくいしトップスピンもかけにくいグリップです。

低めや中程度の高さのストロークに適していますが、高めのストロークが打ちにくいことがあります。

 

イースタングリップ

イースタングリップは打球する面の裏側に掌を当て、そのままグリップに移動したような形で握ります。

イースタングリップではよりフラットな打撃が可能になり、コンタクトゾーンが長くなり、攻撃的なゲームスタイルに適しています。

イースタングリップはフォアハンドやバックハンドでのパワーが出やすく、強烈なショットを打ちやすいことが特徴です1・2

 

セミウェスタングリップ

セミウェスタングリップはイースタングリップとウェスタングリップの中間くらいの握り方で、現在のテニスでのストロークにおける主流の握り方です。

トップスピンを打ちやすく、時にはボールをフラットにするなど、柔軟なプレーがしやすいのが特徴です。

 

 

ウェスタングリップ

ウェスタングリップはラケットを地面と平行にした状態で上から握手をするように握ります。

ウエスタングリップはトップスピンを生み出すのに役立ちますが、このパワーを出しにくいという特徴もあります

高めのストロークを打ちやすいのですが、低めのボールは打ちにくいことがあります。

 

グリップと怪我のリスク

グリップの種類の違いによって負担がかかる場所が変わってきます。

イースタングリップは肘の内側の筋肉の負担が大きく、ウェスタングリップは肘の外側の筋肉に負担になることが報告されています

テニス肘は肘の外側の筋肉の損傷であり、ウェスタングリップはテニス肘につながりやすいと考えられます。

テニスのバックハンド

また、ボールを打つ時に芯を外してしまうとグリップの負担が大きくなり、結果的に肘の筋肉の負担が増えます4・5

さらにラケットのテンションが強いとショットのスピードが出やすいのですが、一方でグリップの負担が大きくなり、肘に負担がかかりやすいというデメリットがあります

テニスラケットを握る場面

このようにラケットを握るグリップに過剰な負荷がかかり続けるとテニス肘につながってしまうことがあります。

また、筋肉の機能低下などにより、テニスラケットをうまく握れていないことがテニス肘に関係していることもありますし、

グリップが弱いとショットがふらつきやすく、力が伝わりにくくなることがあります。

 

グリップ強化のトレーニング

握力のトレーニング

握力トレーニング

握力を強化することはテニス肘など怪我予防に役立ちます。

しかし、テニス選手は普段からラケットを握っているため十分な握力を有していることが多く、握力を鍛えるトレーニングだけでは特定の筋肉ばかりが使われ、バランスが偏ってしまう可能性があります。

テニスにおけるグリップと握力計などのグリップでは使われる筋肉が微妙に違います。

テニスのパフォーマンス向上や怪我予防の観点においては、弱くなりがちな細かい筋肉に焦点を当てて鍛えることがより効果的です。

 

手首のトレーニング

グリップ力を高めるには、前腕の筋肉を個別に細かく鍛えることが役立ちます。

前腕には多くの筋肉がついているため、満遍なく筋肉に刺激が入るように手首を4方向に動かすようなエクササイズが役立ちます。

手首のエクササイズ

前後に約30秒、左右に約30秒ほど手首を動かすと徐々に前腕の筋肉にじわじわと効いてくるのが感じられると思います。

ここで注意したいことが正確に前後左右に動かすことであり、なんとなく無意識に手首を動かすと微妙なズレが生じやすく、普段のクセのように手首が曲がった方向に動いてしまい狙った筋肉に刺激が入りにくくなってしまいます。

 

指のトレーニング

テニスのグリップで見逃されやすいのが指の筋肉であり、指の筋肉が弱いためにグリップに力が入らない、ラケットが不安定になってしまうという事例は珍しくありません。

テニス肘を発症した人は筋肉の使い方が変化し、知らず知らずのうちに指の筋肉が弱くなってしまうことがあります。

特に親指が思うように動かせないということが珍しくなく、親指を動かすエクササイズが役立ちます。

まずは親指を約30秒回し、そして逆方向に約30秒回すことで親指の筋肉に刺激が入ります。

親指のエクササイズ

また、テニスでは指を閉じるように力を入れることが多いのですが、指を開くような動きが少なく、この筋肉が弱くなりやすい傾向にあります。

このため指を開くようなエクササイズが役立ち、まずは約30秒ほど指を開いて閉じてを繰り返すと筋肉にじんわりと効いてきます。

指のエクササイズ

 

前腕の筋肉のケア

テニスラケットのグリップは常に力を入れているわけではなく、ボールを打つ瞬間に力を入れて、フォロースルーでは力を抜くことが大切です。

実際にインパクト後に力を抜いたほうが肘の負担が減ることが報告されています

前腕のマッサージ

このため前腕の筋肉をマッサージやストレッチなどでケアを行い、適度な柔らかさを保っておくことが役立ちます。

テニスのプレーやトレーニングなどで前腕の筋肉には知らないうちに疲労が蓄積しやすく、筋肉が硬くなることがあるので注意が必要です。

 

まとめ

ウェスタングリップは肘の外側の負担が大きく、イースタングリップは肘の内側の負担が大きくなりやすい傾向があります。

ラケットを握るグリップに過剰な負荷がかかり続けるとテニス肘につながってしまうことがあります。

また、グリップが弱いとショットが不安定になることがあります。

 

<参考文献>

  1. Esser S, Taylor WC, Bertasi RAO, Nishi L, Heckman MG, Abadin A, Vomer R, Pujalte GGA. Effects of Grip Style and Contact Point on Force Production in a Tennis Forehand Groundstroke. Cureus. 2024 Nov 19;16(11):e74019. doi: 10.7759/cureus.74019. PMID: 39703250; PMCID: PMC11658165.
  2. Busuttil NA, Connolly M, Roberts AH, Reid M, Dascombe BJ, Middleton KJ. Grip position affects upper limb kinematic chain during tennis double-handed backhand topspin strokes: considerations for transitioning tennis grip position technique. Sports Biomech. 2022 Jun 22:1-20. doi: 10.1080/14763141.2022.2090425. Epub ahead of print. PMID: 35730365.
  3. Dong R, Su X, Li S, Ni X, Liu Y. Characteristics, Relationships, and Differences in Muscle Activity and Impact Load Attenuation During Tennis Forehand Stroke with Different Grips. Life (Basel). 2024 Nov 6;14(11):1433. doi: 10.3390/life14111433. PMID: 39598232; PMCID: PMC11595894.
  4. King MA, Kentel BB, Mitchell SR. The effects of ball impact location and grip tightness on the arm, racquet and ball for one-handed tennis backhand groundstrokes. J Biomech. 2012 Apr 5;45(6):1048-52. doi: 10.1016/j.jbiomech.2011.12.028. Epub 2012 Feb 11. PMID: 22325977.
  5. King M, Hau A, Blenkinsop G. The effect of ball impact location on racket and forearm joint angle changes for one-handed tennis backhand groundstrokes. J Sports Sci. 2017 Jul;35(13):1231-1238. doi: 10.1080/02640414.2016.1211308. Epub 2016 Jul 27. PMID: 27460020.
  6. Mohandhas BR, Makaram N, Drew TS, Wang W, Arnold GP, Abboud RJ. Racquet string tension directly affects force experienced at the elbow: implications for the development of lateral epicondylitis in tennis players. Shoulder Elbow. 2016 Jul;8(3):184-91. doi: 10.1177/1758573216640201. Epub 2016 Apr 6. PMID: 27583017; PMCID: PMC4950282.
  7. Wei SH, Chiang JY, Shiang TY, Chang HY. Comparison of shock transmission and forearm electromyography between experienced and recreational tennis players during backhand strokes. Clin J Sport Med. 2006 Mar;16(2):129-35. doi: 10.1097/00042752-200603000-00008. PMID: 16603882.
  8. Busuttil N, Middleton KJ, Dunn M, Roberts AH. To Change or Not to Change: Perceptions and Experiential Knowledge of Tennis Coaches When Modifying Grip Technique. Sports (Basel). 2024 Nov 27;12(12):325. doi: 10.3390/sports12120325. PMID: 39728865; PMCID: PMC11679087.

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