バレーボールのスパイク
バレーボールのスパイクスピードは試合の展開に大きな影響を与えます。高速スパイクは相手チームのブロックやディフェンスを困難にし、得点のチャンスを大幅に増やしますし、相手チームの戦術を崩すこともできます。
高い打点から強烈なスパイクを打つことができると試合を有利に進めることができます。
スパイクの球速は身体の使い方といった技術だけでなく、柔軟性や筋力といった身体的な要素も大きく関わってきます。
スパイク球速アップのストレッチ
足首のストレッチ
意外に思うかもしれませんが、足首の柔軟性を高めることがスパイクの球速アップに役立ちます1−4。
実際に足首の柔軟性が高いバレーボール選手はジャンプ力が高い傾向にあることが報告されています3・4。
このためふくらはぎのストレッチなどで足首を柔らかくしておくことが役立つかと思います。
また、足首周りの筋肉はストレッチだけではほぐせない部分があるので、マッサージなどを組み合わせるとより効果が高まります。
股関節のストレッチ
股関節のストレッチもスパイクやサーブのスピードを高めるのに役立ちます。
下半身の力を肩や腕に連鎖して伝えることで速い腕の振りができるようになるのですが、股関節が硬いと下半身の力がうまく伝わりにくくなってしまいます。
一般的に股関節の柔軟性というと開脚などのイメージがありますが、スパイクやサーブなど身体を捻る動作をスムーズにするためには股関節の内旋や外旋の可動域が重要になってきます。
股関節の外旋の可動域を高めるにはお尻など股関節の後ろのストレッチを行い、内旋の可動域を高めるには股関節の前部分のストレッチが役立ちます。
肩のストレッチ
スパイクやサーブの球速アップのためには肩周りや肩甲骨の柔軟性をアップさせることが大切です。
バレーボール選手は肩を酷使することが多いので、身体のケアをしっかりと行っておきたいところです。
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スパイク球速アップのトレーニング
脚力トレーニング
スパイクやサーブの球速アップのためには下半身の筋力が重要であり、脚力が強いほど球速が速いことが報告されています1・2。
高い打点から打った方が有利であること、そして下半身のパワーを肩や腕先に連鎖して伝えることでより大きな力を生み出すことができます。
下半身の筋力強化にはスクワットやレッグエクステンション、レッグカールなどのトレーニングが役立ちます。
デッドリフトは下半身の筋肉に加えて背筋なども鍛えられるため、ジャンプ力強化やスパイクの球速アップに役立ちます。
デッドリフトは正しいフォームを習得することや軽い重量から徐々に負荷を増やしていくことが重要であり、いきなりヘビーなトレーニングに取り組むと腰を痛めるなどの怪我をすることがあるため注意が必要です。
肩のトレーニング
スパイクやサーブの球速アップには上半身の筋力強化が役立ちます1・2。
ベンチプレスや懸垂など肩まわりの筋肉全般をバランスよく鍛えていくことがポイントで、幅広い種類のエクササイズを取り入れた方が長い目で見ると成長しやすくなります。
バレーボール選手は普段から肩を酷使しているため、肩のトレーニングを取り入れると運動量が過剰になりやすく、肩を痛めてしまう可能性があるため慎重に少しずつ取り組むことが大切です。
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体幹のトレーニング
サーブやスパイクの動きには体幹の筋肉の働きも影響しており、体幹がしっかりしていると腕が振りやすくなります5。
特に体幹の筋肉の中でも腹斜筋などが重要であり、サイドプランクなど体幹の横部分を鍛えるようなトレーニングに取り組むことが役立ちます。
まとめ
バレーボール選手のスパイクの球速は身体の使い方といった技術だけでなく、柔軟性や筋力といった身体的な要素も大きく関わってきます。
肩周りの柔軟性だけでなく足首や股関節の柔軟性を高め、上半身だけでなく下半身や体幹もしっかりと鍛えることがポイントになります。
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