バスケ選手の肉離れ
ふくらはぎの肉離れ
バスケ選手の肉離れで意外とよく起こるのがふくらはぎの肉離れであり、数少ない日本人NBA選手の多くがふくらはぎの肉離れを経験しています。
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バスケ選手にふくらはぎの肉離れが意外と多い理由として、繰り返しのジャンプでふくらはぎに負荷がかかること、シュートやステップワークなどもふくらはぎの筋肉を酷使することなどが理由であると考えられます。
ふくらはぎの肉離れのリスク要因は過去に脚の怪我をしていること、それ以外で大きなリスク要因は報告されていません1・2。
ふくらはぎの肉離れの回復期間は症状によって違ってきますが、一般的に数週間から数ヶ月と復帰するまで意外と時間がかかってしまうことも珍しくありません。
ハムストリングスの肉離れ
一般的に肉離れといえばハムストリングスというイメージがあるほどなんですが、日本人の有名バスケ選手においてハムストリングスの肉離れのニュースは意外と少ない印象です。
ふくらはぎの肉離れとハムストリングスの肉離れ、それぞれの発生率のデータなどがあればいいのですが、そういう医学論文は残念ながら見当たりませんでした。
ハムストリングスの肉離れは基本的に全速力でダッシュすることが怪我の原因であると考えられており、バスケットボールコートがそこまで広くないためスプリント走の負荷が低く、サッカーや陸上競技に比べてハムストリングスの肉離れが若干少ない理由ではないかと思います。
もちろん、ハムストリングスを肉離れを起こすバスケ選手も一定数います。
バスケ選手の肉離れの予防
ストレッチ
肉離れを予防するためには最低限の柔軟性を確保することが大事です。
ふくらはぎのストレッチで足首の柔軟性を向上させ、最低限の可動域として足首の背屈を約20°を確保しておくことが大切です。
ハムストリングスのストレッチで柔軟性を高めることも大事であり、最低限の可動域としてつま先に手が届くくらいの柔軟性を確保することがポイントです。
ただし、柔軟性が高ければ高いほど肉離れを防げるわけではないため、あくまで最低限の柔軟性を確保することができれば十分かと思います3。
トレーニング
肉離れを予防するためには過剰な負荷をかけないようにしながら、少しずつ筋力を強化することが役立ちます4。
ふくらはぎの肉離れを予防するためにはカーフレイズなどでふくらは筋肉を鍛えることが役立ちます。
ハムストリングスの肉離れを防ぐためにはレッグカールなどでハムストリングスの筋肉を鍛えることが役立ちます。
そして、スプリント走やインターバル走などで全速力ダッシュの負荷に慣らしておくことも肉離れ予防に役立ちます5。
サッカー選手のハムストリングス肉離れの原因と予防法
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まとめ
バスケ選手はふくらはぎとハムストリングスの肉離れが多く、ストレッチで最低限の柔軟性を確保し、トレーニングで筋力を高めることが肉離れ予防に重要です。
<参考文献>
- Meek WM, Kucharik MP, Eberlin CT, Naessig SA, Rudisill SS, Martin SD. Calf Strain in Athletes. JBJS Rev. 2022 Mar 22;10(3). doi: 10.2106/JBJS.RVW.21.00183. PMID: 35316243.
- Green B, Pizzari T. Calf muscle strain injuries in sport: a systematic review of risk factors for injury. Br J Sports Med. 2017 Aug;51(16):1189-1194. doi: 10.1136/bjsports-2016-097177. Epub 2017 Mar 4. PMID: 28259848.
- Liu H, Garrett WE, Moorman CT, Yu B. Injury rate, mechanism, and risk factors of hamstring strain injuries in sports: A review of the literature.Journal of Sport and Health Science. 2012;1(2):92-101.
- Green B, McClelland JA, Semciw AI, Schache AG, McCall A, Pizzari T. The Assessment, Management and Prevention of Calf Muscle Strain Injuries: A Qualitative Study of the Practices and Perspectives of 20 Expert Sports Clinicians. Sports Med Open. 2022 Jan 15;8(1):10. doi: 10.1186/s40798-021-00364-0. PMID: 35032233; PMCID: PMC8761182.
- Sancese A, Taylor L, Walsh G, Byrd E, Delextrat A. Effects of sprint versus strength training on risk factors for hamstring injury in football players. J Sports Med Phys Fitness. 2023 Apr;63(4):580-587. doi: 10.23736/S0022-4707.22.14529-9. Epub 2023 Jan 18. PMID: 36651683.