足指セパレーターは本当に効果があるのか?と不安に思うことがあるかもしれません。
ここで足指セパレーターの効果的な使い方と注意点について、科学的根拠を交えながら解説していきたいと思います。
足指セパレーターの効果
外反母趾の改善
足指セパレーターは軽度や中度の外反母趾の改善に効果があることが報告されています1・2。
足指セパレーターによる外反母趾の改善効果が報告されている研究の多くは、足指セパレーターをつけた状態での歩行や足のエクササイズなどの運動を行っており、適切な運動療法と組み合わせることが効果を生み出すポイントになります。
足の指の筋肉の強化
足指セパレーターをつけることで足の指の筋肉を活性化させ、足の指の筋肉を強化することができます。
実際に足指セパレーターを装着して歩くことで、足の拇指の屈曲や外転の筋肉、足の指が地面を掴む力といった足の指の筋力が向上することが報告されています2。
また、足指セパレーターは足首周りの筋力強化にも役立ち、普段とは違う筋肉に刺激が入ります3。
足指セパレーターを使ったエクササイズ
歩行
足指セパレーターを装着したら、まずは歩行動作から始めていきます。
足指セパレーターをつけることで、普段とは違う接地の感覚があり、これが足の指の筋肉を鍛えるのに役立ちます。
最初は5分~10分といった短い時間から始めていくことがポイントであり、徐々に30分~60分と時間を伸ばしていきます。
痛みや違和感がある場合には運動を中止することが大切です。
階段
足指セパレーターをつけた状態での歩行動作に慣れてきたら、階段の昇り降りを取り入れていきます。
階段では指先に重心がかかりやすくなるため、指先により大きな刺激が入りやすくなります。
カーフレイズ
足指セパレーターをつけた状態でのカーフレイズを行うことで、いつもとは違う部分のふくらはぎの筋肉を鍛えることができます。
カーフレイズを行う際は、かかとを上げる際に足指でしっかりと地面を掴むように意識し、ゆっくりと上げ下げすることで、足指の筋力とふくらはぎの筋肉を同時に鍛えることができます。
つま先立ち歩き
足指セパレーターをつけた状態でのカーフレイズに慣れてきたら、踵を浮かせた状態でのつま先立ち歩きを取り入れていきます。
指先に重心がかかり続けるため、足の指の筋肉を鍛えるのに効果があります。
つま先立ちで後ろ歩きなど、必要に応じてバリエーションを加えることも役立ちます。
ジョギング
足指セパレーターを1カ月以上使用し、ある程度慣れてきたら足指セパレーターをつけてジョギングという方法もあります。
ジョギングはダイナミックな動きであり、痛みが出やすいため、違和感がある場合にはすぐに運動を中止することが大切です。
そして、いきなり長い距離を走るのはリスクがあるため、短い距離から走ることも重要です。
注意点について
指が痛くなる
足指セパレーターをつけていると足の指が圧迫されたり、豆ができたりして痛みが出ることがあります。
足の指の圧迫の痛みを軽減するには柔らかい素材を選ぶことがポイントであり、硬すぎると圧迫による痛みが出やすくなります。
また、豆ができてしまうのは摩擦が原因であり、歩行時などにズレてしまうことが好ましくありません。このためズレにくい、適切なサイズの商品を選ぶことがポイントになります。
そして、いきなり長時間つけてしまうと痛みが出やすくなるため、最初は短い時間の装着に留めることも忘れてはいけません。
慣れてきたら徐々に時間を伸ばしていくことで、痛みが出にくくなります。
つけるだけで効果があるのか?
残念ながら足指セパレーターをつけた直後からバランス感覚の改善や筋力強化といった効果はみられないことが報告されています4。
足指セパレーターをつけた状態で、歩行動作や階段、エクササイズなどに取り組むことが効果を生み出すポイントになります。
寝るときにもつけたほうがいいか
足指セパレーターを寝るときにはつける必要はないかと思いますし、長時間つけていると痛みなどを引き起こす場合があります。
足指セパレーターは指を引っ張って広げるものではなく、足の指が開いた状態で歩くなどすることで、普段は刺激が入らない足の指の筋肉を鍛えるものです。
そもそも外反母趾は関節が緩い状態であることが多く5・6、足の指の筋肉を鍛えて引き締めるというアプローチが重要になります。
足指セパレーターの商品の選び方
足指セパレーターには様々な商品がありますが、重要になるのはサイズと素材の柔らかさになります。
硬い素材だと指が痛くなってしまうことがあるため、柔らかい素材を選ぶことがポイントになります。
足指セパレーターには親指のみ、小指のみといった商品がありますが、可能であれば5本指全てに装着できるタイプが好ましいと言えます。
全ての指を鍛えることでバランスがとりやすくなりますが、足の形状によっては5本指タイプの商品にキツさを感じてしまうことがあるかもしれません。
足の指の変形が大きい場合などには、部分的な足指セパレーターを選ぶことも役立ちます。
足指セパレーターの装着のし易さ、耐久性などもポイントになるのですが、これは実際に試してみないとわからないことが多いかと思います。
安価な商品は壊れやすいことが多いですし、商品レビューで壊れやすいという意見が多い場合にも注意が必要です。
まとめ
足指セパレーターは足の指の筋肉を鍛えるのに役立ち、外反母趾の改善やバランスの強化に役立ちます。
足指セパレーターによる効果を生み出すためには、歩行動作などのエクササイズに取り組むことがポイントです。
慣れていない状態での長時間の使用によって痛みを引き起こすことがあるため、違和感がある場合にはすぐに運動を中止することが大切です。
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