私は10年近く足の怪我に悩まされ続けてきました。
怪我に悩まされ続けてきた過程と、色々な方法を試して失敗を繰り返しながらも痛みを解消していったのかについて書かせていただきたいと思います。
何かの参考になれば幸いです。
サッカーボールを使った練習ができない足の痛み
最初はただの捻挫でした。
しかし、そこから歯車が狂ったように身体の調子が悪くなり、定期的に怪我を繰り返し、慢性的な足首の痛みを抱えるようになっていきました。
週に1〜2回の練習で足が痛み出し、アイシングで冷やしながら痛みをごまかし、週に2〜3回の練習量になると足の痛みに耐えきれなくなり、
サッカーボールを蹴ってパスをするという動作ができない、サッカーボールを使った練習ができないというような状況に陥っていました。
整骨院や接骨院、整体、整形外科などにいきましたが、足の状態は思うように改善されませんでした。
「アスリートは痛みを抱えながらごまかしごまかしやっている」
「痛みがあるのは君だけじゃない」
「痛みを改善させるのは無理で、痛みとどう付き合っていくかを考えた方がいい」
というようなことを言われました。
ある日街を歩いていると、自分の足首が90度外を向いていることに気がつきました。
明らかに何かがおかしいということに気がつきました。
私にとって週に1・2回サッカーボールを使った練習をやることは簡単なことではありませんでした。
幸いにも直線的なランニングで痛みが出ないので、走り込みを中心として身体を鍛えていきました。
ただ、サッカーボールを使った練習ができないのだから、サッカーの技術はなかなか上達しないというジレンマに陥っていました。
試行錯誤の日々の始まり
どうにか足の痛みが良くならないかと色々な方法を試しました。
鍼や灸をやってみたり、特殊な超音波の機材を購入したり、加圧トレーニングのベルトを購入したり、レイキと呼ばれる人の身体に眠っている特殊なエネルギーを増強するセミナーを受講したり、激痛の足ツボマッサージを試してみたり、
気になるものは次々と購入し、色々なものにお金をつぎ込んだと思います。
ある日鏡を見ながらトレーニングをしていたら、私の膝が大きく曲がっていることにきがつきました。
なんでこんなにも気持ち悪いくらいに膝が曲がっているのか?というくらいに、上の写真とは比較にならないほど膝が変形していました。
片足でスクワットをすると、まるで人間の膝とは思えないくらいの勢いで膝がねじれていました。
どうにかしてこの膝のねじれが改善できないかとエクササイズを試行錯誤してみたところ、
大腿四頭筋の外側を鍛えるようなエクササイズをやったら膝の状態が少しよくなりました。
少し非常識な方法だったかもしれません。
そのことを接骨院の先生に話したら、嫌な顔をされました。
そのことを理学療法士の先生に話をしたら、キレられてました。
〇〇は?〇〇は?と専門家が素人相手に理論攻めにして徹底的に攻撃されました。
(今思えば私の伝え方が生意気だったのかもしれません)
私が言っていることは非常識で、専門家が言っていることが正しいのかもしれません。
でも、まだまだ世の中には気がつかれていない怪我のメカニズムというものが存在して、試行錯誤することでそれをつかめるかもしれないと思えるようなキッカケにもなりました。
専門家がワークショップにも定期的に参加
その当時の私はまだまだ素人でしたが、少しずつ専門書を読むようになり、専門家が参加するようなワークショップにも参加するようになり始めていました。
身体のことを知れば知るほど、身体の状態がどんどん良くなっていくんじゃないか?というような漠然とした考えがありました。
とにかく私の身体がボロボロなので、
あれが悪い、これが悪い、と次々と色々なことを指摘されました。
これまで私が知らなかったことを次々と知ることができて、これらを解決すれば身体がどんどん良くなっていくんじゃないか?という希望を持っていました。
私の身体は機能不全の総合商社として、セミナーにおいて見本の対象によく選ばれていました。
それもそのはず、私の身体の骨は異常な形をしており、それが色々な問題を引き起こしているということでした。
運良くワークショップの先生に凄腕の専門家を紹介していただくことができ、そこでパーソナルトレーニングを2年半指導していただきました。
日本でも屈指の実力者であると評判の高い先生の指導を毎週のように受けていました。
教えられたことは全てメモをとり、学んでエクササイズは毎日のようにやっていました。
ここで学んだことはとても貴重なもので、感覚をベースとした指導方法やトレーニングの構築がずば抜けていました。
パーソナルトレーニングを2年半続けたことで機能不全に陥っていた私の身体は少しずつ改善されていきました。
競技チームへの参加
私はサッカーの怪我を乗り越えたということを胸を張って言えるようになりたくて、競技フットサルのチームに参加することにしました。
私の中ではシーズンを通して練習に参加することが目標でした。
高い負荷をかけても怪我で脱落しないことが私にとって重要な目標でした。
社会人のチームだったのでそんなに練習は多くありませんでしたが、自分よりも格上の選手ばかりなので私の身体には大きな負荷がかかります。
週に1〜2回の練習で足が悲鳴をあげてしまいましたし練習を何度も休んでしまいましたが、それでもなんとか1シーズンをチームで練習を続けることができました。
足の状態は万全とは言えず練習を休むこともありましたが、なんとか1シーズン続けることができたのは私の中では大きな進歩だったと思います。
アメリカでスポーツ医学を学ぶ
その頃の私は専門家のワークショップにもよく顔を出していて、仕事中にも身体のことを考えるようになっていました。
本業が手につかないような状態になっており思い切って転職をすることにしました。
といっても私はまだまだ素人でしたのでアメリカに留学して最先端のスポーツ医学を学ぶことにしました。
アスレティックトレーナーというスポーツの現場を支える医療従事者資格をとるためにアメリカに渡りました。
アメリカ留学を開始して、アスリートのリハビリの現場を見学させていただきながら、
スポーツの現場で行われているリハビリや治療の全てをメモにとり、それを片っ端から自分の身体で実践していくということをしました。
私の身体の機能はどんどん高まっていきましたが、思うような結果は得られませんでした。
アメリカの専門家の方々にも私の身体の状態をよく相談させていただきましたが、私が満足するような答えは得られませんでした。
・膝の外反を改善しなさい
・足の手術を受けたほうがいい
・シューズを変えた方がいい
そのようなアドバイスばかりでした。
アメリカに渡っても簡単に私の足の状態が改善されるわけではありませんでした。
驚愕のキネシオテーピングの裏技
私はアメリカでも色々なワークショップなどに参加していました。
そんなある日、キネシオテーピングの講座を受講した時の先生に衝撃的な技を教えていただきました。
キネシオテーピングのカリキュラムに存在していないその先生独自の技でしたが、私の足の痛みが一瞬で消えるということを経験しました。
今まで色々なことを学び、たくさんの先生方から学んできましたが、足の痛みを一瞬で変化させた先生はこの時が初めてでした。
関節や筋肉の反応を見ながら調整するという、言葉にすると誰もがやっていそうな単純極まりない方法なのですが、
その先生ならではの独自の方法が存在し、関節や筋肉を調整することの奥深さを知ることができました。
これによって足の痛みがかなり改善されました。
週に4〜5回くらいサッカーの練習をしてもそう簡単には足に痛みが出ない状況になってきました。
しかし、そんな生活を続けていると身体にダメージが蓄積し、2〜3週間ほどで怪我を引き起こしていました。
キネシオテーピングの裏技のおかげで足の痛みはかなり改善されましたが、
すぐに怪我を引き起こしてしまうという私の体質の問題が残っているため、
身体のコンディションが全然上向かず、パフォーマンスが全く向上しませんでした。
まだまだ負荷の高い練習をすることはできず、自分の足に満足することができていませんでした。
筋肉の機能不全を見分ける
私はそれなりにリハビリを続けてきましたし、アメリカで学んだことを自分の身体にも実践していました。
そこそこ私の身体の機能は改善されているはずでしたが、私の身体にはまだまだ筋肉の機能不全がのこっていました。
それを教えてくれたのがニューロキネティック療法というものでした。
日本にも一度やってきたことがありましたが、今ではセミナーは開催されておらず、日本では絶滅危惧種ではないかと思います。
横文字にすると特別な方法に思ってしまいますが、中身は筋力検査の応用だと思います。
この方法の素晴らしいところは、今まで見えなかった筋肉の機能不全を調べることができ、改善することができるというものでした。
私の身体の細かい筋肉でうまく機能していないものがまだまだたくさん残っているということを実感しました。
これらを改善するとこで足の状態もだいぶ良くなり、怪我をする頻度もだいぶ減ってきて、徐々にコンディションが上向いてきました。
見逃されやすい触診という強力な技術
私は運良くテキサスレンジャーズのトップチームでインターンシップをさせていただく機会に恵まれました。
世界最高峰の名門チームにあった最先端の治療器具を次々に試させていただきましたが、私の足には思うような効果はありませんでした。
トップチームの先生方にも私の足の状態を相談しましたが、あくまで肩の専門家なのか思うようなものは得られませんでした。
しかし、テキサスレンジャーズにて当時ダルビッシュ選手のトレーナーをしていた日本人の先生に足を診ていただき、
私の足を触診するなり「足の筋肉が硬い」という極めて単純なアドバイスをいただき、私は衝撃を受けました。
メジャーリーグの多くのチームに日本人の先生方が働いている理由がなんとなくわかりました。
おそらく、触診をして私の身体が硬いということはこれまで何度も言われてきていたと思いますが、触診技術の差があり言葉の重みが違いました。
触診をして身体が硬いということは比較的簡単に言えることなのですが、怪我の原因になっているところにピンポイントで届かせるということは難しいと思います。
触診技術の奥深さを知り、そこから私は触診やマッサージの技術を磨いていくことにしました。
これが功を奏し、私の足の状態はさらに良くなりました。
全てのピースが出揃うことで足の問題が解決
ここまで到達するのに9年という年月がかかっています。
それまでに学んできたことがつながり、全てのピースがかちっとはまるような瞬間が訪れました。
何気なく足に普通のテーピングを巻いたところ、今までとは違い足関節がスムーズに動いていました。
足の機能を高め続けてきたことで、通常のテーピングがようやく効果を発揮し始めました。
おそらく、何かひとつの方法で魔法のように劇的に変わるというものではなくて、いくつかの鍵となるピースがあるという印象を受けています。
私はもう足の怪我をすることがなくなりましたし、足に痛みを抱えることがなくなりました。
かれこれ2年近くはどんなにサッカーをやろうとも大きな問題は起きていません。
ようやく普通にスポーツをするという楽しみを知ることができました。
足の怪我で見落とされていたこと
私の足の怪我が10年近く長引いてしまったことには色々な要因がありますが、その中で見逃されていたことは次のようなものでした。
- 足の関節がうまく整っていなかった
- 触診時に周辺の筋肉の硬さが見落とされていた
- 細かい筋肉の機能不全が見落とされていた
- 骨格の異常が見落とされていた
どれもシンプルなもので専門家ならば誰もが知っているような内容だと思います。
しかし、そこには深さというものがあり、誰もが知っている内容だからこそ知ったつもりになってしまい見逃されてしまう側面があると思います。
どうしても流行りのものや最先端の治療器具などに惹かれてしまうことがあるかと思います。
関節や筋肉を整えるというシンプルなことでも、それを磨き続けることで必殺技に昇華するほどの威力を発揮すると思います。
その領域に到達しないと効果を発揮しないような怪我の原因も存在するように思います。
単純だと軽視しているところに意外な怪我の原因が隠れていることがあるのではないかと思っています。