ハンドボールの投球フォーム
腕の力に頼るのではなく全身の力を使って投げることで球速がアップします
特に連動性が重要であり、体重移動や脚力によるパワーを肩や手先に伝えていくことが球速アップのポイントになります。
そのためには骨盤の動きや体幹の回旋動作、肩のテイクバックや肘の動きなどスムーズにタイミングよく動かせることが大事です。
ハンドボールではディフェンスが目の前にいるため、相手のスキを見ながらタメを作らない素早い投げ方、フェイクを入れたりすることなども求められます。
そして、ジャンプシュートも重要になりますが、ジャンプシュートではステップシュートのような下半身の使い方とは少し違ってくるため、ジャンプのパワーをうまくボールに伝えることが大事になります。
球速アップのための柔軟性
股関節の柔軟性
股関節の柔軟性はハンドボールの球速に影響があり、股関節の柔軟性が高いほど球速が速い傾向にあることが報告されています1。
投球動作は主に全身の回旋運動によって行われ、特に股関節の内旋・外旋といった回旋の柔軟性が球速に関係してきます。
股関節の前部分をストレッチすることによって内旋の柔軟性が向上し、お尻など股関節の後ろ部分をストレッチすることによって外旋の柔軟性の向上に役立ちます。
肩の柔軟性
肩の柔軟性はスムーズな投球動作に関係していますが、股関節の柔軟性ほどハンドボールの球速に影響があるわけではないことが報告されています1。
肩の柔軟性はどちからというと様々な状況下で投げ方を変化させるテクニックの部分に関係していますし、肩の痛みの予防などでも肩の柔軟性が重要になってきます。
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球速アップのためのトレーニング
下半身の脚力
下半身の脚力はパワーを生み出し、投球スピードを向上させるのに重要になります。
総合的な脚力を強化するための王道のトレーニングはスクワットです。
より効果的に脚力を鍛えるにはお尻を深く落とすフルスクワット、脚幅を広げるワイドスクワットといったバリエーションも組み合わせることが役立ちます。
そして、スクワットだけで鍛えるよりも脚の筋肉を個別に鍛えるエクササイズも組み合わせた方が効果は高く、レッグエクステンションで大腿四頭筋を鍛えることやレッグカールでハムストリングスを鍛えることなども球速アップに役立ちます。
背筋
脊柱起立筋や広背筋といった背筋の筋肉は大きなパワーを生み出す役割があり、背筋を鍛えることで投球スピードが速くなります。
背筋を鍛えるエクササイズは懸垂などが一般的であり、こういったトレーニングは広背筋を鍛えるのに役立ちます。
また、デッドリフトやベントオーバーローイングなどの前傾姿勢での背筋のトレーニングは脊柱起立筋や広背筋といった背筋群を幅広く鍛えるのに役立ちます。
肩甲骨
肩甲骨周りの細かい筋肉も投球スピードに関係していて、肩甲骨という土台が安定していると肩回りの筋肉が大きな筋肉を発揮しやすくなります。
肩甲骨周りのエクササイズをやっていない選手も多いですが、球速アップや怪我予防に役立ちます。
体幹
体幹の筋肉も投球スピードに大きく関係していて、特に体幹の横にある腹斜筋などの筋肉が重要になります。
また、メディシンボールなどの重いボールを身体を捻って投げるエクササイズも腹斜筋に効かせることができ、投球スピードの向上に役立ちます。
ただし、重りをかけた状態で身体を捻るようなトレーニングは腰の負担が大きく、やり過ぎてしまうと痛みにつながるため注意が必要になります。
軸足の安定性
ハンドボールでは相手選手がいる中でシュートをしなければならないため、不安定な状況下での投球も多々あります。
このためパワーを鍛えるだけではなく、軸足の安定性を鍛えることで不安定な状況下でも力がうまく伝わりやすくなり、投球スピードが向上します。
軸足の安定性を高めるには内転筋、中殿筋といった細かい筋肉を鍛えることも大事であり、エクササイズで鍛えておく価値があります。
まとめ
ハンドボールの球速を上げるためには脚力や骨盤、体幹など全身の力を使って投げることがポイントです。
ストレッチで股関節の柔軟性を高めることや、トレーニングで全身の筋肉を鍛えていくことも役立ちます。
<参考文献>
- Wagner H, Pfusterschmied J, von Duvillard SP, Müller E. Performance and kinematics of various throwing techniques in team-handball. J Sports Sci Med. 2011 Mar 1;10(1):73-80. PMID: 24149298; PMCID: PMC3737895.
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