肩の怪我のメカニズム

ローテーターカフの筋力と肩の怪我の関連性

肩の怪我予防としてローテーターカフの重要だとよく言われるかと思います。そこでローテーターカフの筋力と怪我の発生率などの科学的根拠などを交えながら基本的なようで意外と見落としているかもしれないところについて書かせていただきたいと思います。

 

ポイント

  • 怪我をしている選手のほうがローテーターカフの筋力が低い傾向にあります
  • 姿勢によっては代償動作がしやすく筋力測定時の精度にバラツキがでることも考えらえれます
  • ブレーキ動作などより競技に近いようなエクササイズを取り入れていくことも役に立ちます

 

ローテーターカフと怪我

ローテーターカフの筋力低下は怪我に繋がると考えられています。

肩のローテーターカフ

  • 怪我をしている選手のほうがローテーターカフの筋力が低い傾向にあるようです
  • 肩の内旋と外旋の筋力バランスも怪我のリスクになっていることが報告されています
  • 肩に不安定さを抱えている選手のほうが投球動作中のローテーターカフの活動量が低下していた傾向にあるようです

 

筋力測定時の姿勢

筋力低下やバランスの乱れが怪我のリスクを高めますが、姿勢によって筋力測定時の精度が影響されてしまうかもしれません。

(Edouard et al 2013より引用)

  • 肩の外転が0°の場合は90°外転の場合に比べて、肩の内外旋の筋力測定にばらつきが出やすい可能性があるようです
  • 肩の外転が45のゼロポジション(scapular plane)が余計な力が加わらずに肩の内外旋の筋力測定の精度が高い傾向にあるようです
  • 立っている姿勢よりも座っている姿勢のほうが肩の内外旋の筋力測定の精度が高い傾向にあるようです

これらの姿勢は身体の他の部分を使っての代償動作を行いやすいことなど、余計な力が加わりやすいかどうかがひとつの理由として考えられます。

 

筋力発揮の仕方による違い

ローテーターカフの筋力発揮の仕方も怪我に関係しているかもしれません。

研究 競技 肩のポジション 筋力発揮 結果
Forthomme et al 2013 バレーボール 90°外転 エキセントリック 怪我との関連あり
Mickevičius et al 2016 野球 90°外転 エキセントリック 怪我との関連あり
Stickley et al 2008 ハンドボール 30°外転 エキセントリック 怪我との関連あり
Edouard et al 2013 ハンドボール 45°外転 コンセントリック 怪我との関連あり
Bak and Magnusson 1997 水泳 90°外転 アイソメトリック 怪我との関連なし
Hams et al 2019 水球 0°及び90°外転 アイソメトリック 怪我との関連あり

主要な研究結果をみてみると筋力発揮の仕方が決定的に重要とまでは言わないものの、いわゆるブレーキの動作における筋力など色々な姿勢での筋力発揮が怪我に関わってくる可能性があります。

 

エクササイズ

リハビリなどでは色々なポジションで鍛えていくことが大切で、最初は負荷の軽い簡単なエクササイズから始めていき、いずれは投球動作などに近い形でのエクササイズなども取り入れていくことが役に立つかと思います。

 

そしてブレーキ動作の筋力が怪我に関連していることなどから、次のようなエクササイズがひとつのバリエーションとして取り入れてみるのもありかもしれません。

 

まとめ

ローテーターカフの筋力低下は怪我のリスクを高めることからしっかりと鍛えておくことが大切です。ポジションや筋力発揮の仕方によっても微妙な違いがあり、色々なエクササイズを取り入れながら競技に役立てる形に近づけていくことが大切かもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Bagordo A, Ciletti K, Kemp-Smith K, Simas V, Climstein M, Furness J. Isokinetic Dynamometry as a Tool to Predict Shoulder Injury in an Overhead Athlete Population: A Systematic Review. Sports (Basel). 2020;8(9).
  2. Glousman R, Jobe F, Tibone J, Moynes D, Antonelli D, Perry J. Dynamic electromyographic analysis of the throwing shoulder with glenohumeral instability. J Bone Joint Surg Am. 1988;70(2):220-226.
  3. Forthomme B, Wieczorek V, Frisch A, Crielaard J-M, Croisier J-L. Shoulder pain among high-level volleyball players and preseason features. Med Sci Sports Exerc. 2013;45(10):1852-1860.
  4. Mickevičius M, Rutkauskas S, Sipavičienė S, et al. Absence of Bilateral Differences in Child Baseball Players with Throwing-related Pain. Int J Sports Med. 2016;37(12):952-957.
  5. Stickley CD, Hetzler RK, Freemyer BG, Kimura IF. Isokinetic Peak Torque Ratios and Shoulder Injury History in Adolescent Female Volleyball Athletes. J Athl Train. 2008;43(6):571-577.
  6. Edouard P, Degache F, Oullion R, Plessis J-Y, Gleizes-Cervera S, Calmels P. Shoulder strength imbalances as injury risk in handball. Int J Sports Med. 2013;34(7):654-660.
  7. Bak K, Magnusson SP. Shoulder strength and range of motion in symptomatic and pain-free elite swimmers. Am J Sports Med. 1997;25(4):454-459.
  8. Hams AH, Evans K, Adams R, Waddington G, Witchalls J. Shoulder internal and external rotation strength and prediction of subsequent injury in water-polo players. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports. 2019;29(9):1414-1420.
  9. Edouard P, Samozino P, Julia M, et al. Reliability of isokinetic assessment of shoulder-rotator strength: a systematic review of the effect of position. J Sport Rehabil. 2011;20(3):367-383.

-肩の怪我のメカニズム

© 2021 Hero's Body