野球肘

ピッチング時の肘の外反ストレスと靭帯損傷のリスク

肘内側側副靱帯

ピッチャーの肘の怪我に苦しむ野球選手は多く、肘の靭帯の手術をした選手も珍しくありません。手術をすると約1年にわたり戦線離脱しリハビリをする必要があり、肘の怪我は選手生命に影響を与えることも珍しくありません。ピッチング時の肘の外反トルクが肘の靭帯に負荷を与えていると考えられていますが、今回はそれについて解説していきたと思います。

 

ポイント

  • 肘の外反トルクは肩の最大外旋時において発生していると考えられています
  • 肘の怪我をしたピッチャーは肘の外反トルクが高い傾向にあったそうです
  • 肘の外反トルクはピッチングフォームや球速などに左右されます

 

肘の外反トルクとは?

ピッチング時の肘の外反トルクは次の図のような肩の最大外旋時において発生していると考えられています

ピッチング時の最大外旋位

(Aguinaldo and Chambers 2009より引用)

このストレスが肘の内側の靭帯の損傷につながっていると考えられています。

 

肘の外反トルクと怪我のリスクについて

実際にプロのピッチャー25名の投球動作を分析したところ、肘の怪我をしたピッチャーは肘の外反トルクが高い傾向にあったそうです

肘の痛み

ピッチャーの肘の怪我を減らすためには、このピッチング時の外反トルクを減らすことが役に立つ可能性があるわけですね。

 

肘の外反トルクに影響する要素

色々な要素が絡んで投球時の肘の負担へ繋がっていると考えられています。

 

ピッチャーの投球動作を解析した研究を要約するとピッチング時の肘の外反トルクへの影響度が大きいのは次のようなものになるかと思います1・3

  • 肩の最大外旋角度
  • 肩の最大外旋時の肘の角度
  • 前足が地面についた時の肘の高さ
  • その他に腕の振りの勢いなどの色々と細かい要素

 

またピッチングフォームだけでなく、体重も肘の外反ストレスに関係しています。つまり肉体改造などにより体重が増えることで肘の靭帯への負荷が大きくなる可能性があります。もちろんトレーニングはパフォーマンスアップのために重要ですので、身体のバランスなどを考慮して適度に行うことが大事かと思います。

しかしながら、球速が上がるにつれて外反ストレスも大きくなっていきます。このため外反ストレスが一概に小さければいいというよりも、球速やパフォーマンスに対して過度に大きくなっていないかなどといった相対的な評価が大切になってくるかと思います。

球速が速いピッチャーほど肘を怪我しやすいのか?

 

まとめ

色々な要素がありますが肘の靭帯に負荷を与えるメカニズムを理解し、ピッチングフォームの見直しや怪我予防のためのエクササイズをすることで怪我のリスクを下げることができる可能性があります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Aguinaldo AL, Chambers H. Correlation of Throwing Mechanics With Elbow Valgus Load in Adult Baseball Pitchers. The American Journal of Sports Medicine. 2009;37(10):2043-2048.

  2. Anz AW, Bushnell BD, Griffin LP, Noonan TJ, Torry MR, Hawkins RJ. Correlation of Torque and Elbow Injury in Professional Baseball Pitchers. The American Journal of Sports Medicine. 2010;38(7):1368-1374.

  3. Werner SL, Murray TA, Hawkins RJ, Gill TJ. Relationship between throwing mechanics and elbow valgus in professional baseball pitchers. J Shoulder Elbow Surg. 2002;11(2):151-155.

  4. Sabick MB, Torry MR, Lawton RL, Hawkins RJ. Valgus torque in youth baseball pitchers: A biomechanical study. J Shoulder Elbow Surg. 2004;13(3):349-355.

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