足の怪我のメカニズム

足の指の筋肉とアーチの高さについて

足のアーチの崩れ

足の指を鍛えることの重要性がよく言われており、足のアーチと関連して語られることが多いことかと思います。しかしながら、足の指を鍛えても足のアーチに大きな変化がないことも珍しくなく、足の指を鍛えることに疑問を持つかもしれません。ここで足の指の筋力と足のアーチの関係性について解説していきたいと思います。

 

ポイント

  • 足のアーチの高さは足の指の筋力だけなく足首の筋肉や骨格などにも左右されます
  • 足の指を鍛えてもほんの数ミリの足のアーチの高さに変化が生まれないようです
  • 数ミリの違いでも負荷の軽減には想像以上の効果があるかもしれません

 

足の指の筋力だけでアーチの高さが決まるわけではない?

足のアーチの高さは足の指の筋力以外の要素によっても影響を受ける可能性があります。

足の指

足の指とアーチの関係に関する研究結果

  • 小学生を対象に調べたところ足の指の筋力とアーチの高さに相関関係はなかったという報告があります
  • 大学生の女性を対象に調べたところ、足の指の筋力とアーチの高さにはかなり弱い相関関係しかみられなかったという報告もあります
  • 足の指の筋肉がアーチの高さの関係を調べるために、足の指の筋肉を疲労させてアーチの高さがどのように変化するのかを調べた研究があります。これによると足の指の筋肉を疲労させても立位時と歩行時のアーチの高さに重要な違いはなかったそうです
  • 足の指の筋力も少なからず影響するけれども他の多くの要素がアーチの高さに影響しているという報告もあります

 

足の指の筋力と足のアーチの高さには少なからず関係があるかと思いますが、足の指の筋肉と足のアーチの高さはあまり関係がないとする論文が多く見られ、足の指の筋肉だけが全てではないようです。

 

足のアーチの高さと足の指の筋力以外の要素

足のアーチの高さは足の指の筋力だけで決まるものではなく、骨の形状などの様々な要因が重なって決まると考えられます。

 

例えば、足首の筋肉である後脛骨筋とアーチの高さに相関関係があったという研究報告があります

このように足の指の筋力以外の要素もアーチの高さに影響しており、足の指の筋肉だけでアーチの高さが決まるわけではないということが言えるかと思います。

 

ご自身の身体で試してみるとわかるかと思いますが、足の指の筋肉に大きな力を加えてみるとアーチの高さが少しだけ改善することが確認できると思います。しかし、立位時など負荷が高い状況下で足の指に思いっきり力を入れてもアーチの高さは少し変わるかどうかといったわずかな違いになるかと思います。

 

動いている時の足のアーチのほうが重要かも?

足のアーチは静止しているときではなく、動きの中で機能しています。

足のアーチの高さを評価する時には立位時のアーチの高さで評価することが多いのですが、次の図のように走っている時の足のアーチの高さのほうがより負荷を適切に表しているという考え方があります

ランニング時の足のアーチの高さ

(Lee et al 2010より引用)

というのも走っている時やジャンプする時など、地面を蹴る動作において足底筋膜へ負荷がかかるのでこの瞬間を評価した方が適切ではないかと言えるわけです。ただ、ランニング時の足のアーチの高さは立位時よりも測定しにくいという欠点がありますが。

そして、この足底筋膜への負荷は足の指の筋肉が働くことでアーチが崩れないようにして負荷を軽減できる可能性があります。

足底筋膜の張力で足のアーチを支えているイメージ

参照https://www.youtube.com/watch?v=tUIBgUQ2aV0

 

足の指を鍛えることの効果

アーチの高さを変えるために足の指を鍛えることがよく行われていますが、アーチの高さがあまり変わらないこともあります。それでも足の指を鍛えることは重要になってきます。

 

  • 8週間の足の指を鍛えるプログラムを実施した研究があり、何もしていないグループに比べてランニング時の足のアーチの高さが少しだけ維持されやすくなったという報告があります
  • 足の指を鍛えたところで足のアーチの高さにはほんのわずかな変化しかないようですが、ほんの数ミリの変化で足底筋膜には大きく負荷が違う可能性があります

足底筋膜の剛性のデータ

(Kitaoka et al 1994より引用)

足の指を鍛えたところで足のアーチにわずかな変化しかないかもしれませんが、そのわずかな違いが負荷を軽減するために役に立つ可能性があるわけです。

 

まとめ

以上から足の指を鍛えることはアーチの高さという指標にわかりやすく表れるわけではないものの、アーチの仕組みに関与している可能性があります。この負荷を少しでも和らげるためにも足の指を鍛えることに意義があるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

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  8. Kitaoka HB, Luo ZP, Growney ES, Berglund LJ, An KN. Material properties of the plantar aponeurosis. Foot Ankle Int. 1994;15(10):557-560

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