人工股関節

人工股関節の脱臼と構造的要因について

人工股関節

人工股関節は時に脱臼することがあり、関節の安定性がとても重要になってくるかと思います。特に身体や人工股関節の構造的な要因により、関節の安定性が大きく影響される可能性があります。身体のケアやリハビリなどで身体の機能を高めていくことは重要ですが、構造的な影響もあることを理解しておくことは役に立つのではないでしょうか。

 

ポイント

  • 人工股関節の太さが安定性に影響し、脱臼のしやすさにも関係するようです
  • 怪我や手術時に周辺組織の損傷が大きいほど安定性が低下し、脱臼しやすくなるようです
  • 人工股関節の向きやポジションによっても安定性が変わってきます

 

構造的な要素の影響が大きい?

人工股関節の脱臼のリスクには、動作や筋肉に関する要素、人工関節の構造的な要素、手術の術式の要素など様々なものがあります

人工関節の模型を使った実験では、筋肉よりも関節の位置などの影響が大きいという結果になっています

(Geier et al 2017より引用)

手術方法などについては整形外科医の判断領域であるため詳しいことは書くことができませんが、

今回は脱臼に関する力学的な仕組みの理解を深めるという趣旨のもと、関節のポジションや構造的な要因の概要についての記事を書かせていただきたいと思います。

 

人工股関節の太さが関節の安定性に影響する?

献体による実験では人工股関節の大腿骨頭が太いほど股関節の安定性が増していたという報告があります

人工股関節

これは大腿骨頭が大きいことで、関節を外すようなテコの原理が働きにくくなることがひとつの理由として考えられているようです。大きい物体のほうが動かしにくいというのはなんとなく想像ができるのではないでしょうか。

大腿骨頭が太いほど実際の脱臼の発生率も低いという報告もいくつかあるようです。ただ、反対意見もいくつかあるので、絶対的なものではないということに注意は必要かと思います。

 

周辺組織の損傷が大きいほど関節が不安定になりやすい?

大きな怪我で損傷が激しいほど関節が不安定になる可能性があります。

人工関節を脱臼している人とそうでない人を比べた研究がありますが、神経や骨の異常や関節包の損傷など、周辺組織のダメージが脱臼のリスクを高めている傾向にあったようです5・6

程度の差こそあれど基本的には周辺組織の多くに関節を安定させる機能があり、これらがダメージを受けることで関節の安定性が低下すると考えられます。

股関節唇損傷による関節の安定性や機能低下について

股関節の怪我などで周辺組織を損傷することがあり、この場合に股関節の機能が低下しやすくなります。股関節唇にも同様のことが起こり、股関節唇の損傷により股関節の安定性が低下し、衝撃吸収能力が低下し、さらには ...

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人工股関節の向きやポジションが安定性に影響する?

人工股関節のポジションも関節の安定性に大きく影響すると考えられています。

人工股関節

  • 人工股関節の前後の向きが関節の安定性に影響するという報告があります
  • 前を向きすぎると前方方向に脱臼しやすく、後ろを向きすぎると後方に脱臼しやすくなることが報告されています
  • 縦方向の向きや手術方法の違いなどのその他の様々な要因も影響するため、比較的脱臼をしにくいポジションには議論が残るようです

このため比較的脱臼をしにくいポジションなどがあり、そういった安全な範囲内に止めることが重要であると考えられています。

しかし様々な要因が絡んでくるため、各個人に適した角度などが簡単に算出できないところがもどかしいところです。

 

まとめ

構造的な要因の多くは手術などに関わっており、細かい要因なども絡んでくるため、ここは整形外科医による判断の領域になってくるかと思います。基本的な力学的な理解があることで、少しでもお

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Brooks PJ. Dislocation following total hip replacement: causes and cures. Bone Joint J. 2013;95-B(11 Suppl A):67-69.
  2. Geier A, Kluess D, Grawe R, et al. Dynamical analysis of dislocation-associated factors in total hip replacements by hardware-in-the-loop simulation. Journal of Orthopaedic Research. 2017;35(11):2557-2566.
  3. Ng FY, Zhang JT, Chiu KY, Yan CH. A cadaveric study of posterior dislocation after total hip replacement—effects of head diameter and acetabular anteversion. Int Orthop. 2011;35(3):325-329.
  4. Jameson SS, Lees D, James P, et al. Lower rates of dislocation with increased femoral head size after primary total hip replacement: a five-year analysis of NHS patients in England. J Bone Joint Surg Br. 2011;93(7):876-880.
  5. Hailer NP, Weiss RJ, Stark A, Kärrholm J. The risk of revision due to dislocation after total hip arthroplasty depends on surgical approach, femoral head size, sex, and primary diagnosis. Acta Orthopaedica. 2012;83(5):442-448.
  6. Fessy MH, Putman S, Viste A, et al. What are the risk factors for dislocation in primary total hip arthroplasty? A multicenter case-control study of 128 unstable and 438 stable hips. Orthopaedics & Traumatology: Surgery & Research. 2017;103(5):663-668.
  7. Masaoka T, Yamamoto K, Shishido T, et al. Study of hip joint dislocation after total hip arthroplasty. Int Orthop. 2006;30(1):26-30.
  8. Reina N, Putman S, Desmarchelier R, et al. Can a target zone safer than Lewinnek’s safe zone be defined to prevent instability of total hip arthroplasties? Case-control study of 56 dislocated THA and 93 matched controls. Orthopaedics & Traumatology: Surgery & Research. 2017;103(5):657-661.

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