肩の怪我のメカニズム

胸椎伸展の可動域低下は肩の怪我の原因なのか?

胸椎

胸椎は肩の動きなどにも関わっているため、胸椎の動きが大切だと言われることがあります。そこで胸椎伸展に関する研究ではどのような結果が出ているのか?どのくらい肩の怪我に関わりがあるのか?などについて説明させていただきたいと思います。

 

ポイント

  • 手を挙げる動作など胸椎伸展と肩の動きには関連性があります。
  • 肩のインピンジメント等では胸椎伸展の可動域低下などがみられるようです。
  • 胸椎が必ずしも肩の怪我の原因ではありませんが、選択肢のひとつとして価値があります。

 

胸椎の伸展と肩の動き

胸椎の動きは肩の動きに関係しています。

手を挙げる動作

手を真上に挙げる動作においては胸椎の伸展が約10°前後起こり、特に肩の最大可動域付近で胸椎の動きが大きくなることが報告されています

このように肩の動きと胸椎の働きは関連しており、胸椎の伸展の機能が低下していることで肩に負担が高まるかもしれないことが考えられます。

 

胸椎の伸展と肩の怪我の関連について

胸椎へのアプローチにより肩への負担が少し楽になる可能性があります。

肩のインピンジメント

  • 肩のインピンジメントを抱えている人達は胸椎の可動域が低下している傾向にあることが報告されています2・3
  • 胸椎の伸展などを含めたエクササイズで肩の痛みや機能が改善した研究報告があります

このように胸椎のエクササイズを取り入れることが役に立つ可能性があるかと思います。

 

胸椎が怪我の原因なのか?

胸椎の可動域の低下が怪我の原因なのか?と言われれば、そうではないケースのほうが多いかもしれません。

色々な論文を調べてみたところ、胸椎の姿勢と肩の痛みの関連性は低い傾向にあるようです

これはあくまで胸椎の姿勢と痛みに関して調べたもので、胸椎の可動域との関連性についてはまだまだ不明なところがあります。

猫背

肩の痛みには胸椎以外にも様々な原因が考えられます。

このため胸椎へのアプローチという選択肢はありですが、肩の痛みに対して必ず胸椎へのアプローチが必要かと言われればそうではないといったところでしょうか。

 

胸椎伸展のエクササイズ

色々な選択肢がありますが、次の動画に基本的なエクササイズがまとまっていました。

 

 

まとめ

多くのケースにおいては肩の怪我の原因と言えるほどの科学的根拠はありませんが、胸椎の伸展の働きは肩の動きにも関連しており、胸椎のエクササイズを取り入れることで肩への負担が軽減されることがあります。試してみる価値は十分にあるかと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Heneghan NR, Webb K, Mahoney T, Rushton A. Thoracic spine mobility, an essential link in upper limb kinetic chains in athletes: A systematic review. Translational Sports Medicine. 2019;2(6):301-315.
  2. Theisen C, van Wagensveld A, Timmesfeld N, et al. Co-occurrence of outlet impingement syndrome of the shoulder and restricted range of motion in the thoracic spine - a prospective study with ultrasound-based motion analysis. BMC Musculoskelet Disord. 2010;11:135.
  3. Hunter DJ, Rivett DA, McKeirnan S, Smith L, Snodgrass SJ. Relationship Between Shoulder Impingement Syndrome and Thoracic Posture. Phys Ther. 2020;100(4):677-686.
  4. Park SJ, Kim SH, Kim SH. Effects of Thoracic Mobilization and Extension Exercise on Thoracic Alignment and Shoulder Function in Patients with Subacromial Impingement Syndrome: A Randomized Controlled Pilot Study. Healthcare (Basel). 2020;8(3).
  5. Barrett E, O’Keeffe M, O’Sullivan K, Lewis J, McCreesh K. Is thoracic spine posture associated with shoulder pain, range of motion and function? A systematic review. Man Ther. 2016;26:38-46.

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