テニス肘

テニスのスイング〜全身の運動連鎖と身体への負荷

テニスのスイングにおいては肩や腕回りをリラックスさせて、楽に効率的にラケットを振ることが重要であると言われることがあります。

全身の力をうまく使って、パワーをラケットに伝えることが身体の負荷を減らしつつパフォーマンスを上げるために大切になってきます。

 

フォアハンド

フォアハンドなどのテニスのスイングにおいては、地面に力を伝えて、その反発力を股関節や体幹へと伝え、最終的にはラケットに力を伝えていくことがポイントになります。

 

地面に加える力とスイング

球速が速い打球ほど地面に加わる力が大きい傾向にあり、特に地面の前後に加える力が球速との関連性が高いことが報告されています

地面に加える力が大きいほど球速が早くなるのは、野球のピッチングやゴルフスイングにおいても同様なんですね。

投球時の脚の使い方が怪我や球速に及ぼす影響

 

例えばジャンプしながらの打つショットがスピードが出やすいのは、身体が宙に浮くくらいの力を地面に加えていることの裏返しでもあるかと思います。

もちろん、力を加えるタイミングや方向、そして地面に加えた力を全身に連鎖させてにうまくラケットに力を伝えないと意味はないのですが。

 

テニスの場合には相手が打った打球に追いつくことや、ショットのコントロールが要求されることから、なかなか地面に意識を向けにくいことも多いかもしれません。

 

ストローク時の膝の動き

地面に力を加える時に欠かせない要素のひとつが膝の動きです。

ひざの動きが大き過ぎても小さ過ぎてもスイングスピードが遅くなる可能性があります

ポイントとしては、地面に加えた力の反動を股関節や体幹部分の動きにうまく伝えられるか?というところにあります。

 

攻撃的なストロークと守備的なストローク

打球にどのように追いつくのか次第で膝の負担も変わってきます。

(Martin et al 2021より引用)

上の図の右側のように打球に追いつくために脚を伸ばしている状態だと膝の負荷が増える傾向にあります

打点に早くまわりこむことの重要さを改めて認識する形となりましたね。それができれば苦労しないと言う声も聞こえてきそうですが。

 

オープンスタンス vs スクエアスタンス

ストロークを打つスタンスによっても身体への負荷や運動連鎖の効率に違いが生まれることがあります。

オープンスタンス;ネットと平行に脚を開いた状態でのストローク

スクエアスタンス;ネットに対して脚を前後にした状態でのストローク

  • どちらのスタンスでもラケットのスイングスピードは同じくらいなのですが、スクエアスタンスのほうが地面に加える力や重心移動からパワーを生み出している傾向にあり、全身でパワーを生み出して負荷を分散しやすいかと思います。
  • スクエアスタンスのほうが肩関節の内旋のトルクや手首の屈曲のトルクが大きいという研究結果があります。足腰のパワーを肩や手先に伝えている限りは、腕にそこまで大きな負担はかかりにくいと考えられます。
  • オープンとスクエアスタンスで体幹部の筋活動に大きな差はないようです

できるだけ手打ちにならないよう、パワーを全身で生み出して負荷を分散できていることが望ましいですね。

テニスは対戦型のスポーツなので、思うようなプレーをさせてくれるか難しいところもありますが。

 

バックハンド

片手でのバックハンドと両手でのバックハンドではそれぞれ身体の使い方が微妙に違ってきます。

 

片手でのバックハンドに比べて両手でのバックハンドのほうが後ろ足の股関節の関節トルクが大きく7・8、脚で力を生み出すことの比重が高い傾向にあるようです。

テニスのバックハンド

 

片手のほうが肩周りへの負荷が大きく、両手の方が腰や脚への負担が大きいかもしれないという説もあるようですが、怪我の発生率などを比較したデータがないので科学的な裏付けは弱いかもしれません。

テニス肘の原因はバックハンドにあるのか?

 

まとめ

いずれのショットにおいても地面に加える力をうまく利用し、股関節や体幹部を働かせ、肩や腕の負荷を減らせるような効率的なスイングができるといいかもしれませんね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Shimokawa R, Nelson A, Zois J. Does ground-reaction force influence post-impact ball speed in the tennis forehand groundstroke? Sports Biomechanics. 2020;0(0):1-11. doi:10.1080/14763141.2019.1705884
  2. Nesbit SM, Serrano M, Elzinga M. The Role of Knee Positioning and Range-of-Motion on the Closed-Stance Forehand Tennis Swing. J Sports Sci Med. 2008;7(1):114-124.
  3. Martin C, Sorel A, Touzard P, et al. Influence of the forehand stance on knee biomechanics: Implications for potential injury risks in tennis players. J Sports Sci. 2021;39(9):992-1000. doi:10.1080/02640414.2020.1853335
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