テニス肘

テニス肘と肩甲骨の機能低下について

テニス肘には様々な原因が考えられていますが、肩甲骨もそのひとつかもしれません。

ここで肩甲骨とテニス肘に関する文献を紹介しながら、その可能性について書かせていただきたいと思おいます。

 

ポイント

  • 肘の痛みを抱えている人は肩甲骨のポジションも乱れている傾向にあります。
  • テニス肘を抱えている人は肩甲骨周りの筋力が低下している可能性があります。
  • 肘の痛みにおける肩甲骨への介入の効果は限定的であり優先度は低いですが、長期的な怪我予防の視点では大切になるかと思います。

 

肩甲骨

テニス肘の治療や予防においては肘周りへのアプローチが多いかと思いますが、肩甲骨の機能もテニス肘に関係している可能性があります。

というのも肩甲骨の働き次第では腕の動きも変わってくるため、肘の負担が増えるということが考えられるためです。

 

肩甲骨のアライメント

肘の痛みを抱えている人のほうが肩甲骨のポジションがより非対称の傾向が強かったことが報告されています

(Ucurum et al 2019より引用)

肩甲骨のアライメントというのは周辺の筋肉のバランスを表していることがあり、肩甲骨のポジションの乱れは何らかの筋力低下や過剰な硬さや、負荷がかかっていることなどを表すことがあります。

肩甲骨の機能不全が怪我を引き起こす?

 

ローテーターカフ

テニス肘を抱えている人はローテーターカフの筋力が弱い傾向にあることが報告されています1・3

肩のローテーターカフ

肩甲骨周りの筋肉の中でもローテーターカフは上腕骨の安定性に強く関わっており、腕の振りやボールの強いインパクト時などに腕や肩を守る役割があります。

比較的軽い負荷でも鍛えることができ、トレーニングは地味になりやすいのですが、肩や腕の怪我予防には欠かせない大切な筋肉です。

ローテーターカフの筋力と肩の怪我の関連性

 

僧帽筋下部

テニス肘を抱えている人は僧帽筋下部の筋力が弱い傾向にあることが報告されています2・3

(Lucado et al 2012より引用)

肩甲骨周りの筋肉の中でも僧帽筋下部はあまり鍛えられていないことが多く、実際にエクササイズを行っても力を入れにくかったり、他の筋肉で代償してしまったりとなかなか厄介な筋肉です。

僧帽筋下部の機能とエクササイズ

 

前鋸筋

肘の痛みを抱えていた人は前鋸筋の筋力が低下している傾向にあることが報告されています

(Neumann and Camargo 2019より引用)

前鋸筋は腕の挙上動作や腕の振りなどにおける肩甲骨の動きをサポートする筋肉としての役割があります。

前鋸筋のエクササイズは比較的シンプルで取り組みやすいものも多く、同時に体幹部を鍛えることもできたりと使い勝手のよいものもあります。

前鋸筋の機能とエクササイズ

 

肩甲骨周りへの介入の効果

テニス肘に対して肩甲骨周りの筋肉を鍛える効果については賛否両論あるかと思います。

野球の肘の怪我において肩甲骨を鍛えることはスタンダードですが、テニス肘において肩甲骨を鍛えることはそこまで広く行われていることではないかと思います。

手を挙げる動作

  • 通常のリハビリに加えて肩甲骨のトレーニングを行っても肘の痛みに大きな変化があるわけではないことが報告されています4・5

短期的な視点で肘の痛みを改善するのならばやはり肘周りのケアが大切になってくるかと思いますが、あくまで長期的に肘の怪我を予防していくためには肩甲骨周りの筋肉もしっかりと鍛えておいたほうがいいのではないでしょうか。

 

まとめ

テニス肘において肩甲骨周りの機能が低下している可能性もあり、選択肢のひとつとして肩甲骨周りの筋肉を鍛えることもありではないかと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Ucurum SG, Karabay D, Ozturk BB, Kaya DO. Comparison of scapular position and upper extremity muscle strength in patients with and without lateral epicondylalgia: a case-control study. J Shoulder Elbow Surg. 2019;28(6):1111-1119. doi:10.1016/j.jse.2018.12.010
  2. Day JM, Bush H, Nitz AJ, Uhl TL. Scapular muscle performance in individuals with lateral epicondylalgia. J Orthop Sports Phys Ther. 2015;45(5):414-424. doi:10.2519/jospt.2015.5290
  3. Lucado AM, Kolber MJ, Cheng MS, Echternach JL. Upper extremity strength characteristics in female recreational tennis players with and without lateral epicondylalgia. J Orthop Sports Phys Ther. 2012;42(12):1025-1031. doi:10.2519/jospt.2012.4095
  4. Day JM, Lucado AM, Dale RB, Merriman H, Marker CD, Uhl TL. The Effect of Scapular Muscle Strengthening on Functional Recovery in Patients With Lateral Elbow Tendinopathy: A Pilot Randomized Controlled Trial. J Sport Rehabil. 2021;30(5):744-753. doi:10.1123/jsr.2020-0203
  5. Sethi K, Noohu MM. Scapular muscles strengthening on pain, functional outcome and muscle activity in chronic lateral epicondylalgia. J Orthop Sci. 2018;23(5):777-782. doi:10.1016/j.jos.2018.05.003
  6. Neumann DA, Camargo PR. Kinesiologic considerations for targeting activation of scapulothoracic muscles - part 1: serratus anterior. Braz J Phys Ther. 2019;23(6):459-466. doi:10.1016/j.bjpt.2019.01.008

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