一般的にテニス肘は手首の伸展動作を繰り返すことで引き起こされると考えられていますが、その原因は上腕部にもある可能性があります。前腕の筋肉のケアやリハビリが行われることが多いのですが、ついつい上腕部の筋肉を忘れがちになることがあるかと思います。
ポイント
- テニス肘を抱えている人たちは前腕の筋肉の活動量が変化していることもあるようです
- テニス肘を抱えている人たちは前腕の筋肉よりも上腕の筋肉にコリが多い傾向にあるようです
- 前腕だけでなく上腕もしっかりとケアしていくことがテニス肘を防ぐのに役に立つ可能性があります
腱の耐久性が低下している可能性がある?
(Zhu et al 2020より引用)
テニス肘を持っている人たちの腱を調べたところ、腱が弱くなっている傾向があったそうです1。
これは怪我をしている部分に大きな負荷がかかり続けた結果、ダメージを受けてその機能が低下するなどの変化を引き起こしている可能性が考えられます。負傷部位のケアが大切なことは言うまでもありませんね。
テニス肘で筋肉の活動パターンが変化している?
前腕の筋肉のバランスの乱れがテニス肘の原因になっているかもしれません。
ここでテニス肘を持っている人達のグリップを握る動作における前腕の筋肉の活動量を調べた研究があり、手首の伸筋の一部の活動量が低下し、代わりに他の筋肉の活動量が増えているという傾向があったそうです2。
このように筋肉の活動量の変化が特定の部位に負荷を高めてしまう要因になっていることが考えられます。前腕の筋肉は代償動作が起こりやすいので、前腕の筋肉をひとつひとつ調べ、弱くなっているところをしっかりと鍛えてバランスを整えることが重要かと思います。
上腕の筋肉もテニス肘の原因となっている?
前腕部の重要性は言うまでもありませんが、上腕部がテニス肘の原因になっていることが意外と見受けられます。
テニス肘を持っている人達の筋肉のコリを調べた研究があるのですが、興味深い点としては手首を動かす筋肉よりも肘関節を動かす上腕の筋肉にコリが多くみられたということです3。
テニス肘は手首の伸展動作が怪我のメカニズムであると一般的に考えられているのですが、この結果は上腕の筋肉にもその原因がある可能性があることを示唆しています。
テニス肘を持っている人は特に上腕二頭筋などが硬い人が多い印象を受けており、上腕二頭筋や上腕三頭筋のバランスが崩れていることは珍しくありません。ここをしっかりとケアすることも怪我の改善に役に立つ可能性があります。
まとめ
テニス肘には肘だけでなく手や肩全体の筋肉の影響も受けている可能性があり、広い視点で身体を整えていくことが重要になってくるかと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
<参考文献>
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Zhu B, You Y, Xiang X, Wang L, Qiu L. Assessment of common extensor tendon elasticity in patients with lateral epicondylitis using shear wave elastography. Quant Imaging Med Surg. 2020;10(1):211-219.
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Heales LJ, Vicenzino B, MacDonald DA, Hodges PW. Forearm muscle activity is modified bilaterally in unilateral lateral epicondylalgia: A case-control study. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports. 2016;26(12):1382-1390.
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Aggarwal A, Daniel J, Palekar TJ. Prevalence of Myofascial Trigger Points in Brachioradialis, Biceps Brachii, Triceps Brachii, Supinator and Extensor Carpi Radialis Brevis in Lateral Epicondylitis. Indian Journal of Physiotherapy & Occupational Therapy. 2020;13(1):14.