スポーツにおいて腰を反ったり捻ったりと、腰へ繰り返し負荷がかかり続けることで脊柱分離症が引き起こされます。
脊柱分離症は疲労骨折の一種であるとも考えられており、治るのに時間がかかることが珍しくありません。
参照https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases--conditions/spondylolysis-and-spondylolisthesis/
ポイント
- 腰を反ったり回したりすることで脊柱に大きな負荷がかかるようです
- 脊柱分離症などでダメージを受けている場合にはより大きな負荷がかかる可能性があります
- 筋肉の働きで痛みを軽減できても、傷ついた組織が回復しているわけではありません
Contents
腰を過度に反ったり回したりする動作
腰を過度に反るような動きは負荷が高いことで知られています。
- 腰を反ったり回したりする動作において負荷が高くなっている傾向があるようです1。
- こういった動作にかかる負荷が最も大きい場所が脊柱分離症を発症しやすい位置と一致していたようです1。
生まれつき身体が柔らかい人などもいて、腰を反る動作がそこまで負担にならないような人もいるかと思いますが、
基本的には腰を反ったり捻ったりする動きは負荷が高いと言えます。
脊柱分離症を片側に発症している場合
脊柱分離症を片側で発症している場合には反対側への負荷が高まり、両側の脊柱分離症へと発展する可能性があります。
(Sairyo et al 2005より引用)
- 脊柱分離症を発症している人はスポーツなどの動きによって、通常よりも大きな負荷が反対側の腰にかかっていたそうです。特に脊柱の軸回転を伴う動作がより負荷が高かったそうです2。
- 実際に脊柱分離症を持っていた人の約15%が腰の骨の反対側で疲労骨折を起こしているというデータもあるようです2。
このように片側だけの脊柱分離症だったものが、両側へと発展しいく可能性があることを示しています。
脊柱分離症を両側に発症している場合
脊柱分離症を両側に発症していると、すべり症へとつながるような負荷へと変わっていく可能性があります。
(Wang et al 2006より引用)
- 脊柱分離症を両側に発生しているケースだと、片側だけの場合に比べて腰の負荷がさらに増すようです3。特にすべり具合の顕著な違いが示唆されています。
偶然なのか必然なのか脊柱すべり症を生み出すような負荷となっており、さらなる怪我の悪化につながる可能性を示しています。
脊柱すべり症を発症している場合
すべり症を発症していると負荷がさらに変化していきます。
(El-Rich et al 2009より引用)
- 脊柱すべり症のケースでは腰の負荷がさらに違う場所へとかかっいることが示唆されています4。
これは骨の構造が弱くなることにより、負荷がかかっている場所が変化しているのではないのか?と考察されています。
筋力と腰への負荷の関係性
体幹トレーニングなどで筋肉を鍛えることで負荷を減らすというような選択肢もあるかと思います。
(Zhu et al 2017より引用)
- 腰回りの筋力が低下した場合には、腰への負荷が増加していることが報告されています5。
- 一方で他の筋肉で補うことで腰への負荷を減らせる可能性が示唆されています5。
このように筋肉によって腰への負荷が変化する可能性があります。もしかしたら筋肉のバランスを整えることで腰痛が軽減した経験がある人もいるかもしれません。
体幹トレーニング時の注意点
体幹トレーニングなどによって腰の痛みが軽減されることもあるかもしれません。
しかし、これは腰にかかる負荷が軽減されたのであって、骨のダメージや構造が改善されているかどうかについては疑問が残ります。
痛みがなくなったからといって以前と同じような耐久性を持っているとは限らないのです。一般的に骨のダメージは短期間では回復しないと考えられています。
このような理由から慎重な判断が大切になってくるかと思います。
まとめ
怪我をした場合には痛みの有無だけでなく色々な視点から考えていくことが大切だと思います。
エクササイズで筋肉を鍛える、腰に負荷がかかる動作を避ける、スポーツにおける効率的な動作を習得する、さらには骨を強くするために栄養や睡眠をしっかりとるなど様々なケアができます。
<参考文献>
Chosa E, Totoribe K, Tajima N. A biomechanical study of lumbar spondylolysis based on a three-dimensional finite element method. Journal of Orthopaedic Research. 2004;22(1):158-163.
Sairyo K, Katoh S, Sasa T, et al. Athletes with Unilateral Spondylolysis are at Risk of Stress Fracture at the Contralateral Pedicle and Pars Interarticularis: A Clinical and Biomechanical Study. Am J Sports Med. 2005;33(4):583-590.
Wang J-P, Zhong Z-C, Cheng C-K, et al. Finite element analysis of the spondylolysis in lumbar spine. Bio-Medical Materials & Engineering. 2006;16(5):301.
El-Rich M, Villemure I, Labelle H, Aubin CE. Mechanical loading effects on isthmic spondylolytic lumbar segment: Finite element modelling using a personalised geometry. Computer Methods in Biomechanics and Biomedical Engineering. 2009;12(1):13-23.
Zhu R, Niu W-X, Zeng Z-L, et al. The effects of muscle weakness on degenerative spondylolisthesis: A finite element study. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2017;41:34-38.