腰痛

腰椎分離症の原因とスポーツへの復帰期間

腰の痛み

腰椎分離症においては多少の骨の損傷があったとしても、痛みがないことや、スポーツができてしまうこともあるかと思います。

しかし、腰椎の回復は安全にスポーツに復帰する上でとても大事な要素であり、慎重な判断が大事になってきます。

 

ポイント

  • 腰を反ったり回したりすることで脊柱に大きな負荷がかかり、脊柱分離症などで骨がダメージを受けている場合にはより大きな負荷がかかる可能性があります。
  • 腰椎分離症からのスポーツ復帰には数ヶ月を要する傾向にあります。
  • 多少の骨の損傷が残っていてもスポーツ復帰ができてしまうかもしれませんが、骨が回復しきっていない状態では腰への負荷は高まりやすいことに注意が必要です。

 

腰椎分離症へとつながる原因

スポーツにおいて腰を反ったり捻ったりと、腰へ繰り返し負荷がかかり続けることで脊柱分離症が引き起こされます。

そして、骨のダメージが大きくなっていくと、さらに高い負荷が腰にかかってきます。

 

腰を過度に反ったり回したりする動作

腰を過度に反るような動きは負荷が高いことで知られています。

バレエで腰を反る動作

  • 腰を反ったり回したりする動作において負荷が高くなっている傾向があるようです
  • こういった動作にかかる負荷が最も大きい場所が脊柱分離症を発症しやすい位置と一致していたようです

生まれつき身体が柔らかい人などもいて、腰を反る動作がそこまで負担にならないような人もいるかと思いますが、

基本的には腰を反ったり捻ったりする動きは負荷が高いと言えます。

 

腰椎分離症を片側に発症している場合

腰椎分離症を片側で発症している場合には反対側への負荷が高まり、両側の腰椎分離症へと発展する可能性があります。

片側の脊柱分離症による腰椎への負荷の分析

(Sairyo et al 2005より引用)

  • 腰椎分離症を発症している人はスポーツなどの動きによって、通常よりも大きな負荷が反対側の腰にかかっていたそうです。特に脊柱の軸回転を伴う動作がより負荷が高かったそうです
  • 実際に脊柱分離症を持っていた人の約15%が腰の骨の反対側で疲労骨折を起こしているというデータもあるようです

このように片側だけの脊柱分離症だったものが、両側へと発展しいく可能性があることを示しています。

 

腰椎分離症を両側に発症している場合

腰椎分離症を両側に発症していると、すべり症へとつながるような負荷へと変わっていく可能性があります。

脊柱分離症を両側に発症している場合の有限要素法

(Wang et al 2006より引用)

  • 腰椎分離症を両側に発生しているケースだと、片側だけの場合に比べて腰の負荷がさらに増すようです。特にすべり具合の顕著な違いが示唆されています。

偶然なのか必然なのか脊柱すべり症を生み出すような負荷となっており、さらなる怪我の悪化につながる可能性を示しています。

 

脊柱すべり症を発症している場合

すべり症を発症していると負荷がさらに変化していきます。

脊柱すべり症を発症している場合の腰椎への負荷

(El-Rich et al 2009より引用)

  • 脊柱すべり症のケースでは腰の負荷がさらに違う場所へとかかっいることが示唆されています

これは骨の構造が弱くなることにより、負荷がかかっている場所が変化しているのではないのか?と考察されています。

 

体幹トレーニングによる腰への負荷の軽減

体幹トレーニングなどで筋肉を鍛えることで負荷を減らすというような選択肢もあるかと思います。

骨格筋モデルによる腰椎への負荷

(Zhu et al 2017より引用)

  • 腰回りの筋力が低下した場合には、腰への負荷が増加していることが報告されています
  • 一方で他の筋肉で補うことで腰への負荷を減らせる可能性が示唆されています

このように筋肉によって腰への負荷が変化する可能性があります。もしかしたら筋肉のバランスを整えることで腰痛が軽減した経験がある人もいるかもしれません。

 

腰椎分離症の復帰期間

怪我がどのくらいの期間で回復するのかは整形外科医の先生の判断になるかと思いますが、過去の研究報告を知っておくことは役に立ちます。

 

一般的な復帰期間

  • 腰椎分離症が修復するのには数ヶ月かかることがMRIによる研究で報告されています
  • 他の研究では腰椎分離症からのスポーツ復帰に平均で5ヶ月かかるという報告もあるようです7・8
  • 両側の腰椎分離症など腰椎の損傷度合いによって、修復期間が長くなる傾向にあるようです

損傷度合いや症状によるかと思いますが、スポーツの復帰に数ヶ月かかることは覚悟したほうが安全ではないかと思います。

 

成長期のアスリート

成長期のアスリートなど年齢や性別によって、怪我のリスクが変わってくる可能性があります。

女子サッカー

  • 成長期においては骨の成長に伴い骨が不安定になり、腰椎分離症を発症しやすいと考えられています10
  • 新入生などスポーツの負荷に慣れていないと腰椎分離症を発症しやすいという意見もあるようです11
  • 特に女性はホルモンや栄養状態、思春期などの心理的要素なども影響するためか、女性の方がすべり症に発展するリスクが高いと考えられています12・13

このように腰への負荷がかかりやすい人達もいるということを覚えておいて損はないでしょう。

 

骨の損傷とスポーツ復帰

骨の損傷度合いとその後の症状の経過との関連は弱いという報告もあり6・14、骨が完全に修復していなくともスポーツができてしまうかもしれません。

ただ、骨が損傷していると腰への負荷も増してしまう可能性があるということには注意が必要かと思います。

3ヶ月の休養があることでその後の経過が良くなりやすいことから、一定期間安静にして骨を回復させることは大事と言えるかもしれません。

早い段階での処置も大事であり、症状が進行すると骨が修復しにくくなる傾向にあります9・15

手術をすることになればスポーツ復帰までにさらに長い期間がかかってしまう可能性があるので16、慎重な判断が大切ではないでしょうか。

 

まとめ

腰椎分離症においては数ヶ月の復帰期間がかかり、骨をしっかりと回復させる期間を与えることが症状の悪化や再発を防ぐのに役に立つかと思います。

 

<参考文献>

  1. Chosa E, Totoribe K, Tajima N. A biomechanical study of lumbar spondylolysis based on a three-dimensional finite element method. Journal of Orthopaedic Research. 2004;22(1):158-163.

  2. Sairyo K, Katoh S, Sasa T, et al. Athletes with Unilateral Spondylolysis are at Risk of Stress Fracture at the Contralateral Pedicle and Pars Interarticularis: A Clinical and Biomechanical Study. Am J Sports Med. 2005;33(4):583-590.

  3. Wang J-P, Zhong Z-C, Cheng C-K, et al. Finite element analysis of the spondylolysis in lumbar spine. Bio-Medical Materials & Engineering. 2006;16(5):301.

  4. El-Rich M, Villemure I, Labelle H, Aubin CE. Mechanical loading effects on isthmic spondylolytic lumbar segment: Finite element modelling using a personalised geometry. Computer Methods in Biomechanics and Biomedical Engineering. 2009;12(1):13-23.

  5. Zhu R, Niu W-X, Zeng Z-L, et al. The effects of muscle weakness on degenerative spondylolisthesis: A finite element study. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2017;41:34-38.

  6. El Rassi G, Takemitsu M, Glutting J, Shah SA. Effect of sports modification on clinical outcome in children and adolescent athletes with symptomatic lumbar spondylolysis. Am J Phys Med Rehabil. 2013;92(12):1070-1074. doi:10.1097/PHM.0b013e318296da7e
  7. Yamane T, Yoshida T, Mimatsu K. Early diagnosis of lumbar spondylolysis by MRI. J Bone Joint Surg Br. 1993;75(5):764-768. doi:10.1302/0301-620X.75B5.8376435
  8. Iwamoto J, Takeda T, Wakano K. Returning athletes with severe low back pain and spondylolysis to original sporting activities with conservative treatment. Scand J Med Sci Sports. 2004;14(6):346-351. doi:10.1111/j.1600-0838.2004.00379.x
  9. Sys J, Michielsen J, Bracke P, Martens M, Verstreken J. Nonoperative treatment of active spondylolysis in elite athletes with normal X-ray findings: literature review and results of conservative treatment. Eur Spine J. 2001;10(6):498-504. doi:10.1007/s005860100326
  10. Warner WC, de Mendonça RGM. Adolescent Spondylolysis: Management and Return to Play. Instr Course Lect. 2017;66:409-413.
  11. Goldberg B, Pecora C. Stress Fractures. The Physician and Sportsmedicine. 1994;22(3):68-78. doi:10.1080/00913847.1994.11710482
  12. Zhang S, Ye C, Lai Q, et al. Double-level lumbar spondylolysis and spondylolisthesis: A retrospective study. J Orthop Surg Res. 2018;13(1):55. doi:10.1186/s13018-018-0723-3
  13. Kalichman L, Kim DH, Li L, Guermazi A, Berkin V, Hunter DJ. Spondylolysis and spondylolisthesis: prevalence and association with low back pain in the adult community-based population. Spine (Phila Pa 1976). 2009;34(2):199-205. doi:10.1097/BRS.0b013e31818edcfd
  14. Klein G, Mehlman CT, McCarty M. Nonoperative treatment of spondylolysis and grade I spondylolisthesis in children and young adults: a meta-analysis of observational studies. J Pediatr Orthop. 2009;29(2):146-156. doi:10.1097/BPO.0b013e3181977fc5
  15. Morita T, Ikata T, Katoh S, Miyake R. Lumbar spondylolysis in children and adolescents. J Bone Joint Surg Br. 1995;77(4):620-625.
  16. Bouras T, Korovessis P. Management of spondylolysis and low-grade spondylolisthesis in fine athletes. A comprehensive review. Eur J Orthop Surg Traumatol. 2015;25 Suppl 1:S167-175. doi:10.1007/s00590-014-1560-7

-腰痛

© 2022 Hero's Body