腰痛のメカニズム

仙腸関節障害と筋肉による影響

仙腸関節はその骨の構造と靭帯や筋肉の働きにより安定性が生み出されています。仙腸関節障害の原因には様々なものがありますが、筋肉もそのひとつであると考えられています。筋肉の機能低下などにより仙腸関節の安定性が失われ、仙腸関節障害につながる可能性が考えられます。

 

ポイント

  • 筋肉には仙腸関節を閉じるようとする働きがあり仙腸関節の安定性につながります
  • 仙腸関節障害を持っている場合には筋肉の働きが低下していることがあります
  • 色々な筋肉が仙腸関節につながっており、広い視点でのアプローチも役に立つかもしれません

 

仙腸関節の構造と負荷

仙腸関節は上半身と下半身を繋ぐところに位置しており、仙腸関節はほんの数ミリしか動きませんが体重を支えたり重心移動をサポートする役割があります。

参照https://www.floridasurgeryconsultants.com/conditions/spine/sacroiliac-joint-pain/

こういった負荷に耐えるために骨の構造で仙腸関節を閉じようとすることで安定性をもたらしたり、筋肉や靭帯などで仙腸関節を閉じるようとすることで仙腸関節の安定性がもたらされていると考えられています

(Kibsgård 2015より引用)

 

仙腸関節の不安定さについて

このように仙腸関節に体重がのしかかることをうまく利用できるような構造になっているため圧迫されることや曲げようとする負荷に強いのですが、仙腸関節を開かせる引き剥がされるような負荷(剪断力)にはそこまで強くないのではないか?と考えられています

仙腸関節の検査では剪断力を生み出すものも多かったりしますし、仙腸関節がゆるくて動きが大きい方が問題を引き起こしている側である、なんてことが言われたりしています。

このため筋肉などでいかに仙腸関節を安定させるのか?ということが重要になってくるかと思います。

 

仙腸関節障害と関節の安定性

仙腸関節障害を持っている場合には色々な筋肉の活動が変化していることがあります。

  • 筋肉が活動するタイミングが遅延していたり、他の筋肉で代償したりすることが報告されています。このように筋肉が適切に働かないことで仙腸関節への負荷がかかってしまう可能性があります。
  • というのも筋肉の働きは仙腸関節の安定性に関わっており、仙腸関節周りの筋肉が働くことで仙腸関節はより安定することが報告されています

 

そして色々な筋肉が仙腸関節の安定性に貢献していると考えられます。というのも、仙腸関節の周りにはたくさんの筋肉が付着しており、程度の差はあれどこれらの筋肉が働くことで仙腸関節を支えることができる可能性があるためです。

(Snijders et al 1998より引用)

このため筋肉が仙腸関節障害に影響すると考えられます。

 

多くの筋肉が仙腸関節に関わっている

仙腸関節障害には多くの原因が考えられますが筋肉もそのひとつです。そして、仙腸関節には多くの筋肉が影響している可能性があります。

 

大臀筋

大臀筋

仙腸関節障害を持っている人達は大臀筋の筋力が弱い傾向にあったことが報告されています。また、仙腸関節障害を持っている人達の大臀筋が活動するタイミングが遅れている傾向にあったことも報告されています

 

ハムストリングス

ハムストリングス

ハムストリングスも仙腸関節障害に関わっている可能性があります。仙腸関節障害を持っている人で大臀筋が弱い場合にはハムストリングスを硬くして代償するということが起こる傾向にあることが報告されています。ハムストリングスが直接の原因というわけではいのかもしれませんが、ハムストリングスの筋肉の働きが仙腸関節の安定性に関係しているということを示しているかと思います。

 

広背筋

胸腰筋膜

広背筋も仙腸関節障害に少なからず影響する可能性があるようです。というのも広背筋は筋膜を介して仙腸関節につながっているという考え方があります。そして、仙腸関節障害を持っていた人達の広背筋の働きが少々違っていたことが示唆されています。ただし広背筋は少し離れており、その影響は限定的かもしれませんので注意が必要かと思います。

 

腹斜筋

内腹斜筋

仙腸関節障害を持っている人達は腹斜筋や多裂筋の活動タイミングが遅れていることが報告されています・腹斜筋などの横方向の力を筋肉が仙腸関節の安定に役に立つと考えられています。というのも横方向からの力により骨盤帯のアーチが安定し、重力などの縦方向への力をしっかりと支えることができると考えられています・10。

(Sniders et al 1998より引用)

 

腹横筋

腹横筋

腹横筋も仙腸関節の安定性に関わっています。注目すべき点は、他の筋肉よりも腹横筋のほうが仙腸関節の安定性を高める可能性があるのではないか?と考えられているところです11。しかしながら、仙腸関節を持っている人達の腹横筋を直接調べた研究が少ないことから、腹横筋が他の筋肉に比べて仙腸関節障害に関わっているのかについては疑問が残ります。

 

 

今回はいくつかの筋肉を紹介させていただきましたが、この他にも多くの筋肉が仙腸関節に影響を及ぼしていると考えられます。

 

まとめ

仙腸関節はその骨の構造と靭帯や筋肉の働きにより安定性が生み出されています。筋肉の機能低下などにより仙腸関節の安定性が失われ、仙腸関節障害につながる可能性が考えられるため、筋肉をバランス良く鍛えておくことが役にたつかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Kibsgård TJ. Radiostereometric analysis of sacroiliac joint movement and outcomes of pelvic joint fusion. Acta Orthopaedica. 2015;86(sup359):S1-S40.
  2. Snijders CJ, Vleeming A, Stoeckart R. Transfer of lumbosacral load to iliac bones and legs Part 1: Biomechanics of self-bracing of the sacroiliac joints and its significance for treatment and exercise. Clin Biomech (Bristol, Avon). 1993;8(6):285-294.
  3. Hungerford B, Gilleard W, Hodges P. Evidence of altered lumbopelvic muscle recruitment in the presence of sacroiliac joint pain. Spine. 2003;28(14):1593-1600.
  4. van Wingerden JP, Vleeming A, Buyruk HM, Raissadat K. Stabilization of the sacroiliac joint in vivo: verification of muscular contribution to force closure of the pelvis. Eur Spine J. 2004;13(3):199-205.
  5. Snijders CJ, Ribbers MT, de Bakker HV, Stoeckart R, Stam HJ. EMG recordings of abdominal and back muscles in various standing postures: validation of a biomechanical model on sacroiliac joint stability. J Electromyogr Kinesiol. 1998;8(4):205-214.
  6. Added MAN, de Freitas DG, Kasawara KT, Martin RL, Fukuda TY. Strengthening the gluteus Maximus in subjects with sacroiliac dysfunction. Int J Sports Phys Ther. 2018;13(1):114-120.
  7. van Wingerden JP, Vleeming A, Snijders CJ, Stoeckart R. A functional-anatomical approach to the spine-pelvis mechanism: interaction between the biceps femoris muscle and the sacrotuberous ligament. Eur Spine J. 1993;2(3):140-144.
  8. Vleeming A, Pool-Goudzwaard AL, Stoeckart R, van Wingerden JP, Snijders CJ. The posterior layer of the thoracolumbar fascia. Its function in load transfer from spine to legs. Spine. 1995;20(7):753-758.
  9. Bashir MS, Noor R, Hadian MR, Olyaei G. Pattern of changes in latissimus dorsi, gluteus maximus, internal oblique and transverse abdominus muscle thickness among individuals with sacroiliac joint dysfunction. Pakistan journal of medical sciences. 2019;(3):818.
  10. Snijders CJ, Vleeming A, Stoeckart R. Transfer of lumbosacral load to iliac bones and legs Part 1: Biomechanics of self-bracing of the sacroiliac joints and its significance for treatment and exercise. Clin Biomech (Bristol, Avon). 1993;8(6):285-294.
  11. Richardson CA, Snijders CJ, Hides JA, Damen L, Pas MS, Storm J. The relation between the transversus abdominis muscles, sacroiliac joint mechanics, and low back pain. Spine. 2002;27(4):399-405.

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