腰痛のメカニズム

仙腸関節障害と仙腸関節の靭帯の影響

骨盤の靭帯

仙腸関節には複数の靭帯があり、これらの靭帯の働きも仙腸関節の安定性に貢献しています。これらの靭帯は筋肉の働きや仙骨の状態によって影響を受けることが考えられ、仙腸関節障害がひどくなってくると、これらの靭帯が傷んだり強さが失われたりといったこともあるようです。

 

ポイント

  • 仙腸関節の周りには複数の靭帯があり、仙腸関節の安定性に影響を与えていると考えられています
  • 筋肉の働きによっても靭帯の張力が影響されるようです
  • 仙骨の前傾・後傾なども靭帯に影響を及ぼすと考えられています

 

仙腸関節と靭帯について

仙腸関節の周りには複数の靭帯があり、これらの靭帯が仙腸関節の安定性に影響を与えていると考えられています。

そして、仙骨の前傾・後傾なども靭帯に影響を及ぼすと考えられています。

 

骨間仙腸靭帯

参照https://www.youtube.com/watch?v=n4z8pXhVqWU

骨間仙腸靭帯(interosseous sacroiliac ligament)をMRIで調べたところ靭帯が大きかったことから、仙腸関節の安定性において重要な役割を担っている可能性があります。

 

長後仙腸靱帯

(Vleeming et al 1996より引用)

  • 献体による実験で長後仙腸靱帯(Long dorsal sacroiliac ligament)への負荷を調べた研究があります。 ハムストリングスの収縮ではそこまで影響を受けないが、大臀筋の収縮により靭帯の張力が少々軽減され、脊柱起立筋の収縮により靭帯が引き伸ばされることが報告されています

こういったところから大臀筋を鍛えることで長後仙腸靱帯への負荷が軽減される可能性があるのではないか?と考えられます。

 

仙結節靱帯

(van Wingerden et al 1993より引用)

  • ハムストリングスの延長上に仙結節靱帯(sacrotuberous ligament)があるため、ハムストリングスの収縮によってこの靭帯に張力が加わる可能性があります
  • 梨状筋や大臀筋も仙結節靱帯につながっていると考えられており、これらの筋肉が収縮することで仙結節靱帯に張力が生まれることが報告されています

(Vleeming et al 1989より引用)

大臀筋などは仙骨などにも直接つながっているため、こうした筋肉の働きによって仙腸関節を安定させ、結果的に靭帯への負荷を軽減できる可能性もあるのではないでしょうか。

 

靭帯と仙骨の関係について

仙骨を前傾させると仙腸関節周りの靭帯の多くが張力が増す傾向にあることから、仙骨の前傾は仙腸関節が安定し負荷に耐えやすい状態ではないか?と考えられています。一方で仙骨を後傾させることで靭帯を緩めることができ、仙骨のアライメントを整えるのに適していると言われたりしています。

  • 仙骨が後傾していると長後仙腸靱帯の張力が増える傾向にあり、仙骨が前傾していると長後仙腸靱帯への張力が軽減される傾向にあるようです
  • 仙結節靱帯は仙骨の前傾や後傾に影響を及ぼす可能性があります。献体を用いた実験では仙結節靱帯に張力を加えることで仙骨の前傾が抑制されたことが報告されています

 

仙腸関節の靭帯も傷んでしまう可能性がある

仙腸関節の靭帯も怪我によって傷んでしまうことがあるようです。

仙腸関節の手術を受けた人達の靭帯を採取したところ、仙腸関節周りの靭帯が痛みダメージが蓄積していた傾向にあったことが報告されています。これは手術を受けるようなケースであるため、仙腸関節障害による腰痛などのケースで同じようなことが起こるかというと微妙なところではあるかと思います。

身体への負荷を与えすぎると仙腸関節周りの靭帯にも影響を及ぼす可能性があるということを示唆しているかと思いますし、靭帯がダメージを受ければ靭帯によって関節を支える効果も弱まってしまう可能性もあるのではないかと思います。

 

ただ、どちらかというと靭帯が弱まったことによる仙腸関節の不安定さよりも、筋肉による不安定さのほうが見受けられるのではないかと個人的には思います。

仙腸関節障害と筋肉による影響

仙腸関節はその骨の構造と靭帯や筋肉の働きにより安定性が生み出されています。仙腸関節障害の原因には様々なものがありますが、筋肉もそのひとつであると考えられています。筋肉の機能低下などにより仙腸関節の安定 ...

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まとめ

仙腸関節には複数の靭帯が付いており、周辺の筋肉の働きや仙骨の位置などによって靭帯の張力や負荷にも影響を与える可能性が考えられます。しっかりと身体を整えて仙腸関節の安定性を高めていくことが仙腸関節障害の予防などにつながるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Vleeming A, Schuenke MD, Masi AT, Carreiro JE, Danneels L, Willard FH. The sacroiliac joint: an overview of its anatomy, function and potential clinical implications. J Anat. 2012;221(6):537-567.
  2. Steinke H, Hammer N, Slowik V, et al. Novel insights into the sacroiliac joint ligaments. Spine. 2010;35(3):257-263.
  3. Vleeming A, Pool-Goudzwaard AL, Hammudoghlu D, Stoeckart R, Snijders CJ, Mens JM. The function of the long dorsal sacroiliac ligament: its implication for understanding low back pain. Spine. 1996;21(5):556-562.
  4. van Wingerden JP, Vleeming A, Snijders CJ, Stoeckart R. A functional-anatomical approach to the spine-pelvis mechanism: interaction between the biceps femoris muscle and the sacrotuberous ligament. Eur Spine J. 1993;2(3):140-144.
  5. Vleeming A, Stoeckart R, Snijders CJ. The sacrotuberous ligament: a conceptual approach to its dynamic role in stabilizing the sacroiliac joint. Clinical Biomechanics. 1989;4(4):201-203.
  6. Vleeming A, Van Wingerden JP, Snijders CJ, Stoeckart R, Stijnen T. Load application to the sacrotuberous ligament; influences on sacroiliac joint mechanics. Clinical Biomechanics. 1989;4(4):204-209.
  7. Hammer N, Ondruschka B, Fuchs V. Sacroiliac Joint Ligaments and Sacroiliac Pain: A Case-Control Study on Micro- and Ultrastructural Findings on Morphologic Alterations. Pain Physician. 2019;22(6):E615-E625.

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