腰痛のメカニズム

脊柱側彎症のメカニズム

成長期のお子さん達の中には、背骨のカーブが左右に大きく歪む脊柱側彎症が起こることが珍しくありません。

ここで脊柱側彎症の症状の進行に影響する要素や、脊柱周りの筋肉の変化など、そのメカニズムについてご紹介していきたいと思います。

 

ポイント

  • 成長期の子供たちは脊柱側彎症の進行が早い傾向にあるようです。
  • 脊柱のカーブの仕方によっても脊柱側彎症の進行度合いに違いがあるようです。
  • 脊柱側彎症にともなう椎間板の変形などにより脊柱が不安定になることもあるようです。

 

成長期と脊柱側彎症

脊柱側彎症には先天性、特発性、機能性などの様々な原因がありますが、特に成長期の子供達は脊柱側彎症の症状が進行しやすい傾向にあります。

脊椎側彎症

  • 脊柱側彎症を抱えている子供達を追跡調査したところ、身長など成長速度に応じても脊柱側彎症の曲がり具合が加速していることが報告されています
  • いわゆる猫背を抱えている人達のほうが脊柱側彎症の曲がり具合が加速しやすかったことが報告されています
  • 成長期などのステージによる影響もあり、初潮を迎える1〜2年前が脊柱側彎症の曲がり具合が加速しやすい傾向にあることが報告されています1〜3

このように成長期における身体の状態が脊柱側彎症に影響を与える可能性があるようです。

 

骨格の成熟度(Risser Sign)

脊柱側彎症においてよく用いられる指標のひとつにRisser Signと呼ばれるものがあります。

(seem et al 2009より引用)

  • Risser Signは骨盤における腸骨稜の骨化の度合いをレントゲンを用いて評価する方法です
  • ステージ0または1という骨格が成熟していない時期に脊柱側彎症が進行しやすかったことが報告されています1・2

(Reem et al 2009より引用)

このように骨格の成熟度が脊柱側彎症に関係しています。

 

脊柱の曲がり方による違い

脊柱側彎症において脊柱の曲がり方次第で症状の進行度合いが変わってくる可能性があります。

脊柱側彎症のカーブの種類

  • 胸椎が右側にカーブしている方が脊柱側彎症の進行が早かったことが報告されています1〜3
  • 女の子で二重のカーブや、男の子で腰椎が右側にカーブしていることなども脊柱側彎症が進行しやすいという研究報告もあるようです

脊柱のカーブの仕方によって心臓から血液を運ぶ大動脈の位置が変わることが報告されており、これが脊柱側彎症の進行度合いに影響するのではないかと考えられているようです。ただ、研究数も少なく強い科学的根拠があるわけではありません。

このように脊柱側彎症における脊柱の曲がり方次第で影響を受けることもあるかもしれません。

 

脊柱周りの筋肉の硬さ

脊柱側彎症を抱えている人達は脊柱周りが硬くなっている傾向にあるようです。

脊柱側彎症

  • 脊柱側彎症の症状が進行するほど、脊柱の可動域が小さくなる傾向にあることが報告されています
  • 脊柱側彎症を抱えていた人を解剖したところ、脊柱の可動域が小さく、そして脊柱の屈曲伸展における剛性が高まっていたことが報告されています
  • 脊柱側彎症により椎間板や椎間関節の変性が進み、脊柱が不安定になっている可能性が示唆されています
  • 脊柱側彎症において脊柱のカーブの凸側の筋活動が大きく、凹側の筋活動が小さくなっていることが報告されています9・10
  • 脊柱側彎症を抱えている人達の脊柱周りをストレッチしたところ、姿勢が維持しにくくなったことが報告されています11

脊柱周りの筋肉が硬いから脊柱の歪みが発生するのか?という因果関係には議論が残ります。

しかし、脊柱側彎症が進行することで関節の安定性が低下する可能性があるために、脊柱周りの筋肉を固める必要があるという可能性も頭に入れておいたほうがいいでしょう。

 

脊柱側彎症の評価

評価は整形外科で行うことが理想ですが、簡易的なテスト方法もいくつかあるようです。

 

立位姿勢からの前屈による評価

学校の健診などで用いられるのが、立位姿勢からの前屈をしたときに、左右の高さの違いなどがないか?というのを調べる方法です。

(Maragkoudakis et al 2019より引用)

この方法では精度に限界があることも指摘されており13、あくまで早期発見のための簡易的なスクリーニングという位置づけとなっています。詳細な検査は整形外科で行うことが望ましいようです。

 

修正可能性のテスト

鉄棒にぶら下がった時に脊柱のカーブが改善されれば、エクササイズや筋力改善などによって一定の効果が見込める可能性があるというものです15

鉄棒ぶら下がり

腰痛研究の世界的権威であるMcGill氏が提唱する方法ですが、裏付けとなる論文が見つからず、いち専門家の意見に過ぎないという科学的根拠の弱さがあります。

 

 

エクササイズ等による対処方法

脊柱側彎症を改善するためにエクササイズなどの運動療法が行われることがあるかと思います。

 

ストレッチ

脊柱側彎症を抱えている人は背骨周りが硬いこともあり、ストレッチなどで身体のバランスを整えたくなるかもしれません。

(Levi et al 2019より引用)

ストレッチによって姿勢が乱れやすくなるといったことも報告されており11、安易なストレッチはあまりオススメできず専門家の指導が大切になってくるかと思います。

 

トレーニング

エクササイズに取り組むことで脊柱側彎症に対して一定の効果はあることが報告されています16

Birddogエクササイズ

しかしながら、脊柱のカーブが大きいほどエクササイズによる効果は限定的になる傾向にあります17

 

装具・コルセット

装具やコルセットを用いることも選択肢のひとつであり、整形外科医の判断・指示が大切になってきます。

背骨のコルセット

できればこうなる前にエクササイズなどで問題解決していけるのが理想ですね。

 

まとめ

脊柱側彎症は成長期の子供達にみられる傾向があり、早期発見によって早めの対処ができることが望ましいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Ylikoski M. Growth and progression of adolescent idiopathic scoliosis in girls. J Pediatr Orthop B. 2005;14(5):320-324. doi:10.1097/01202412-200509000-00002S
  2. Bunnell WP. The natural history of idiopathic scoliosis before skeletal maturity. Spine (Phila Pa 1976). 1986;11(8):773-776. doi:10.1097/00007632-198610000-00003
  3. Soucacos PN, Zacharis K, Gelalis J, et al. Assessment of curve progression in idiopathic scoliosis. Eur Spine J. 1998;7(4):270-277. doi:10.1007/s005860050074
  4. Reem J, Carney J, Stanley M, Cassidy J. Risser sign inter-rater and intra-rater agreement: is the Risser sign reliable? Skeletal Radiol. 2009;38(4):371-375. doi:10.1007/s00256-008-0603-8
  5. Sucato DJ, Duchene C. The position of the aorta relative to the spine: a comparison of patients with and without idiopathic scoliosis. J Bone Joint Surg Am. 2003;85(8):1461-1469.
  6. Poussa M, Mellin G. Spinal mobility and posture in adolescent idiopathic scoliosis at three stages of curve magnitude. Spine (Phila Pa 1976). 1992;17(7):757-760. doi:10.1097/00007632-199207000-00005
  7. Rustenburg CME, Kingma I, Holewijn RM, et al. Biomechanical properties in motion of lumbar spines with degenerative scoliosis. J Biomech. 2020;102:109495. doi:10.1016/j.jbiomech.2019.109495
  8. Voinier SD, Agnew MJ, Carmouche JJ. Passive stiffness characteristics and neutral zone quality of the scoliotic lumbar torso in the principle anatomical planes of motion. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2020;80:105162. doi:10.1016/j.clinbiomech.2020.105162
  9. Reuber M, Schultz A, McNeill T, Spencer D. Trunk muscle myoelectric activities in idiopathic scoliosis. Spine (Phila Pa 1976). 1983;8(5):447-456. doi:10.1097/00007632-198307000-00002
  10. Zetterberg C, Björk R, Ortengren R, Andersson GB. Electromyography of the paravertebral muscles in idiopathic scoliosis. Measurements of amplitude and spectral changes under load. Acta Orthop Scand. 1984;55(3):304-309. doi:10.3109/17453678408992362
  11. Levi D, Springer S, Parmet Y, Ovadia D, Ben-Sira D. Acute muscle stretching and the ability to maintain posture in females with adolescent idiopathic scoliosis. J Back Musculoskelet Rehabil. 2019;32(4):655-662. doi:10.3233/BMR-181175
  12. Sapkas G, Papagelopoulos PJ, Kateros K, et al. Prediction of Cobb angle in idiopathic adolescent scoliosis. Clin Orthop Relat Res. 2003;(411):32-39. doi:10.1097/01.blo.0000068360.47147.30
  13. Fong DYT, Lee CF, Cheung KMC, et al. A meta-analysis of the clinical effectiveness of school scoliosis screening. Spine (Phila Pa 1976). 2010;35(10):1061-1071. doi:10.1097/BRS.0b013e3181bcc835
  14. Maragkoudakis EG, Gelalis I, Grivas T, Burwell GR, Mazioti C, Tsilimidos G. Using the Scoliometer and a Surface Topography Apparatus to Check if Back Trunk Asymmetry Changes in Children and Adolescents in the Forward Flexion and Standing Erect Positions. Cureus. 2019;11(12):e6334. doi:10.7759/cureus.6334
  15. Stuart McGill. Low Back Disorders Evidence-Based Prevention and Rehabilitation. 2015. Human Kinetics
  16. Rrecaj-Malaj S, Beqaj S, Krasniqi V, Qorolli M, Tufekcievski A. Outcome of 24 Weeks of Combined Schroth and Pilates Exercises on Cobb Angle, Angle of Trunk Rotation, Chest Expansion, Flexibility and Quality of Life in Adolescents with Idiopathic Scoliosis. Med Sci Monit Basic Res. 2020;26:e920449. doi:10.12659/MSMBR.920449
  17. McIntire KL, Asher MA, Burton DC, Liu W. Treatment of adolescent idiopathic scoliosis with quantified trunk rotational strength training: a pilot study. J Spinal Disord Tech. 2008;21(5):349-358. doi:10.1097/BSD.0b013e318145b7e9

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