腰痛のメカニズム

腰方形筋の役割と腰痛のリスクとの関連性

腰方形筋

腰には腰方形筋という筋肉があるのですが、なかなか理解しにくいことがあるかと思います。スポーツをやっているとこの筋肉が硬く張ってしまうことは珍しくないですし、この筋肉が弱くなってしまうことも珍しくありません。

普段はあまり注目されない筋肉ですが、その役割や怪我との関連性について解説してみたいと思います。

 

ポイント

  • 腰方形筋は大きな力を生み出すというよりもサポート役としての役割が強いかもしれません
  • 腰方形筋に極度の左右差がある場合には怪我につながる可能性があります
  • 腰方形筋と周辺の筋肉とのバランスがとれていない場合には怪我につながる可能性があります

 

腰方形筋の役割

腰方形筋には色々な機能がありますが、身体を安定させる機能にも注目したほうがいいかもしれません。

腰方形筋

  • 身体を反らすような動きに腰方形筋が働きますが、テコの長さなどを考えると腰方形筋よりも脊柱起立筋のほうが身体を反らす力を生み出しやすいと考えられています
  • 腰方形筋は身体を横に曲げるような動作にも働きますが、これもテコの長さを考えると腹斜筋などのほうがより大きな力を生み出しやすいと考えられています

腰方形筋は主役になるというよりもサポートする役割のほうが強いと言えるのではないかと思います。

 

腰方形筋の左右差と腰痛のリスク

スポーツの特性上で多少の腰方形筋の左右差であれば問題ないこともあるようです。

サッカーのキック

  • フットボール選手は軸足の腰方形筋のほうが反対側と比べて大きい傾向にあり、その左右差は怪我には関係していなかったことが報告されています
  • テニス選手にも腰方形筋の左右差がある傾向にあったそうです3・4。こういった左右差があるスポーツにおいては体幹周りの筋肉が非対称に発達することは珍しくないようです。
  • クリケットの選手の腰痛をシーズンを通して追跡したところ、腰方形筋の左右差が大きかった選手のほうが腰痛を発症していなかったそうです。しかし、左右差が大きかった場合に怪我が増えたという結果も報告されています

スポーツの性質によっては多少の非対称さが好ましい場合もあるのかもしれませんが、極端にバランスを崩してしまうような場合には逆効果なのかもしれません。

 

腰方形筋が過度な発達と腰痛のリスク

腰方形筋の働きは大事ですが、過度に発達して周辺の筋肉とのバランスが取れないことは怪我につながるかもしれません。

多裂筋

  • ある研究で多裂筋に対して腰方形筋が大き過ぎてしまうと将来の怪我の発生率が増える傾向にあることが報告されています
  • 腰方形筋が小さい場合にも怪我が増えていたこと、左右差が大きすぎる場合にも怪我が増えてしまう可能性があることが報告されています。そのバランスが重要になってくるようです。
  • 腰痛を持っている人の座る姿勢において、脊柱起立筋の活動量が少なくなっている代わりに腰方形筋などの活動量が増えていた場合には腰痛との関連性があったことが報告されています

このように周辺の筋肉とのバランスが乱れてしまうことが怪我の原因のひとつと考えられるかと思います。

 

腰方形筋のエクササイズについて

腰方形筋を狙って鍛えることは簡単ではありません。

サイドプランク

  • 筋肉の活動量を調べた研究によるとサイドブリッジなどのエクササイズが効果的であり10、横方向や回旋などの負荷のほうが腰方形筋が働きやすいのではないかと考えられます。

腰方形筋が働きやすいエクササイズはいくつかあるものの、他の筋肉の影響を完全に切り離して腰方形筋だけを単独で鍛えることは難しい部分もあります。

 

まとめ

腰方形筋はサポート役に徹している筋肉であり、他の筋肉との関係性などのバランスが大事になってくるかと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

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