足の怪我のメカニズム

足底筋膜炎のメカニズム

足底筋膜炎の解剖図

走り込みや練習のしすぎで足への負荷がかかり足底筋膜炎を発症することがあります。走る動作をすると足の裏に痛みがあったり、朝ベッドから起き上がった瞬間に痛みを感じることがあります。足底筋膜炎は慢性的な怪我であると考えられており、そのメカニズムを理解して日々のケアをすることで症状が改善していく可能性があります。

 

ポイント

  • 足底筋膜には衝撃吸収や推進力を生み出す役割があります
  • 足のアーチが変わることで足底筋膜の働きに影響を与える可能性があります
  • 足の指の筋力や可動域も足底筋膜の働きに影響を与える可能性があります

 

足底筋膜の機能

次の図のように足底筋膜は足の底にあり、その張力で足のアーチを支えていると考えられています。これがあることで衝撃を吸収したりと身体を守るための役割を果たしています。

足底筋膜

(Bolga and Malone 2004より引用)

また、足底筋膜はパフォーマンス向上にも役に立っていると考えられています。ここでロボットに足底筋膜を再現してその機能を調べた実験があります

足底筋膜をロボットに再現してジャンプ 足底筋膜をロボットに再現した

(Liu et al 2018より引用)

足底筋膜があることでゴムのように伸び縮みする力を利用して、より高く飛ぶことができたそうです。特につま先立ちのような状態、つま先で地面を押す瞬間にこの機能が働いていたそうです。

 

足のアーチが足底筋膜に影響を及ぼす

足底筋膜にはその役割があることがわかりましたが、色々な要素によってその機能や負荷が変わってくる可能性があります。

足のアーチの崩れ

  • 足のアーチと足底筋膜への負荷を調べた研究があり、28名の健康な人たちに一定速度で走ってもらいその動作を解析することで足底筋膜への負荷を調べています。その結果アーチが低下していると足底筋膜がより引き伸ばされて負荷が増える可能性があるようです

このように足のアーチが変わることで足底筋膜の働きに影響を与える可能性があります。

 

足の指の筋力の影響

一般的に足底の筋力低下が足のアーチに影響を及ぼす要素として考えられています。

特にランニングの着地時などに足底筋膜が引き伸ばされるのを足の指の力で和らげることができると考えられています。実際に足底筋膜炎を持っている人達の足の指の筋力は低下している傾向にあるそうです

これを改善するには次の図のようにタオルを使って足の指を鍛えるエクササイズが有名ですね。

足の指を鍛えるエクササイズ

参照https://www.youtube.com/watch?v=0AG5rkp7BAY

 

足の指の可動域による影響

足の指の可動域が足底筋膜に影響を及ぼす可能性があります。

足の指の可動域によるアーチの変化

(Welte et al 2018より引用)

  • 足の指の角度が変化することで足底筋膜の働きが変わってくる可能性があります
  • 足底筋膜炎を持っている人たちに一定速度で歩いてもらいその歩行動作を解析したところ、足底筋膜炎を持っている人たちは歩行動作時に足の人差し指がより大きく反っていたそうです
  • 一方で足底筋膜炎を持っている人達の足の人差し指の可動域にそこまで違いはないという研究結果もあります

これは足の指がより反っている状態だと足底筋膜がより引き伸ばされて負荷がかかる可能性があり、足底筋膜炎につながるのではないかと考えられています。

足の指の可動域に関しては議論が分かれるところでが、著しく変化が生じていた場合には注意が必要かもしれません。

 

足首の可動域による影響

ふくらはぎの筋肉が硬いことも足底筋膜への負荷を高める原因となることがあります7・8。足底筋膜炎を持っている人達はふくらはぎの筋肉などが硬く、足首の柔軟性が低下していたそうです

ふくらはぎが硬いと足底筋膜がより引っ張られやすい状態になると考えられています。足底筋膜炎の人達にふくらはぎのストレッチなどが広く勧められているのはこういった理由ですね。

 

足の衝撃吸収能力が低下している?

足底筋膜炎を発症している人は足底筋膜以外にも周辺の身体の組織に影響が及んでいる可能性があります。

踵の脂肪体

(Belhan et al 2019より引用)

  • 足底筋膜炎を持っている人の足を調べた研究があり、踵の脂肪体には足への衝撃を吸収する役割があると考えられているのですが、足底筋膜炎を持っている人たちは踵の脂肪体が薄くなっている傾向にようです10
  • 他の研究ではこれとはやや異なる結果となっている事例もありますが11、いずれも足底筋膜炎により衝撃吸収能力が低下する可能性があるのではないか?という懸念を示しています。

こういったことに足底筋膜炎と足の衝撃吸収能力が低下は関係しているのでは?と考えられます。

 

まとめ

足底筋膜炎は練習のしすぎだけでなく他にも色々と要因が考えられます。足底筋膜の機能を理解し広い視点で色々な対策をすることで怪我の予防やパフォーマンスアップに役に立つのではないでしょうか?

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Bolgla LA, Malone TR. Plantar Fasciitis and the Windlass Mechanism: A Biomechanical Link to Clinical Practice. J Athl Train. 2004;39(1):77-82.
  2. Liu X, Duan Y, Hitzmann A, et al. Using the foot windlass mechanism for jumping higher: A study on bipedal robot jumping. Robotics and Autonomous Systems. 2018;110:85-91. doi:10.1016/j.robot.2018.09.006
  3. Lee SY, Hertel J, Lee SC. Rearfoot eversion has indirect effects on plantar fascia tension by changing the amount of arch collapse. Foot (Edinb). 2010;20(2-3):64-70.
  4. Allen RH, Gross MT. Toe Flexors Strength and Passive Extension Range of Motion of the First Metatarsophalangeal Joint in Individuals With Plantar Fasciitis. J Orthop Sports Phys Ther. 2003;33(8):468-478.
  5. Welte L, Kelly LA, Lichtwark GA, Rainbow MJ. Influence of the windlass mechanism on arch-spring mechanics during dynamic foot arch deformation. J R Soc Interface. 2018;15(145).
  6. Chang R, Rodrigues PA, Van Emmerik REA, Hamill J. Multi-segment foot kinematics and ground reaction forces during gait of individuals with plantar fasciitis. J Biomech. 2014;47(11):2571-2577.
  7. Zhou J-P, Yu J-F, Feng Y-N, et al. Modulation in the elastic properties of gastrocnemius muscle heads in individuals with plantar fasciitis and its relationship with pain. Scientific Reports. 2020;10(1):1.
  8. Cheung JT-M, Zhang M, An K-N. Effect of Achilles tendon loading on plantar fascia tension in the standing foot. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2006;21(2):194-203.
  9. Bolívar YA, Munuera PV, Padillo JP. Relationship between tightness of the posterior muscles of the lower limb and plantar fasciitis. Foot Ankle Int. 2013;34(1):42-48.
  10. Belhan O, Kaya M, Gurger M. The thickness of heel fat-pad in patients with plantar fasciitis. Acta Orthop Traumatol Turc. 2019;53(6):463-467.
  11. Wearing SC, Smeathers JE, Yates B, Urry SR, Dubois P. Bulk compressive properties of the heel fat pad during walking: A pilot investigation in plantar heel pain. Clinical Biomechanics. 2009;24(4):397-402.

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