膝の怪我のメカニズム

膝蓋腱炎のメカニズムと腱の耐久性について

膝蓋腱炎は時にジャンパー膝などとも呼ばれ、ジャンプやダッシュなどの動作を繰り返す人達に発症することが多い症状です。

一般的には膝蓋腱と繋がっている太ももの筋肉の使いすぎによって負荷がかかると考えられています。しかし、単なる練習のしすぎといった要因だけではなく、もしかしたら腱の構造による影響もあるかもしれません。

膝蓋腱炎

参照http://www.fauxrunner.com/2018/05/first-running-injury-patella-tendinitis.html

 

ポイント

  • 膝蓋腱障害には耐久力の低下が伴うことがあります
  • 耐久力が低下している部分が怪我をしやすい傾向にあります
  • 負荷のかけ方次第で腱の耐久力が変わってくる可能性があります

 

腱の耐久性の低さが怪我の原因なのか?

腱の耐久性は低下することがあり、これが怪我に影響することもあります。

とある研究で膝蓋腱傷害を発症している選手と、そうでない健康な選手を比べています。その結果、膝蓋腱傷害を発症しているグループは膝蓋腱の耐久性が低い可能性があるようです。耐久性が低いということは、同じ力でもより多くのストレスが膝蓋腱へかかるということを意味しています。

同じように競技に取り組んでいるとしたら、一体何がこのような違いを生んでいるのでしょうか?そこに膝蓋腱炎のメカニズムが隠れている可能性があります。

 

怪我をすると腱が弱くなってしまう?

腱の耐久性の低下は怪我をする前に起きていれば、怪我の発生にも影響するかと思います。

ある研究において3ヶ月以上にわたり膝蓋腱傷害を発症している人の両足を比べていますが、その膝蓋腱の強さに大きな変化はないようです

怪我を発症してからどのくらい運動やエクササイズができているのか?によっても影響されるので強い確証はありませんが、この研究が示唆しているのは膝蓋腱傷害を発症している人達は怪我をする以前から既に膝蓋腱の耐久性が落ちていたのではないか?という点です。

もちろん怪我をして運動をしていないことで腱の機能が低下することが考えられるので、これは興味深い結果と言えるのではないでしょうか。

 

耐久性が低い部分が怪我をしやすい

腱の耐久性は怪我のしやすさに関係しています。

  • 一般的には膝蓋腱の遠位部の耐久力が高いと言われています
  • 膝蓋腱障害を発症した人はどうやら耐久性が弱いとされている近位部を怪我している傾向にあります

このことから、耐久性が低い部位から怪我を発症しやすい傾向にある可能性が考えられます。

人の身体は適切な負荷がかかることで適応していきます。適切な負荷を与えることでその機能は高まり、反対に適切な負荷が与えられていないとその機能が弱っていきます

大腿四頭筋の解剖図

例えば、大腿四頭筋が硬くなってしまうことも膝蓋腱炎リスクであることが報告されており、もしかしたらこの硬さが悪影響を及ぼしているのかもしれません。

膝蓋腱への不適切な働きなどを取り除き、適切な負荷を与えていくことでより耐久性が増し、怪我をしにくい状態にできる可能性があるかと思います。

 

膝蓋骨や筋肉が適切に働いているのか?

膝蓋腱の不適切な働きにはたくさんの要素が考えられます。

例えば、次の図のように膝蓋骨の位置や角度が違うことで物理的な優位性が変わってきます

膝蓋骨と物理的な優位性

(Dan et al 2018より引用)

膝蓋骨が適切な状態にないことで、物理的な優位性を失い通常よりも大きな負荷がかかってしまうことが考えられるのではないでしょうか。

膝蓋骨の高さと膝痛への影響

膝蓋骨の働きが膝の機能に影響を与える可能性があり、これが怪我の原因のひとつになっていることもあるかと思います。膝蓋骨の高さも重要な指標のひとつであると考えられており、膝蓋骨が高過ぎたり低過ぎたりするこ ...

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こういったところから改善していくことで負荷を減らし、より適切な機能を獲得できる可能性があるのではないでしょうか。

 

まとめ

腱の耐久力の低下だけが全ての原因ではありませんが、膝の機能を改善していき適切な負荷を与えることができると怪我に強い状態へとなっていくかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Couppé C, Kongsgaard M, Aagaard P, et al. Differences in tendon properties in elite badminton players with or without patellar tendinopathy. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports.

  2. Kongsgaard M, Kovanen V, Aagaard P, et al. Corticosteroid injections, eccentric decline squat training and heavy slow resistance training in patellar tendinopathy. Scand J Med Sci Sports. 2009;19(6):790-802.

  3. Kongsgaard M, Reitelseder S, Pedersen TG, et al. Region specific patellar tendon hypertrophy in humans following resistance training. Acta Physiol (Oxf). 2007;191(2):111-121.

  4. Pearson SJ, Hussain SR. Region-specific tendon properties and patellar tendinopathy: a wider understanding. Sports Med. 2014;44(8):1101-1112.

  5. Witvrouw E, Bellemans J, Lysens R, Danneels L, Cambier D. Intrinsic Risk Factors for the Development of Patellar Tendinitis in an Athletic Population: A Two-Year Prospective Study
  6. Dan M, Parr W, Broe D, Cross M, Walsh WR. Biomechanics of the knee extensor mechanism and its relationship to patella tendinopathy: A review. Journal of Orthopaedic Research. 2018;36(12):3105-3112.

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