膝の怪我のメカニズム

膝蓋骨の高さと膝痛への影響

膝蓋骨の働きが膝の機能に影響を与える可能性があり、これが怪我の原因のひとつになっていることもあるかと思います。膝蓋骨の高さも重要な指標のひとつであると考えられており、膝蓋骨が高過ぎたり低過ぎたりすることで膝への負荷が高まることがあるようです。

 

ポイント

  • 膝蓋骨が高すぎても低すぎても身体への負荷が高まるようです
  • 膝痛を持っている人は膝蓋骨が高い傾向にあるという報告があります
  • 手術により膝蓋骨が低くなることがあり、これがその後の膝の状態に影響することがあります

 

膝蓋骨の高さと負荷の関係

膝蓋骨(膝の皿)の位置によって身体への負荷が変わる可能性があります。

ある研究では膝を再現した設備により、膝蓋骨の高さの変化と負荷の関係を調べています。

(Luycky et al 2009より引用)

膝蓋骨の位置が高い場合

膝の角度が深い状態では膝蓋骨の位置が低いと膝蓋骨の接触による負荷が大きい傾向にあり1、次のような理由が考えられます。

  • 膝が深く曲がっている場合に腱の接触などによって負荷が分散されるのですが、膝蓋骨の位置が高いと腱の接触による負荷の分散が小さくなる可能性があるようです
  • 膝の角度が深い状態では膝蓋骨の支点となる位置が大腿四頭筋に不利に働き、膝蓋骨の位置が高すぎるとこれに影響を及ぼす可能性があります。その結果より大きな力が求められ、これにより膝蓋骨への接触の負荷が大きくなる可能性が考えられます。

(Huberti et al 1984より引用)

 

ただし、膝の角度が浅い場合でも膝蓋骨の位置が高いことで膝蓋骨が接触する面積が小さくなり、これによって負荷が一部分に集中することも考えられます。

 

膝蓋骨の位置が低い場合

膝の角度が浅い状態では膝蓋骨の位置が低いと膝蓋骨の接触による負荷が大きい傾向にあり、次のような理由が考えられます。

  • 膝が深く曲がっている場合に、膝蓋骨の位置が低いと腱の接触などによって負荷が分散されやすくなる傾向にあるようです
  • 膝の角度が浅い状態では膝蓋骨の支点となる位置が大腿四頭筋に不利に働き、膝蓋骨の位置が低すぎるとこれに影響を及ぼす可能性があります。その結果より大きな力が求められ、これにより膝蓋骨への接触の負荷が大きくなる可能性が考えられます。

(Huberti et al 1984より引用)

これらの研究はあくまで膝蓋骨の高さという要素で調べており、膝蓋骨の他の要素が影響を及ぼして負荷がこの通りにならないこともあることには注意が必要かと思います。

 

膝蓋骨の高さと怪我との関連性

膝蓋骨の高さは身体への負荷を少しばかり高める可能性があり、これが怪我に関係していることもあるかと思います。

  • 膝蓋骨の位置が高いと膝蓋骨の動きに異常が多くみられる傾向にあり、さらに膝痛を持っている人は膝蓋骨の位置が高いという報告があります
  • 膝蓋骨の位置が高さは変形性膝関節症における軟骨のダメージと関連ている可能性があるという報告もあります

手術による膝蓋骨の高さの影響

手術などによって膝蓋骨が少しばかり低くなることもあるようで、これがその後の膝の状態に影響することもあるようです。

  • 高位脛骨骨切り術によって膝蓋骨の位置が低くなってしまうと、その後の膝の状態も悪くなってしまう可能性があることが報告されています
  • ある研究において100名を超える人工膝関節の手術を受けた人たちを調べたところ、膝蓋骨の位置が低い場合に総合的な痛みに大きな差はなかったものの階段を登る動作において機能低下がみられたようです
  • しかしながら、別の研究で80名を超える人工膝関節の手術を受けた人たちを調べたところ、膝蓋骨の位置が低いことは膝の痛みや機能とあまり関係していなかったという報告もあります

人工膝関節

このように膝蓋骨の高さだけでそこまで悪影響があるわけではありませんが、膝蓋骨の状態によって膝の機能が影響を受けることもあるかと思います。何事も行き過ぎにはリスクが生まれる可能性があり、通常の範囲内のほうが身体への負荷が大きくなりにくいのではないでしょうか。

膝蓋骨の高さを調節するには限度があるかと思いますが、膝蓋骨がスムーズに動けるように膝を整えたり、周辺の筋肉を鍛えるなどして膝の負担を少しでも減らしていくことが役に立つかと思います。

 

まとめ

膝蓋骨の高さは膝のメカニズムに影響を与える可能性があり、これが膝の怪我のひとつの要因となっていることもあるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Luyckx T, Didden K, Vandenneucker H, Labey L, Innocenti B, Bellemans J. Is there a biomechanical explanation for anterior knee pain in patients with patella alta?: influence of patellar height on patellofemoral contact force, contact area and contact pressure. J Bone Joint Surg Br. 2009;91(3):344-350.
  2. Huberti HH, Hayes WC, Stone JL, Shybut GT. Force ratios in the quadriceps tendon and ligamentum patellae. J Orthop Res. 1984;2(1):49-54.
  3. Ward SR, Terk MR, Powers CM. Patella alta: association with patellofemoral alignment and changes in contact area during weight-bearing. J Bone Joint Surg Am. 2007;89(8):1749-1755.
  4. Pal S, Besier TF, Beaupre GS, Fredericson M, Delp SL, Gold GE. Patellar maltracking is prevalent among patellofemoral pain subjects with patella alta: An upright, weightbearing MRI study. Journal of Orthopaedic Research. 2013;31(3):448-457.
  5. Stefanik JJ, Zhu Y, Zumwalt AC, et al. Association between patella alta and the prevalence and worsening of structural features of patellofemoral joint osteoarthritis: The multicenter osteoarthritis study. Arthritis Care & Research. 2010;62(9):1258-1265.
  6. Bode G, Niemeyer P, Südkamp NP, Feucht M, Mehl J. Patella height following biplanar medial open-wedge high tibial osteotomy and its relevance for Clinical Outcome. Orthop J Sports Med. 2016;4(3 suppl2).
  7. Neogi DS, Bae JH, Seok CW, Lim HC. Impact of patellar height on unicompartment knee arthroplasty: does patella baja lead to an inferior outcome? J Orthop Traumatol. 2014;15(1):47-54.
  8. Naal FD, Neuerburg C, von Knoch F, Salzmann GM, Kriner M, Munzinger U. Patellar height before and after unicompartmental knee arthroplasty: association with early clinical outcome? Arch Orthop Trauma Surg. 2009;129(4):541-547.

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