私がアメリカでスポーツトレーナーをしていた時に選手達から"Magic Hand"、日本語では魔法の手と称された経験があります。
その魔法と称された触診技術の詳細について書かせていただきたいと思います。
アメリカで魔法と称されるようになった出来事
あるアメフト選手がとても硬い筋肉を抱えていて、簡単に筋肉をほぐすことができない状態にありました。
たまたま自分がその選手の施術をすることになり、その筋肉をほぐしたことで「凄いな!」と褒められました。
その筋肉を揉みほぐす時には選手にうつ伏せの姿勢を取ってもらうのが普通なのですが、
横向きの姿勢を取ることでその筋肉がほぐれやすくなることを私は知っていたので、結果を出すことができました。
その選手から何度も指名されるようになっていき、担当トレーナーみたいな雰囲気になりました。
彼は陽気でお調子者だったためか、「あいつは魔法の手を持っている」と周りの人に冗談混じりに言い始めました。
ただのジェルを塗るときも「あいつは魔法が使えるからあいつに塗って欲しい」といった具合に周りに言うのです。
きっと誰が塗っても同じなのですが、お調子者とはそういうものではないかと思います。
そのようなことを言い始める選手がいるので、徐々に自分の施術を受けたいと言う選手が増えていきました。
そういった選手達が満足するような結果を運良く出し続けることができました。
ある状況下では特定の周波数で超音波治療を行なった後にマッサージをすると、驚くほど筋肉がほぐれるという現象を知っていたからです。
こういう出来事があってからチーム内で「なんか特別な技術があるらしいぞ」という話が広まっていきました。
独自の筋肉の触診技術
自分が魔法の手と呼ばれるようになったひとつの理由が、特定の状況下で筋肉の質が劇的に変化することがあるということを知っていたからです。
筋肉を無理にほぐすのではなく、一手間を加えて筋肉をほぐしやすい状況に持っていくことが高い効果を出す秘密ではないかと思います。
触診技術を高めた方法
特定の状況下で特定の刺激を加えると筋肉の質が大きく変化することがあるのですが、
それを調べるためには刺激を与えた後に筋肉を触診して、ビフォーアフターを比べるということを積み重ねていくことが役に立ちます。
こうした経験が積み重なっていくと、筋肉を触っただけで「どういう刺激を加えたらいいのか?」を感覚的に理解できるようになっていきます。
筋肉を揉みほぐす技術を高めるだけでなく、「一手間を加える」という腕の磨き方もあるのではないかと思います。
簡単に真似できない理由
特定の刺激を与えた後に筋肉を触診して、ビフォーアフターを比べるということを積み重ねていくことが重要なのですが、
これは意外と簡単に真似できないことが多いのではないかと思います。
というのもマネジメントや経営効率の観点から、何度も筋肉を触診するということは普通はやらないと思います。
スポーツチームで働くトレーナーさん達は時間との勝負で、一人の選手に長い時間を費やしていられないほど忙しいことが多いです。
チームには何十人もの選手達を抱えているため、選手ひとりを約5分といった短い時間で捌いていくことは珍しいことではありません。
私は運良く恵まれた環境にあったため触診技術を磨くことができました。
施術やトレーニング内容の決定権が自分にあり、施術を受ける人の理解があり、そして何よりも時間の余裕が必要ではないかと思います。
トレーニング後に筋肉を触診する理由
トレーニングの負荷が高すぎると、筋肉にわずかな異常が表れることがあります。
特に怪我をしている人のリハビリにおいてこのような傾向が起こりやすいと感じています。
これを何週間も放っておくと悪影響が出ることがあり、時には痛みが引き起こされるといったことも起こります。
このためトレーニング後に筋肉がどのように変わっているのかを調べ、効果的なトレーニングであったことを確認することが役に立ちます。
まとめ
特定の状況下で筋肉の状態が大きく変わることがあり、良い影響も悪い影響も起こり得ます。
一手間を加えて筋肉を良い状態に持っていくことが高い効果を出す秘訣ではないかと思います。