脳神経

痛みの脳科学〜恐怖による痛みと扁桃体の関係

痛みと脳神経には様々な部位が関わっており、複雑な神経伝達が行われています。こうした脳神経の働きの理解を深めることは、痛みを上手にコントロールするのに役にたつかもしれません。

今回は脳神経の中でも扁桃体に焦点を当てて記事を書かせて頂きたいと思います。

 

ポイント

  • 扁桃体は恐怖や痛みを識別する脳の部位であると考えられています。
  • 恐怖がさらなる痛みや慢性痛などの症状を生み出すこともあるようです。
  • リハビリやエクササイズにおいては過度な恐怖を取り除きながら行うことが大切になってくるかと思います。

 

扁桃体(Amygdala)とは?

扁桃体は食欲や性欲など、快や不快などを識別する部分であると考えられています。

扁桃体が破壊されると通常は怖がるものに対して恐怖を抱かなくなったり、食べられるものを区別できなくなったり、違う動物と交尾しようとするなどの行動をとることもあるようです。

扁桃体扁桃体と脳の解剖

そして痛みの脳科学の観点で言えば、扁桃体は恐怖や痛みなどに関する記憶に関係しています

 

痛みと扁桃体の働き

痛みの感じ方と扁桃体の活動には関係性があるようです。

(Simons et al 2014より引用)

  • マウスでの実験においては扁桃体を損傷させることで、慢性的な神経痛の発症が抑制されたことが報告されていますこれは扁桃体の損傷によって痛みによる恐怖などを感じにくくなり、これが慢性痛の抑制につながったのではないかと考えられています。
  • 実験で人に痛みを与えたところ扁桃体の活動が増えている傾向にあったことが報告されています身体に痛みを抱えている人も扁桃体の活動が増えている傾向にあったようです
  • 生理食塩水を投与した実験では、ポジティブな効果を期待させたグループと比べるとネガティブな効果を期待させたグループでは扁桃体の活動が増え、感じる痛みも大きい傾向にあったそうです

このように扁桃体によって恐怖を感じ、それが慢性的な痛みやより大きな痛みといったものにつながることもあるようです。

 

現場での応用

基本的にエクササイズをする時には過度な恐怖を与えるようなことはあまりオススメしません

というのも、恐怖がさらなる痛みを招くこともあるかもしれません。

痛みの脳への信号伝達

さらに、痛みを感じている時や痛みを予測している場合にも、筋活動が変化する可能性もあります

適切なタイミングで筋肉を働かせるためにも、過度な恐怖は避けたほうがいいでしょう。

 

ただ、痛みを我慢しながらリハビリをしたほうがいい状況もあるので、全ての痛みや恐怖を取り除く必要はないと思いますが、

過度な恐怖や痛みは症状の悪化や慢性化につながる可能性があるということを頭の片隅に入れておいて損はないでしょう。

 

まとめ

扁桃体は恐怖や痛みを識別する脳の部位であり、恐怖がさらなる痛みや慢性痛などの症状を生み出すこともあるようです。

リハビリやエクササイズにおいては過度な恐怖を取り除きながら行うことが大切になってくるかと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Nijs J, Clark J, Malfliet A, et al. In the spine or in the brain? Recent advances in pain neuroscience applied in the intervention for low back pain. Clin Exp Rheumatol. 2017;35 Suppl 107(5):108-115.
  2. Li Z, Wang J, Chen L, Zhang M, Wan Y. Basolateral amygdala lesion inhibits the development of pain chronicity in neuropathic pain rats. PLoS One. 2013;8(8):e70921. doi:10.1371/journal.pone.0070921
  3. Simons LE, Moulton EA, Linnman C, Carpino E, Becerra L, Borsook D. The human amygdala and pain: evidence from neuroimaging. Hum Brain Mapp. 2014;35(2):527-538. doi:10.1002/hbm.22199
  4. Schmid J, Theysohn N, Ga F, et al. Neural mechanisms mediating positive and negative treatment expectations in visceral pain: a functional magnetic resonance imaging study on placebo and nocebo effects in healthy volunteers. Pain. 2013;154(11):2372-2380. doi:10.1016/j.pain.2013.07.013
  5. Nijs J, Lluch Girbés E, Lundberg M, Malfliet A, Sterling M. Exercise therapy for chronic musculoskeletal pain: Innovation by altering pain memories. Man Ther. 2015;20(1):216-220. doi:10.1016/j.math.2014.07.004
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  7. 石浦章一 (2016).「脳・神経のしくみ」株式会社マイナビ出版

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