脳神経

「足がつる」と神経伝達の異常について

暑い中でスポーツをやっていると足がつるといった筋痙攣を起こすことがあります。従来は水分補給や電解質不足が筋肉の痙攣の原因と考えられていましたが、神経伝達の異常によって筋肉の痙攣が引き起こされるという考え方もあります。

 

ポイント

  • 筋肉の痙攣は神経の過剰な反応によって引き起こされている可能性があります。
  • 運動時の疲労によって神経の反応が変わってくる可能性があります。
  • 発汗や電解質なども筋肉の収縮に関わりがあります。

 

神経の働きと筋痙攣

筋肉の痙攣は異常な神経の働きによって引き起こされるという考え方があります1・2

感覚受容器

  • 腱に電気刺激を与えることで痙攣の症状が和らぐことが報告されています
  • 実験で神経ブロック注射を行ったところ筋肉が痙攣しにくくなることが報告されています
  • 痙攣を起こしやすい選手は安静時の筋活動がやや高い傾向にあったそうです

このように筋痙攣には神経伝達異常が関わっており、ストレッチによって症状が緩和するのはゴルジ腱器官を介して神経の興奮を和らげるためであると考えられています。

 

発汗や電解質不足

これまで痙攣を引き起こす原因は主に発汗や電解質不足であると考えられてきました。

  • 痙攣を引き起こしやすい人の運動後の血液を調べたところ、電解質、グルコース、ヘモグロビンなどに大きな違いは見られなかった5〜7
  • 痙攣を起こしやすい人は汗の中の塩分量が多い傾向にあったが、運動後の血中の塩分がやや低下しているだけで正常な範囲内であったそうです5・6
  • 夏場の暑くて湿度が高い環境でけいれんが発生しやすいことから、水分補給や電解質が原因と言える部分があるかと思います。
  • スポーツドリンクなどで水分補給をすることで痙攣が発生するのを遅らせることができる一方で、十分に水分補給をしていても痙攣が発生することが報告されています10
  • 筋収縮には電解質などのミネラルが必要なことから、汗で電解質を失うことが筋痙攣に関係しているのではないか?と考えられている部分があるかと思います。

活動電位

以上から、完璧ではありませんが発汗と痙攣には何らかの関係があるということが言えるかと思います。

 

疲労による影響

疲労時には神経の反応が変わりやすく、筋肉の興奮状態を誘発しやすくなっています。

熱中疲労

  • 疲労時にストレッチを行ったところゴルジ腱器官(Ib afferent)の反応が鈍くなっていたことが報告されています11
  • 疲労時にストレッチを行ったところ筋紡錘(Ia & Ⅱ afferent)の活動が高まっており、神経が興奮状態にあったことが示唆されています12

このことから疲労が神経の働きに影響を及ぼしていると考えられ、筋痙攣の原因のひとつになっているのではないでしょうか。

 

運動療法について

エクササイズで筋肉の痙攣を抑えるには次のような点に注意するといいかもしれません。これらの科学的根拠は見当たりませんでしたが、現場で培った知恵としてご紹介します。

  • 運動の負荷が大きすぎると筋肉がつりやすくなります。
  • 筋肉が力みすぎるような癖があると筋肉がつりやすくなるので、こういった癖を解消することが役に立ちます。
  • 関節を固めるようなエクササイズは痙攣を誘発しやすい傾向があるので、どちらかというと軽めの負荷でリズミカルに滑らかに身体を動かしたほうが痙攣予防のエクササイズに適しています。

筋肉の痙攣は神経の異常興奮によって引き起こされるので、リラックスしながら適度な負荷でエクササイズを進めていくことがポイントかもしれません。

 

まとめ

筋痙攣のメカニズムは分かっていませんが、発汗や神経機能などによって引き起こされる可能性があります。水分補給やストレッチ、筋肉を鍛えるなどのケアをすることが大切になってくるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Schwellnus MP. Cause of exercise associated muscle cramps (EAMC)--altered neuromuscular control, dehydration or electrolyte depletion? Br J Sports Med. 2009;43(6):401-408.
  2. Jahic D, Begic E. Exercise-Associated Muscle Cramp-Doubts About the Cause. Mater Sociomed. 2018;30(1):67-69.
  3. Khan SI, Burne JA. Reflex Inhibition of Normal Cramp Following Electrical Stimulation of the Muscle Tendon. Journal of Neurophysiology. 2007;98(3):1102-1107.
  4. Minetto MA, Holobar A, Botter A, Ravenni R, Farina D. Mechanisms of cramp contractions: peripheral or central generation? The Journal of Physiology. 2011;589(23):5759-5773.
  5. Sulzer NU, Schwellnus MP, Noakes TD. Serum electrolytes in Ironman triathletes with exercise-associated muscle cramping. Med Sci Sports Exerc. 2005;37(7):1081-1085.
  6. Schwellnus MP, Nicol J, Laubscher R, Noakes TD. Serum electrolyte concentrations and hydration status are not associated with exercise associated muscle cramping (EAMC) in distance runners. Br J Sports Med. 2004;38(4):488-492. doi:10.1136/bjsm.2003.007021
  7. Schwellnus MP, Nicol J, Laubscher R, Noakes TD. Serum electrolyte concentrations and hydration status are not associated with exercise associated muscle cramping (EAMC) in distance runners. Br J Sports Med. 2004;38(4):488-492. doi:10.1136/bjsm.2003.007021
  8. Stofan JR, Zachwieja JJ, Horswill CA, Murray R, Anderson SA, Eichner ER. Sweat and sodium losses in NCAA football players: a precursor to heat cramps? Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2005;15(6):641-652. doi:10.1123/ijsnem.15.6.641
  9. Cooper ER, Ferrara MS, Broglio SP. Exertional Heat Illness and Environmental Conditions During a Single Football Season in the Southeast. J Athl Train. 2006;41(3):332-336.
  10. Ap J, Pa B, A A-N, Rb D. Influence of Hydration and Electrolyte Supplementation on Incidence and Time to Onset of Exercise-Associated Muscle Cramps. Journal of athletic training. 2005;40(2). Accessed April 7, 2021. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15970952/
  11. Hutton RS, Nelson DL. Stretch sensitivity of Golgi tendon organs in fatigued gastrocnemius muscle. Med Sci Sports Exerc. 1986;18(1):69-74.
  12. Nelson DL, Hutton RS. Dynamic and static stretch responses in muscle spindle receptors in fatigued muscle. Med Sci Sports Exerc. 1985;17(4):445-450.

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