半月板損傷

「半月板に衝撃吸収能力はない」という衝撃の論文

半月板に衝撃吸収能力がないとする、衝撃の論文が公表されています。

原著である英語論文のタイトルも”The shocking truth about meniscus”と似たようなジョークをかましています。

半月板

一般的には半月板の主な役割のひとつが「膝の衝撃吸収」と考えられており、それを否定するのはなかなか衝撃的な内容かと思います。

誤解を招く可能性もある論文であるので、その中身について解説したほうがいいと思い記事を書かせていただくことにしました。

 

ポイント

  • 半月板に衝撃吸収能力がないとする論文の計算式に疑問があります。
  • 論文では弾力エネルギーを測定する計算式が用いられ、クッションとしての衝撃吸収能力を必ずしも反映していないと思います。

 

半月板に衝撃吸収能力がないとする論文の検証

私の結論から言いますと、半月板に衝撃吸収能力がないとする論文は、計算式が誤っている可能性があるということです。

確かに理論上は衝撃吸収能力と捉えることができるのですが、半月板に衝撃吸収能力がないと主張するには少し根拠が弱いように思います。

 

衝撃吸収能力(弾力エネルギー)

当該論文では弾力性や弾力エネルギーの大きさを測定している意味合いが強い計算式を用いています。

参照https://revisionscience.com/a2-level-level-revision/physics-level-revision/force-motion/solid-materials/rubber

ポイント

  • エネルギーの跳ね返りを測定でき、エネルギーが跳ね返ってこなかった分はどこかに失われたと考えられます。
  • 図の面積が大きいほどエネルギーが失われたと考えられ、衝撃吸収能力があると解釈することができます。
  • どちらかというとランニングスピードやジャンプ力などの弾性エネルギーを測定するのに適しています。

 

確かに理論上は衝撃吸収能力とも言えるのですが、実質的には弾力エネルギーを測定している面が強いです

この考え方だとバネやゴム、トランポリンなどは衝撃吸収能力は弱い、ということになります。

確かに衝撃吸収に理想的な素材ではないけれども、クッションとして衝突時の負荷を減らすことはできるのではないかと思います。

 

この弾力エネルギーの計算式を根拠に「半月板に衝撃吸収力がない」と論文は主張しているので、誤解が生まれる可能性があるのではないかと個人的には思います。

 

衝撃吸収能力(クッション)

衝撃吸収能力は別の計算方法を用いて考えられることが多いです。

剛性と衝撃吸収能力

参照https://explainopedia.com/mechanical-properties-of-materials-explained/

ポイント

  • 物質が変形すればエネルギーが吸収されたと考えられます。
  • 弾力性と衝撃吸収は似ているようで別の要素と考えられます。
  • 図の面積が大きいほど衝撃吸収能力があると解釈できます。

例えば段ボールは元に戻ろうとする弾力性は弱くいですが、衝突の衝撃を和らげるクッションとして使うことができます。

コンクリートや鉄などは硬くて力を加えても変形しないため衝撃吸収能力がほとんどありません。

バネやゴムなどは力を加えられると変形するのでクッションとして機能します。

 

このように力を加えた時に物質が変形するかどうかが衝撃吸収のポイントであり、物質が元に戻ろうとする弾力性が必ずしもクッションとしての衝撃吸収に関係しているわけではないかと思います。

実際に他の半月板の機能解析を行なっている論文においても、物質が変形するかどうが衝撃吸収能力として捉えられていることが主流であると感じています3・4

 

 

実際に半月板を損傷した人の事例分析

計算式は机上の理論であることも珍しくありません。

より適切な結論を導くためには実際の身の回りで起こっていることも併せて確認していくことが大事です。

半月板損傷

一般的に半月板の損傷が大きいほど膝の状態は悪化しやすいことが多く、そのようなケースを報告している研究結果は数多くあります

前十字靭帯損傷に伴う半月板損傷による膝の痛みの悪化

 

というのも半月板の損傷が大きいほど、手術で半月板を削れば削るほど、膝の機能は低下しやすくなります。

半月板の損傷や手術による膝の機能低下について

 

私は研究者の方々をとても尊敬していますし、論文を読むことが大好きです。

しかし、科学や計算式が絶対的に正しいわけではなく、実際に世の中で起きている事象をより的確に表現できる理論のほうが真理により近いのではないかと思います。

 

まとめ

「半月板には衝撃吸収能力がある」と考えたほうが、実際の世の中で起きている事象をより的確に説明できるのではないしょうか。

 

<参考文献>

  1. Andrews S, Shrive N, Ronsky J. The shocking truth about meniscus. Journal of Biomechanics. 2011;44(16):2737-2740. doi:10.1016/j.jbiomech.2011.08.026
  2. Luczkiewicz P, Daszkiewicz K, Chroscielewski J, Witkowski W, Winklewski PJ. The Influence of Articular Cartilage Thickness Reduction on Meniscus Biomechanics. PLOS ONE. 2016;11(12).
  3. Bao HRC, Zhu D, Gong H, Gu GS. The effect of complete radial lateral meniscus posterior root tear on the knee contact mechanics: a finite element analysis. J Orthop Sci. 2013;18(2):256-263. doi:10.1007/s00776-012-0334-5
  4. Rodeo SA, Monibi F, Dehghani B, Maher S. Biological and Mechanical Predictors of Meniscus Function: Basic Science to Clinical Translation. J Orthop Res. 2020;38(5):937-945. doi:10.1002/jor.24552

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