身体のケア

マッサージによる鎮痛効果と勘違いの可能性について

マッサージを受けた直後は身体が楽になったものの、しばらくすると元に戻ってしまう、何度も通ってもそんなに効果を感じられない、という悩みを耳にすることがあります。

基本的に筋肉を揉みほぐすことは怪我の改善に役に立つことが多いのですが、時には効果がない場合もあります。

そこで、あまり効果を発揮していない場合にもなぜマッサージを受け続けてしまうのか?について考察していきたいと思います。

 

ポイント

  • マッサージによって痛みの神経伝達に影響が及び、鎮痛効果が得られるようです。
  • 痛みの根本原因が改善されていなくとも神経伝達により一時的な痛みの軽減は起こり得ます。
  • マッサージ直後の痛みの軽減だけでは怪我の根本的な改善につながるかは判断が難しいです。

 

鎮痛に関わる神経伝達

痛みは神経伝達を介して認識されるため、痛みを減少させるには神経伝達に何らかの変化を及ぼす必要があると考えられています。

このためマッサージによって痛みを感じる神経伝達に影響を及ぼし、これが鎮痛効果を生み出すのではないか?と考えられます。

マッサージ腰痛

 

ゲートコントロール説

人が一度に感じることができることには限りがあり、他の刺激を与えることで痛みが和らぐ現象をゲートコントロールなどと呼びます。

痛いの飛んでいけ〜と、体の一部をさすることで痛みが和らぐことが有名かと思います。

さらにはガン患者にシンプルに触れるだけで痛みが和らぎ、マッサージのほうがより鎮痛効果がみられたという研究結果があります

もちろんマッサージによってガンが改善はされるわけではありませんが、マッサージによって一時的な鎮痛効果を生み出せるという点は興味深いものがあるかと思います。

 

セロトニン説

最近ではセロトニンの鎮痛効果に注目が集まりつつあり、うつ病の治療薬がセロトニンを介して鎮痛効果を発揮するなどと言われたりもしています。

マッサージによってもセロトニンなどの神経伝達物質が分泌されることが報告されています

セロトニン

ただ、セロトニンによってマッサージの瞬時の鎮痛効果を説明できるのか?など様々な疑問が残ります。

 

下降性疼痛抑制系

痛覚は末梢神経だけでなく、脳神経の働きも関与しています。

ある研究ではマッサージを行うことで痛みを司る脳神経(PAG, RVMなど)の働きが変化する可能性があることが報告されています

痛みの脳科学〜痛みを抑制する神経伝達(PAG)

痛みの脳科学〜痛みを伝える神経伝達(RVM)

 

現場での考察

ここからは私自身が日々現場で感じていることをベースに考察していきたいと思います。

 

マッサージに効果があると勘違いしてしまう場合

マッサージ直後に身体の痛みが和らぐと、マッサージには効果があると勘違いしてしまうことがあると思います。

そして効果を勘違いしてしまうと必要以上に揉みほぐしてしまったりすることも珍しくないように思います。

首と肩の痛み

先ほど述べたように根本的な原因が改善しなくとも、神経伝達に影響を及ぼすことでマッサージ直後には痛みが減少するということが起こり得ます。

このためマッサージ直後に痛みが減少した、ということだけでマッサージが根本的に怪我を改善するかどうかを判断することは難しいと思います。

 

このためマッサージ直後の痛みの減少の有無で判断してしまうと、あまり効果がないのに筋肉を揉みほぐすことを繰り返してしまう可能性があるのではないかと思います。

 

効果がある場合

本当に効果がある場合というのはいくつかの要素で判断したほうが賢明ではないかと個人的には思います。

これはもう個人の主観でしかありませんが、あまり力を加えなくても筋肉の感触が著しく変化して柔らかくなっていく場合には効果が高い傾向にあるような気がしています。

こういう時には不思議と効果が持続しやすく、怪我の根本的な改善につながりやすい傾向があると感じています。

 

そして、効果抜群のツボに入った時というのは「オオーッ!!」と大きな驚きがあり、それを物語るような興奮の表情や行動を伴うことが多い気がします。

 

いずれにしても筋肉を揉みほぐした直後の痛みの変化だけでは判断が難しく、本当に効果があるのか?については数日間は様子をみてその効果を判断したほうがいいのではないかと個人的には思います。

 

まとめ

怪我の改善の有無にかかわらず、神経伝達への働きによってマッサージを受けた直後には一時的に痛みが軽減する可能性があります。

マッサージが怪我の根本的な改善につながるかどうかは、マッサージを受けた直後の痛みの軽減だけで判断することは難しいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Kutner JS, Smith MC, Corbin L, et al. Massage therapy versus simple touch to improve pain and mood in patients with advanced cancer: a randomized trial. Ann Intern Med. 2008;149(6):369-379. doi:10.7326/0003-4819-149-6-200809160-00003
  2. Field T, Hernandez-Reif M, Diego M, Schanberg S, Kuhn C. Cortisol decreases and serotonin and dopamine increase following massage therapy. Int J Neurosci. 2005;115(10):1397-1413. doi:10.1080/00207450590956459
  3. Niddam DM, Chan R-C, Lee S-H, Yeh T-C, Hsieh J-C. Central modulation of pain evoked from myofascial trigger point. Clin J Pain. 2007;23(5):440-448. doi:10.1097/AJP.0b013e318058accb

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