股関節インピンジメント

股関節の怪我と大腿骨頭靭帯について

股関節痛

股関節の怪我により周辺組織を損傷することがありますが、大腿骨頭靭帯もそのひとつとなるようです。股関節の周辺組織には基本的に関節を安定させる働きがあり、大腿骨頭靭帯も損傷することで股関節の安定性が低下する可能性があります。

 

ポイント

  • 大腿骨頭靭帯にも股関節を安定させる一定の効果があります
  • 高い可動域が求められる動きで大腿骨頭靭帯への負荷がかかりやすいようです
  • 大腿骨頭靭帯が損傷することで股関節の機能が低下し、身体にさらなる負荷がかかる可能性があります

 

大腿骨頭靭帯について

靭帯などが股関節の安定性に重要ですが、大腿骨頭靭帯(Ligamentum teres)も多少なりとも股関節の安定性に貢献していると考えられています。

大腿骨頭靭帯(Ligamentum teres)

参照https://www.sportsinjuryclinic.net/sport-injuries/hip-groin/hip-pain

 

献体による実験で股関節を引っ張ったところ大腿骨頭靭帯は200N前後の負荷で断裂し、断裂するまでに数センチ伸びていたそうです。高い強度な靭帯といえるほどの強さが大腿骨頭靭帯にはないのかもしれませんが、それでも股関節を安定させる一定の効果はあるかと思います。

(Philippon et al 2014より引用)

 

大腿骨頭靭帯の機能について

大腿骨頭靭帯には股関節の内旋や外旋などの安定性に関係している可能性があります。

サッカーの方向転換

  • 献体による実験では大腿骨頭靭帯を切断したところ、股関節の内旋や外旋の可動域が増加したことが報告されています
  • 特に股関節が屈曲した状態での外旋時、股関節が伸展した状態での内旋時に大腿骨頭靭帯が引き伸ばされる可能性が示唆されています
  • 他の献体による実験では股関節の屈曲時における過度な内旋により、大腿骨が下方へ移動することで大腿骨頭靭帯に負荷がかかるということも確認されているようです

 

これらの献体による実験から、股関節の内外旋と大腿骨頭靭帯には関係があると言えるのではないでしょうか。

 

大腿骨頭靭帯の損傷について

スポーツの練習のしすぎによって大腿骨頭靭帯を痛めることもあるようです。

 

大腿骨頭靭帯の損傷に関する研究

  • 股関節インピンジメントを発症しているスポーツ選手45名を対象に調べたところ、約半数が大腿骨頭靭帯を損傷したという報告があります
  • インピンジメントを発症した選手は他にも股関節唇や軟骨なども損傷している傾向にあることから、大腿骨頭靭帯だけの問題ではないかと思います。股関節の複雑な動きを繰り返し行うことで、股関節のあらゆる周辺組織の損傷が起き、これにより股関節の機能低下が進行しているのではないでしょうか。
  • 興味深いことにスポーツ選手よりもバレエダンサーのほうが大腿骨頭靭帯を損傷している傾向にあるという研究結果があります
  • 股関節の怪我のない体操選手を調べた研究においても、大腿骨頭靭帯に腫れがみられる傾向にあったそうです。股関節の高い可動域を必要とする競技において大腿骨頭靭帯への負荷がかかりやすいのかもしれません。

バレエダンサー

 

このように股関節の高い可動域が求められる競技においては大腿骨頭靭帯への負荷がかかりやすい傾向があり、周辺組織の損傷により股関節の安定性が低下していく可能性があるのかもしれません。

 

まとめ

股関節の周辺組織は股関節の安定性に貢献しており大腿骨頭靭帯もその一部であると考えられます。股関節を酷使し続けていると、大腿骨頭靭帯を含めて股関節の周辺組織を損傷しやすく、これにより股関節の機能低下していく可能性があります。しっかりと股関節周りをケアし、その機能を高めることで怪我予防することが大事になってくるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Philippon MJ, Rasmussen MT, Turnbull TL, et al. Structural Properties of the Native Ligamentum Teres. Orthop J Sports Med. 2014;2(12).
  2. Martin HD, Hatem MA, Kivlan BR, Martin RL. Function of the Ligamentum Teres in Limiting Hip Rotation: A Cadaveric Study. Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic & Related Surgery. 2014;30(9):1085-1091.
  3. Martin RL, Palmer I, Martin HD. Ligamentum teres: a functional description and potential clinical relevance. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2012;20(6):1209-1214.
  4. Martin RL, McGovern RP, Martin HD, Kivlan BR. A mechanism for ligamentum teres injuries in femoroacetabular impingement:an anatomical study. Int J Sports Phys Ther. 2018;13(2):208-213.
  5. Philippon M, Schenker M, Briggs K, Kuppersmith D. Femoroacetabular impingement in 45 professional athletes: associated pathologies and return to sport following arthroscopic decompression. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2007;15(7):908-914.
  6. Mayes S, Ferris A-R, Smith P, Garnham A, Cook J. Atraumatic tears of the ligamentum teres are more frequent in professional ballet dancers than a sporting population. Skeletal Radiology. 2016;45(7):959-967.
  7. Papavasiliou A, Siatras T, Bintoudi A, et al. The gymnasts’ hip and groin: a magnetic resonance imaging study in asymptomatic elite athletes. Skeletal Radiol. 2014;43(8):1071-1077.

-股関節インピンジメント

© 2021 Hero's Body