腰痛のメカニズム

脊柱管狭窄症による腰痛のメカニズム

脊柱管狭窄症によって神経が圧迫されて腰痛が引き起こされることがあります。

脊柱管狭窄症は簡単に改善していかないことも珍しくないため、そのメカニズムを理解することが役に立つかもしれません。

 

 

ポイント

  • 腰の神経または血管が圧迫されることで脊柱管狭窄症が起こると考えられています。
  • 椎間板の変形や靭帯の肥厚、関節の変化などによって神経が圧迫されやすくなります。
  • 加齢により脊柱管狭窄症を発症しやすくなり、約60歳以上で顕著に増えていきます。

 

脊柱管狭窄症とは

脊柱管狭窄症とは腰の神経への負荷による腰の痛み、時にはお尻や足先まで痛みが広がることがあります。

脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は主に神経または血管を圧迫することによって引き起こされていると考えられています

 

脊柱管狭窄症の要因

脊柱管狭窄症には様々な要因があり、これらの要因が重なって神経や血管が圧迫されると考えられます。

 

腰の椎間関節(Facet Joints)

腰椎の関節の向き次第では神経を圧迫しやすくなる可能性があります。

(Morimoto et al 2019より引用)

  • 脊柱管狭窄症を抱えていた人は椎間関節の角度が小さい傾向にあったことが報告されています2・3
  • 年齢とともに椎間関節の角度が小さくなっていく傾向があることが報告されています。これは椎間板の変形などの説が唱えられています。
  • 椎間関節の角度が小さくなると神経が通るスペースが狭くなる可能性があることが示唆されています
  • 骨棘ができることも脊柱管狭窄症に関係していると考えられています

 

黄色靭帯(Ligamentum flavum)

黄色靭帯が厚くなることで神経を圧迫しやすくなる可能性があり、これが脊柱管狭窄症に関係しているかもしれません。

  • 脊柱管狭窄症を抱えていた人は黄色靭帯が厚くなっていることが報告されています6・7
  • 生化学検査や遺伝子検査によると線維症により黄色靭帯が大きくなっていることが示唆されています6・7・8。弾力性のある靭帯組織が少なくなり、結合組織に置き換わっている可能性があります6・8・9。傷口にできるかさぶたなどがこの例に近いかもしれません。
  • 複数の研究で加齢や椎間板の変形などに伴い黄色靭帯が厚くなりやすいことが報告されています8・9・10
  • 遺伝子検査により黄色靭帯の炎症により線維症が引き起こされ、黄色靭帯が大きくなっている可能性が示唆されています11。しかし遺伝子検査で炎症の可能性はみられなかったとする研究結果もあります

(Orita et al 2016より引用)

 

椎間板の問題

脊柱管狭窄症の多くは椎間板の変形やヘルニアなど、椎間板の問題を伴うと考えられているようです

椎間板の変形

 

血流制限

血管などが圧迫され、神経に十分な血液が届かなくなり神経に関する症状が起こる可能性も考えられます。

このため脊柱管狭窄症はMRIなどの検査で必ずしも神経が圧迫されているとは限らないようです

 

年齢

加齢も脊柱管狭窄症に関係しています。

高齢者ジョギング

  • 加齢とともに脊柱管狭窄症が増える傾向にあり、特に60歳以上の脊柱管狭窄症が顕著であることが報告されています13
  • アメリカでは65歳以上の腰椎の手術の主な原因であるという報告もあるようです
  • 先天的な要因などが重なると40歳以下など若くして脊柱管狭窄症が発症することもあります13

 

評価

MRIなどの検査で脊柱管のスペースが狭いことなどが脊柱管狭窄症の診断に用いられています

しかし、脊柱管のスペースが狭くなっていたからといって必ずしも症状があるとは限らず、約20%ほどは無症状という研究結果もあるようです。

このためレントゲンやMRIなどの画像に加えて、症状なども総合的に勘案して判断するようです。

 

対処方法

マッサージやリハビリのエクササイズで一定の効果を得られることがあるものの、効果が安定しないことも珍しくないようです14〜16

症状の重さにも影響を受けますが、脊柱管狭窄症のメカニズムを考えると簡単ではないことに納得できるものがあります。

このためリハビリがなかなかうまくいかず、脊柱管狭窄症で手術を受ける人が多いのかもしれません。

 

まとめ

脊柱管狭窄症は単に神経が圧迫されるだけでなく、椎間板の変形や靭帯の肥厚化、椎間関節の変化など様々な要因が積み重なって発症する可能性があります。

このため簡単に症状が改善しないことが珍しくないのかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Lurie J, Tomkins-Lane C. Management of lumbar spinal stenosis. BMJ. 2016;352:h6234. doi:10.1136/bmj.h6234
  2. Abbas J, Peled N, Hershkovitz I, Hamoud K. Facet Tropism and Orientation: Risk Factors for Degenerative Lumbar Spinal Stenosis. Biomed Res Int. 2020;2020.
  3. Liu X, Zhao X, Long Y, et al. Facet Sagittal Orientation: Possible Role in the Pathology of Degenerative Lumbar Spinal Stenosis. Spine (Phila Pa 1976). 2018;43(14):955-958. doi:10.1097/BRS.0000000000002493
  4. Morimoto M, Higashino K, Manabe H, et al. Age-related changes in axial and sagittal orientation of the facet joints: Comparison with changes in degenerative spondylolisthesis. J Orthop Sci. 2019;24(1):50-56. doi:10.1016/j.jos.2018.08.028
  5. Miyazaki M, Morishita Y, Takita C, Yoshiiwa T, Wang JC, Tsumura H. Analysis of the relationship between facet joint angle orientation and lumbar spine canal diameter with respect to the kinematics of the lumbar spinal unit. J Spinal Disord Tech. 2010;23(4):242-248. doi:10.1097/BSD.0b013e3181a8123e
  6. Yabe Y, Hagiwara Y, Ando A, et al. Chondrogenic and fibrotic process in the ligamentum flavum of patients with lumbar spinal canal stenosis. Spine. 2015;40(7):429-435.
  7. Park J-B, Lee J-K, Park S-J, Riew KD. Hypertrophy of ligamentum flavum in lumbar spinal stenosis associated with increased proteinase inhibitor concentration. J Bone Joint Surg Am. 2005;87(12):2750-2757. doi:10.2106/JBJS.E.00251
  8. Sairyo K, Biyani A, Goel V, et al. Pathomechanism of ligamentum flavum hypertrophy: a multidisciplinary investigation based on clinical, biomechanical, histologic, and biologic assessments. Spine (Phila Pa 1976). 2005;30(23):2649-2656. doi:10.1097/01.brs.0000188117.77657.ee
  9. Kosaka H, Sairyo K, Biyani A, et al. Pathomechanism of loss of elasticity and hypertrophy of lumbar ligamentum flavum in elderly patients with lumbar spinal canal stenosis. Spine (Phila Pa 1976). 2007;32(25):2805-2811. doi:10.1097/BRS.0b013e31815b650f
  10. Altinkaya N, Yildirim T, Demir S, Alkan O, Sarica FB. Factors associated with the thickness of the ligamentum flavum: is ligamentum flavum thickening due to hypertrophy or buckling? Spine (Phila Pa 1976). 2011;36(16):E1093-1097. doi:10.1097/BRS.0b013e318203e2b5
  11. Sairyo K, Biyani A, Goel VK, et al. Lumbar ligamentum flavum hypertrophy is due to accumulation of inflammation-related scar tissue. Spine (Phila Pa 1976). 2007;32(11):E340-347. doi:10.1097/01.brs.0000263407.25009.6e
  12. Orita S, Inage K, Eguchi Y, et al. Lumbar foraminal stenosis, the hidden stenosis including at L5/S1. Eur J Orthop Surg Traumatol. 2016;26(7):685-693. doi:10.1007/s00590-016-1806-7
  13. Kalichman L, Cole R, Kim DH, et al. Spinal stenosis prevalence and association with symptoms: the Framingham Study. Spine J. 2009;9(7):545-550. doi:10.1016/j.spinee.2009.03.005
  14. Ammendolia C, Stuber K, de Bruin LK, et al. Nonoperative treatment of lumbar spinal stenosis with neurogenic claudication: a systematic review. Spine. 2012;37(10):E609-616.
  15. Takahashi K. Physical therapy and exercise therapy for lumbar spinal stenosis. The Journal of Japanese Society of Lumbar Spine Disorders. 2003;9(1):68-73.
  16. Schneider MJ, Ammendolia C, Murphy DR, et al. Comparative Clinical Effectiveness of Nonsurgical Treatment Methods in Patients With Lumbar Spinal Stenosis: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2019;2(1):e186828. doi:10.1001/jamanetworkopen.2018.6828

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