変形性膝関節症

変形性膝関節症と骨棘の形成による膝の負荷の増加

膝の軟骨の損傷などの変形性膝関節症には、骨がトゲのように出っ張る骨棘の形成が関わっています。

これによって膝の痛みや可動域の低下など、膝の機能が低下し日常生活にも影響が出ると考えられていますが、

そのメカニズムについて文献を交えながらご紹介していきたいと思います。

 

ポイント

  • 膝の骨棘は変形性膝関節症のリスクを高め、骨棘が大きいほど軟骨の損傷が大きい傾向にあります。
  • 膝に過剰な負荷がかかることで骨棘が形成される可能性があります。
  • 骨棘の形成は膝のアライメントが乱れと関係しています。

 

骨棘と変形性膝関節症

骨がトゲのように少し出っ張る骨棘の形成は、変形性膝関節へとつながるリスクがあります。

(Katsuragi et al 2015より引用)

  • 早期の変形性膝関節症の人でも膝の骨棘が多く形成されている傾向にあることが報告されています
  • 骨棘の形成は将来の変形性膝関節症の発生率を高めることが報告されています
  • 骨棘の形成と軟骨の損傷には強い相関関係があることが報告されています3・4

このように膝の骨棘は変形性膝関節症に強い関わりがあります。

 

骨棘による影響

一般的に膝に骨棘ができることで痛みの誘発、可動域制限など様々な悪影響が出ると考えられています。

その他にも興味深いものがいくつかありましたのでご紹介したいと思います。

 

膝のアライメント

膝がO脚になることは変形性膝関節症の特徴のひとつですが、骨棘によって膝の内反が誘発される可能性があります。

膝の内反

  • 手術で膝の骨棘を除去すると膝のO脚(内反)が改善されることが報告されています5・6
  • 膝の内側の骨棘を手術で1ミリ除去すると約0.4°膝のアライメントが改善されるという研究結果もあります
  • 一方で骨棘を除去することで膝のアライメントがより悪化するという研究結果もあり、骨棘の位置や削り方の影響もあるのかもしれません。

このように骨棘の形成が変形性膝関節症のアライメントの変化に関わっている可能性があります。

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膝の安定性

骨棘には膝の安定性を高めるという機能を発揮する可能性もあります。

膝のサポーター

  • 興味深いことに膝の靭帯が断裂した後に骨棘ができることで膝が再び安定することがマウスの実験で確認されています
  • 骨棘を除去することで膝のアライメントがより悪化するという研究結果から、骨棘が膝の安定性に貢献している面も考えらます。

もしかしたら防御反応の一種としての機能もあるのかもしれません。しかし、骨棘は諸刃の剣でありデメリットのほうが大きく、骨棘がないに越したことはありません。

 

骨棘形成のメカニズム

膝の骨棘形成は変形性膝関節症へとつながりますが、骨棘の形成には様々な要因が関わっています。

 

生活習慣

普段の生活習慣も骨棘の形成に関わっている可能性があります。

健康な生活習慣

骨棘形成の一般的なリスク要因として重い体重、栄養不足、過度な運動などが挙げられます

栄養状態は骨の代謝などへと影響を与え、体重や過度な運動などは膝への物理的負荷へとつながると考えられます。

 

物理的負荷

物理的に過剰な負荷がかかり続けていると骨棘が形成されやすくなります。

  • マウスの膝に物理的刺激を加えることで骨棘が形成され10膝の不安定さを抱えているほうが骨棘が形成されやすいことが報告されています11
  • 膝のアライメント次第では物理的負荷が増える可能性があり、膝のO脚(内反)を抱えている人は膝の内側の骨棘が大きい傾向にあることが報告されています12
  • 関節スペースの減少も物理的負荷を高め、骨棘の形成につながると考えられています。

膝の負荷が高まることで骨棘が形成され、骨棘が形成されることで膝の可動域やアライメントが変化してさらなる負荷へとつながるという、負のスパイラルが生み出される可能性があります。

 

まとめ

膝の骨棘は変形性膝関節症に関わっており、膝への過剰な負荷により骨棘が形成され、悪循環へとつながっていく可能性があります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Katsuragi J, Sasho T, Yamaguchi S, et al. Hidden osteophyte formation on plain X-ray is the predictive factor for development of knee osteoarthritis after 48 months--data from the Osteoarthritis Initiative. Osteoarthritis Cartilage. 2015;23(3):383-390. doi:10.1016/j.joca.2014.11.026
  2. Okada K, Yamaguchi S, Sato Y, et al. Comparison of meniscal extrusion and osteophyte formation at the intercondylar notch as a predictive biomarker for incidence of knee osteoarthritis-Data from the Osteoarthritis Initiative. J Orthop Sci. 2019;24(1):121-127. doi:10.1016/j.jos.2018.08.003
  3. Roemer FW, Guermazi A, Niu J, Zhang Y, Mohr A, Felson DT. Prevalence of magnetic resonance imaging–defined atrophic and hypertrophic phenotypes of knee osteoarthritis in a population-based cohort. Arthritis & Rheumatism. 2012;64(2):429-437. doi:10.1002/art.33344
  4. Boegård T, Rudling O, Petersson IF, Jonsson K. Correlation between radiographically diagnosed osteophytes and magnetic resonance detected cartilage defects in the tibiofemoral joint. Annals of the Rheumatic Diseases. 1998;57(7):401-407. doi:10.1136/ard.57.7.401
  5. Iizawa N, Oshima Y, Kataoka T, Majima T, Takai S. Effect of Medial Osteophyte Removal on Correction of Varus Deformity in Total Knee Arthroplasty. J Nippon Med Sch. 2020;87(4):215-219. doi:10.1272/jnms.JNMS.2020_87-503
  6. Mullaji A. Can isolated removal of osteophytes achieve correction of varus deformity and gap-balance in computer-assisted total knee arthroplasty? Bone Joint J. 2020;102-B(6_Supple_A):49-58. doi:10.1302/0301-620X.102B6.BJJ-2019-1597.R1
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  8. Hsia AW, Anderson MJ, Heffner MA, Lagmay EP, Zavodovskaya R, Christiansen BA. Osteophyte formation after ACL rupture in mice is associated with joint restabilization and loss of range of motion. J Orthop Res. 2017;35(3):466-473. doi:10.1002/jor.23252
  9. Wong SHJ, Chiu KY, Yan CH. Review Article: Osteophytes. J Orthop Surg (Hong Kong). 2016;24(3):403-410. doi:10.1177/1602400327
  10. Venne G, Tse MY, Pang SC, Ellis RE. Mechanically-induced osteophyte in the rat knee. Osteoarthritis Cartilage. 2020;28(6):853-864. doi:10.1016/j.joca.2020.02.834
  11. Murata K, Kokubun T, Onitsuka K, et al. Controlling joint instability after anterior cruciate ligament transection inhibits transforming growth factor-beta-mediated osteophyte formation. Osteoarthritis Cartilage. 2019;27(8):1185-1196. doi:10.1016/j.joca.2019.03.008
  12. Okumura N, Kawasaki T, Kubo M, et al. Effects of malalignment and disease activity on osteophyte formation in knees of rheumatoid arthritis patients. J Orthop Surg (Hong Kong). 2020;28(1):2309499020911852. doi:10.1177/2309499020911852

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