変形性膝関節症

変形性膝関節症と歩行動作の変化について

変形性膝関節症

歩行動作が変形性膝関節症に関係していることがありますが、特定のパターンに限定されるわけではなく人それぞれ違う歩き方になることは珍しくないかと思います。そこで変形性膝関節症に伴う歩行動作のメカニズムについての理解を深めることが、型に当てはめず考えることへとつながるかもしれません。

 

ポイント

  • O脚のような歩き方が変形性膝関節症と関係しているようです
  • 膝を安定させるために筋肉が過剰に働くことも変形膝関節症に関係しているようです
  • 筋肉が弱いことも変形性膝関節症に関係しており、適度な運動も大切です

 

歩行時の膝の内反による負荷

O脚のような歩き方が変形性膝関節症と関係しているようです。

 

歩行時の膝の内転トルク

(Sharma et al 1998より引用)

歩行動作と軟骨への負荷の研究

  • 症状がより重い人達は歩行時のこの負荷が大きい傾向があることが報告されています1〜3
  • 膝の内反や外反によって接触する場所や大きさが変わってくる可能性があり、膝の内反によって軟骨が接触する面積が小さくなることが報告されています4〜6。すると、力がより一点に集中しやすくなるためにより大きな負荷がかかってしまう可能性があるわけです。
  • 膝の内反があることで周辺の筋肉が発揮する力が大きくなる可能性があります。これにより軟骨が圧迫される負荷が大きくなり、変形性膝関節症を持っている人の軟骨の厚さが減っていると考えられます

膝の外反

この膝の負荷が直接の原因となって変形性膝関節症が引き起こされたのかは疑問が残り、膝の軟骨や骨がダメージを受けたからこのような歩き方になったという考え方もあります。

というのも、症状が比較的軽い人にはこのような歩き方の特徴があまり見受けられないからです2・9

 

歩行時の膝の屈曲による負荷

適度な膝の動きは衝撃吸収のために大切になると考えられますが、膝がロックされてしまうと急激な負荷がかかりやすくなる可能性があります。

膝の屈曲モーメント

(Moyer et al 2014より引用)

  • 変形性膝関節症を持っている人は歩行時の膝の屈曲が小さかった傾向にあるようです10・11
  • 前十字靭帯損傷後6ヶ月の歩行動作において膝が曲がっている歩行動作だと軟骨の状態がよくない傾向にあることが報告されています12
  • 比較的症状が軽い段階では膝の屈曲による負荷が大きい傾向にあるのかもしれません

膝の動きが直接の原因かどうかについては議論が残りますが、症状の進行により痛い部分を避けている可能性や、筋力が低下して膝の動きが制限されていることなど色々な可能性が考えられます。

 

筋肉は味方にも敵にもなりうる

変形性膝関節症を持っている人達は膝の筋肉の同時収縮が長い傾向にあるようです10・13

筋肉が同時収縮することには膝を安定させるというメリットがありますが、一方で膝が過度に圧迫されてしまう可能性があるというデメリットもあります。

膝の筋肉の力による圧迫の負荷

参照http://aptsaweb.org/hmchai/Kines04/KINmotion/Musculature.htm

歩行時に膝の内反や屈曲が大きい場合には膝の不安定さが増してしまうので筋肉がより働かざるを得なくなり、このように関節が圧迫されるような力が大きくなる傾向があるのかもしれません。

 

筋力の低下と変形性膝関節症

筋力の低下により軟骨への負荷が高まり、変形性膝関節症につながってしまう可能性があります。

ジョギング

  • 変形性膝関節症を持っている人は筋力が低下している傾向にあるようです14
  • 筋力の低下により変形性膝関節症を発症しやすいという報告もあります15
  • 変形性膝関節症を発症していた人は大腿四頭筋に対してハムストリングスが弱いといった色々な筋肉のバランスの乱れが大きかったという報告もあり16、筋肉のバランスの乱れが身体への負荷を高めてしまうことが考えられます。

このことから定期的に運動やエクササイズをして身体を鍛えておくことが役に立つと言えるかと思います。そしてバランスよく筋肉を鍛えることも重要になってくるかと思います。

 

まとめ

特定の歩行動作が直接の原因となっているかについては疑問が残りますが、関節への負荷に関係している場合があるかと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

<参考文献>

  1. Sharma L, Hurwitz DE, Thonar EJ-MA, et al. Knee adduction moment, serum hyaluronan level, and disease severity in medial tibiofemoral osteoarthritis. Arthritis & Rheumatism. 1998;41(7):1233-1240.

  2. Erhart-Hledik JC, Favre J, Andriacchi TP. New insight in the relationship between regional patterns of knee cartilage thickness, osteoarthritis disease severity, and gait mechanics. J Biomech. 2015;48(14):3868-3875.

  3. Duffell LD, Jordan SJ, Cobb JP, McGregor AH. Gait adaptations with aging in healthy participants and people with knee-joint osteoarthritis. Gait Posture. 2017;57:246-251.

  4. Salsich GB, Perman WH. Patellofemoral Joint Contact Area Is Influenced by Tibiofemoral Rotation Alignment in Individuals Who Have Patellofemoral Pain. RESEARCH REPORT. Published online 2007:8.

  5. Lee TQ, Morris G, Csintalan RP. The Influence of Tibial and Femoral Rotation on Patellofemoral Contact Area and Pressure. J Orthop Sports Phys Ther. 2003;33(11):686-693.

  6. Trad Z, Barkaoui A, Chafra M. A Three Dimensional Finite Element Analysis of Mechanical Stresses in the Human Knee Joint: Problem of Cartilage Destruction. Journal of Biomimetics, Biomaterials and Biomedical Engineering.

  7. Schipplein OD, Andriacchi TP. Interaction between active and passive knee stabilizers during level walking. Journal of Orthopaedic Research. 1991;9(1):113-119.

  8. Andriacchi TP, Koo S, Scanlan SF. Gait mechanics influence healthy cartilage morphology and osteoarthritis of the knee. J Bone Joint Surg Am. 2009;91 Suppl 1:95-101.

  9. Duffell LD, Southgate DFL, Gulati V, McGregor AH. Balance and gait adaptations in patients with early knee osteoarthritis. Gait Posture. 2014;39(4):1057-1061.

  10. Lewek MD, Rudolph KS, Snyder-Mackler L. Control of frontal plane knee laxity during gait in patients with medial compartment knee osteoarthritis. Osteoarthritis and Cartilage. 2004;12(9):745-751.

  11. Mündermann A, Dyrby CO, Andriacchi TP. Secondary gait changes in patients with medial compartment knee osteoarthritis: Increased load at the ankle, knee, and hip during walking. Arthritis & Rheumatism. 2005;52(9):2835-2844.

  12. Teng H-L, Wu D, Su F, et al. Gait Characteristics Associated With a Greater Increase in Medial Knee Cartilage T1ρ and T2 Relaxation Times in Patients Undergoing Anterior Cruciate Ligament Reconstruction. Am J Sports Med. 2017;45(14):3262-3271.

  13. Costello KE, Wilson JLA, Stanish WD, Urquhart N, Hubley-Kozey CL. Differences in Baseline Joint Moments and Muscle Activation Patterns Associated With Knee Osteoarthritis Progression When Defined Using a Clinical Versus a Structural Outcome. Journal of Applied Biomechanics. 2020;36(1):39-51.

  14. Bennell KL, Wrigley TV, Hunt MA, Lim B-W, Hinman RS. Update on the Role of Muscle in the Genesis and Management of Knee Osteoarthritis. Rheumatic Disease Clinics. 2013;39(1):145-176.

  15. Blackburn JT, Pietrosimone B, Harkey MS, Luc BA, Pamukoff DN. Quadriceps Function and Gait Kinetics after Anterior Cruciate Ligament Reconstruction. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2016;48(9):1664–1670. doi:10.

  16. Kumar D, Subburaj K, Lin W, et al. Quadriceps and Hamstrings Morphology Is Related to Walking Mechanics and Knee Cartilage MRI Relaxation Times in Young Adults. J Orthop Sports Phys Ther. 2013;43(12):881-890.

  17. Moyer RF, Ratneswaran A, Beier F, Birmingham TB. Osteoarthritis Year in Review 2014: mechanics – basic and clinical studies in osteoarthritis. Osteoarthritis and Cartilage. 2014;22(12):1989-2002. doi:10.1016/j.joca.2014.06.034

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